第49話帝国の秘密
俺は屋敷内の働く人を気配探知で注意しながら、侵入者がいないかを探知している。
妨害する最後の機会がこの屋敷しかない状態で、あと2日の辛抱だと諦める。
聞く所によると、ここ帝都には帝国一の図書館があるらしい。
行くとしたらパーティーへ出かけた後の10時頃だろう。
12時に軽い立食で始まり、貴族同士の挨拶やお話タイムがあるらしい。
なんでも、派閥でのグループに自然に別れて、その中でなにやら会合をする。
なので本番が夕暮れ頃になり、皇帝と皇族の入場になるらしい。
気配探知は小距離内なら発動しているだけで、探知できるので他のことをしようと思う。
それがこの本だ、これは
本を開いて見ても、読み取るのにも時間が掛かり1行を読むのに1時間以上費やした。
頭の中にイメージらしき物が浮かんでいるが、それがハッキリとしたイメージになっていない。
なので今日は2行で終わりにして、明日に再チャレンジしようと思う。
そしてこの屋敷にも書棚が幾つかあり、執務室に向かうと隊長が座って書き物をしていた。
俺は書棚の本が読みたいと言うと、好きなだけ持って行って良いと言うので1時間掛けて10冊を選んだ。
俺の部屋に持って行き、ベットに腰掛けて興味深い1冊を取上げた。
題名は無かったが、中を速読すると恐ろしい事が書かれていた。
それは毒に関して書かれた物で、植物のどの部位を使ってどうすれば毒を取り出せるかが書かれていた。
そして解毒が可能か不可能かも書かれ、使用方法も書かれていた。
これは恐ろしい事に毒を使っての暗殺の手引きであった。
最後のページには、毒殺と暗器による殺しがこと細かく書かれ、人名と日付も明記されていた。
毒に関しての1つの例が、
【ホレイ草】:服用してから5日後に発症して死に至らしめる。
毒の状態:無色・無味・無臭。
使用方法:水に溶けやすい性質で加熱すると効果が低下する。50度以下の飲み物に入れる事を進める。
用量:小さじ一杯を服用しないと効果が薄い。
解毒:なし
取り方:根っこを酸性の液に3日漬け込んで、沈殿した紫の液をとりだして天日干しして無色になったら完成。
自生地:谷間の日陰に自生している。
植物図が精細に描写されている。
何故こんな恐ろしい本が普通の本棚にあったのか、それは複雑な暗号で書かれていたからだ。
普通なら到底読める物でなく、乱数表がなければ読めない。
しかし俺のスキルでその暗号文が何となく読めた。
そしてもう1冊には、題名【帝国建国記】で内容は1つの貴族が成り上がった経緯が書かれていた。
戦いで死んだ者とあのページに書かれた人名が一致していたことに驚く。
帝国は暗殺という方法で近隣を攻め取った、噂や本でも知ることのなかった事実であった。
そしてこの本の持ち主も気になるが、ここの皇帝も大いに気になってしまう。
どんな男で、今何をしようとしているだろう。
あとは読んでみて、これは凄いと言う物はなかったが最後の1冊を取って読んだ。
それを読み込んでいくうちに、徐々に興味を持ち始めた。
その本の後半にアパ山から出土した。鉱石の中に奇妙な事が起きていた。
魔法高炉の寿命で壊した跡に残るオリハルコンと言う金属。
それがクズ金属として捨てられていた。俺はその名に興味がそそられたのだ。
オリハルコンは幻の金属で、非常に硬い金属で希少価値が高く、武器や装飾品の定番。
そして原動力を生み出すとも言われる究極の金属。
大昔に来た召喚者が命名したと、俺は直感的に感じてしまったのだ。
その金属が欲しい、ここの商業ギルドと取引きで絶対にオリハルコンを手に入れたい。
・ ・ ・ ・ ・ ・
「それでどうであった」
「まだ開いて見た形跡はありません」
「もう日本政府を見捨てたと言いたいのか」
「いえ、向こうにもそれなりの事情があるのだろうと推測できます」
「何なんだ!?その推測とは・・・」
「異世界に行ったのなら、未知の世界ですから詳しく調べている最中だと推測できます」
「成る程、言われてみればそうだな、わたしも焦っていたのかもしれない」
「そして犯人は分かったと言っていたが誰だった」
「大山幹事長の秘書でした。黒幕はやはり大山幹事長と中国に間違いありません」
「あの古狸め! 日本を売りやがったか」
「それだけ大山幹事長と中国も必死だと言う事です」
「あの狸もボケたようだな、中国の現状をよく見ていれば分かり得たことだ」
「公安もマークし続けているのだろう。経緯は分かっているのか」
「息子が、痴話喧嘩のすえ中国人女性を殺してしまったようです」
「証拠は挙がっているのか、なければ親子共々証拠の捏造で引張れないか? どうせやった事に対して罰を受けさせるべきだろう」
「分かりました。国の一大事ですし警視総監と法務大臣に相談してみます」
「失敗は許さんぞ、公安にも一応連絡しておけ。成功すれば総理大臣も夢でないと思いたまえ」
「はは、肝に銘じます」
「それにしても中国は軍も既にボロボロ、それでも諦めないつもりか?」
「既に手は打っています。人民兵に過去の中国内の悪行を閲覧させています。それによってゲート問題が解決したならきっと何かが起きるでしょう」
「君も中々悪い事を平気でするように成ったね」
「あの魔物によって平和ボケから目が覚めました。それに魔物に加担するような奴は許せません。誰が敵なのか分からない奴は存在価値もありません」
「そうか、目を掛けた甲斐があったよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます