第43話図書館
朝早くから図書館の前で、もう開くのかと大きなドアの前で歩き回りながら考えていた。
開く時間を聞かなかった俺が悪いのだが、何故こんなに開くのが遅いのだ。
やはりこの手の施設は融通が利かない。
やっと図書館の女性がやって来てカギを開けだした。
やっと開いたドアに滑り込むように入り、金貨と剣とナイフを渡してボディチェックをして貰う。
早くしてくれと、心の中で叫んでいた。
やっと終わると、早足で歩き出した。
昨日の読みかけの棚に行き本を取り出し、テーブルの上に置くとノートパソコンを開いて内容を打ち込んでゆく。
題名【王国の滅亡記】
10年前の内容は、王都から逃げ延びた人々の新魔王の恐ろしさをかたるものだった。
1つの魔法で、守っていた兵達が次々と倒れだし、抵抗らしいことも出来ずに門が開いてしまった。
そして魔王が王都を陥落させた時期に、人間達の能力が著しく低下したことが書かれている。
原因は分からず仕舞いに終わり、一部の貴族は魔王の呪いだと話していた。
そして大きな国でアタン大陸を制覇する目前での王都陥落は、貴族達の動揺を誘い王都陥落に対処できる貴族は存在しなかった。
そんな折に魔王から手紙が送られ、あらがうこともなく従うだけであった。
それ程、王都陥落は大きなショックであった。
それに喜んだのは、小国で連合していた国々であった。
題名【新たな国】
血縁で繋がる貴族同士で共闘し、近くの貴族を倒し大きくなったのが共和国であった。
その戦乱の中に若くして決起した1貴族から帝国にのし上げたミラノ大帝。
連合国のスキを突き言葉巧みに牛耳ったサクマ議長。
それに飽き足らず、孤立した貴族を取り込み連合国を大きくした。
その3つが出来上がり、互いにけん制しあったが帝国の提案で条約が結ばれることになった。
それ以降は、その3国と魔国がアタン大陸を支配している。
題名【はじめての魔法】
魔法には5つの基本魔法があった。
人の素質によって魔法の威力が決まり、オーレン大魔術士などはその素質が群を抜いていた。
その素質とは、知力であり魔法をコントロールする操作であり、魔法を使うMPの量であった。
木・土・水・風・火が基本魔法で木の植物魔法は使える者も1000年に1人のレア魔法であった。
それに続き土魔法も800年に1人の割合で現れていた。
火がもっともポピュラーな魔法で、魔物相手によく使われている。
初級:【灯火】は夜間の明かりに使われる。
初級:【火球】は遠距離魔法攻撃が可能で当たると燃やし尽くす。
中級:【火柱】は武器や魔法攻撃から魔術士を守る火の防御で、弱点は水魔法の攻撃には弱かった。
上級:【火災旋風】何本もの火柱を発生させ、辺り一面を焼き払いながら移動する広範囲の攻撃魔法。
上級:【火砕流】は高熱を持った微細な粒と空気が辺り一面を巻き込み、生き物を死滅させる広範囲の攻撃魔法。
上級:【火の復活】死者を復活させる魔法。ただし10%の成功で90%は死者を燃やし尽くして灰も残さない。
それ以外にもユニーク魔法があり、雷魔法・防御魔法・召喚魔法・闇魔法・亜空間魔法・影魔法・回復魔法があった。
そして、知識として伝わっている魔法は以上だが、知られて居ない魔法は数知れない。
題名【召喚魔法】
召喚魔法は特殊な魔法であった。
召喚儀式に沢山の魔石が使用され、床に魔法陣なる物を魔石を並べて作り出す。
術者はその魔石に1つ1つに印を唱える。
それは魔石によって唱える時間が違い、最短の物でも23時間も費やすことになる。
それによって異世界より強制的に召喚された者を、この世界の誰よりも強くなる為、禁断の魔法として
題名【亜人】
共和国が存在しているアタン大陸以外にアジン大陸がある。
アジン大陸は海をへだてた黒海の向こうに、存在していてアタン大陸の半分の大陸であった。
そこには人間と違う亜人達が棲んでいる。
森の木の上で生活している【エルフ】は、精霊魔法を使い弓の名手でもあった。
容姿は女神のように美しく、女性のみの亜人であった。
火山が噴火する。そんな地下都市に棲み、鋼の武器を作る【ドワーフ】が存在していた。
成人でも1.5メートルしかなく、髪や髭は赤毛で女性でも髭を生やしている。
一帯が沼でおおわれ、生きるものを引きずり込む沼には【リザードマン】が棲み付き勢力を伸ばしていた。
肌はウロコでおおわれ、尻尾も生えたトカゲ人間のような外見であった。
広い草原には、【ワーウルフ】が集団で狩りを行ない棲みついていた。
容姿は狼人間で、鋭い牙は獲物を一噛みで始末してしまう。
題名【魔王】
魔王は元は人間だと言われている。
オーレン大魔術士の弟子で名はロミオン、オーレンが死んだ後に、弟子同士の争いに負け逃れた先で新たな魔法を取得。
それは魔物を操る魔法で、その内容は極秘とされ誰も知らず名前しか分からなかった。
そして弟子の中で仲の良かった1人がそこへ訪ねて、その土地に黄金がねむる山の存在を知った。
題名【ドラゴン】
アタン大陸にブラックドラゴンの存在が古より伝え聞かされていた。
今は休眠期の為、人族は平和を満喫しているが、一旦目を覚ますと暗黒の世界に落ちてゆく。
それは、人族の滅亡寸前に休眠に入ったお陰で、人族は滅亡から逃れた。
その休眠に入った場所が、魔王が棲んでいた土地で黄金の山がそうであった。
古の文献を知る人々は、魔王討伐にも猛反対したが権力者の力に黙殺させられた。
【薬師】
薬師は薬草を秘伝の製造方法で薬を作り出す。
その製造方法を守る為、薬師専用のギルドが創設された。
その為、薬師は国の介入を押さえ込み、上納金の名目で金を納めている。
それは表の出来事で、裏では賄賂が横行している。
解毒草:一般的な毒なら、解毒剤で完治してしまう。
魔草:この草から作られた魔力回復剤は魔力を回復する効果がある。
眠り草:この草で人の睡眠を促される植物であった。それを簡単に使えるようにして効果を上げたのが睡眠薬であった。
それにより悪用が頻発する為、今は一般的には流通していない。
薬師が作り出す薬は、一般に知られていない薬が多く存在している。
題名【遺跡調査】
数少ない文献から、魔法の国の存在を知った。
そして、その国跡と特定出来た。
古き時代に繁栄した魔法の国が、この遺跡があることで証明している。
たまに発掘された遺物の中に、未知なるパワーが宿っていた。
そんな不思議な道具は解明できた物と、不明のままになっている物の2つだけだった。
解明できたと言っても、使い方が解明されただけであって、その仕組みは理解されていない。
遺跡には侵入者をはばむ幾つかのトラップが存在して、幾人の魂を葬り去っている。
しかし、何故そんな魔法の国が滅亡したのか、今でも分からない。
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