第44話遺跡への道のり
図書館を追い出されると、ギルドに向かうことにした。
受付嬢に帰ってきたことを知らせて、ついでにブラックウルフの魔石も出してみた。
受付嬢は驚いていたが、それなりの報酬を手にして出ようとしていたの、に呼び止められてしまう。
振り返ると、ハゲのおっさんが手招きをしていた。
「良く帰って来てくれたな」
「はー、約束ですから」
「お前だったんだろ。バレッタ様を助けた冒険者は」
「・・・」
「何もとがめようと言うのでなく、何やら不思議なスキルを持っているようだが、教える気は無いみたいだな」
「何でもかんでも知られると、こっちが危険な目にあいますから」
「そのスキルで、探し物はできないのか? 」
「実物かそれに関する物がないと、いくらなんでも探せませんよ」
「それもそうだな、悪かったいってもいいぞ」
「何か気になりますね。話だけでも聞かせてくれるとアドバイスが出来るかも」
「そうだな、これは貴族の依頼なんだが、ここから2日もかかる所に悪霊の遺跡がある」
「悪霊の遺跡!」
あの本に書かれた遺跡なら、行って見る価値はあるはずだ。
魔法に関しては、俺は
「確証はできませんが行ってスキルで探すことで、何かが分かるかもしれませんよ。それに遺跡には、興味があるので」
「そうか、これが目的の花だ」
その紙に花の絵が描かれ、不思議と魅入られる気がする。
「出発は朝一番だ。ギルド前で集合」
早く起きて来て見れば、ギルド前は賑わっていた。
あのトカゲの荷馬車が2台もギルド前に止まっていて、人も20人程が作業をしている。
あのおっさんが命令しながら、職員の手で荷物が積み込まれてゆく。
おっさんが俺に気付き、手招きをしてきた。
「やっと来たな、ボーエン、奴は見た目は若いがお前と同じ銀だから無茶をさせるなよ」
「なんだ、俺に子守をさせるつもりか面倒は見ないぜ」
「ハジメ、こいつの事は相手にしなくていいぞ、目的の花を見つけてくれ」
俺を含めて12人で出発することになったが、今回は荷馬車に乗っての移動で少しは楽ができるだろう。
俺はバッグからクッションを出し、尻にひきガタゴトと揺れる衝撃に備えた。
正門を出ると案の定、荷馬車は上下に揺れこのクッションが無ければ、尻に穴が開いていただろう。
ボーエンが前の荷馬車に乗り、このパーティのリーダになることが決まった。
一応、俺はサブ扱いで無茶な命令は聞かなくいいと、おっさんは言っていたがボーエンの性格だとどうなるだろう。
公爵には、門番を通して今回の事は連絡済で、フロルからは拷問されていた者が自殺したと念話で受けた。
そして長い間揺られながら、夕焼け頃には野営の準備が始まる。
準備と言っても簡単なもので、うちの班の女性の2人は荷馬車の中で寝るようで毛布を出している。
そして焚き火が付けられ、男性陣は焚き火の周りで毛布に包まって寝る感じだ。
食事は固いパンと乾燥肉を煮込んだスープだけであった。
俺は徹夜の見張りをするからと、5人に言って早く寝かせる。
何度も恐縮がって礼を言ってくるが、大丈夫だ明日はあなた達に任せるよと言うと簡単にOKをしてくれた。
ボーエンの班は、隠し持って来た酒で酒盛りが今でも続いている。
そして見張りもしないまま、気持ち良さそうに寝込んでいた。
やはり酔うと普段の判断が鈍っているのか、それとも何時ものことなのか俺には分からない。
遠くからレッドベアーの気配がしてくる。
ゲートを開き、背後からラルバの剣で雷斬りを試した。
雷を帯びた剣が4メートルも伸びて、まるでライト○イバーのような剣でレッドベアーを斬った。
シンメトリーのように左右対称に別れた体から魔石を回収。
切断面は綺麗なものだと感心してしまう。
ゲートを通って元の位置に戻り追加の薪を焚き火の中に放り投げる。
パチパチと音だけが暗闇の中に響いてゆく。
そして精神の鍛錬をする為、|胡坐(あぐら)をかく。
それと邪魔をされないように、結界を半球型に展開してボーエンらもその中に入れてゆく。
これで俺らのことは分からないだろう。そして結界の中にも入れない。
これで気がねなく精神鍛錬が行なうことができる。
目を半眼にして、精神の世界に入って行く。
すると周りからエネルギーが徐々に体に吸収されてゆく。
これは地球のエネルギーと違う、やはりマナと言う物なのかそれが体の中に充満する。
最初にこのマナで額の天門1段を開く。1ミリ程度の門が徐々に広がって行く。
それが終わると喉の天門2段へ集中して開く。
それが終われば胸の天門3段へと開きへその天門4段へ、そして最後にあそこの天門5段を開く。
全部開いたことでマナの吸収が増大していくのが感じられる。
しばらく精神鍛錬を続けていたが、すぐ近くの女性が目を覚ます前兆を感知。
そうか暗かった空が微かに光を帯びてきた。
精神鍛錬を急速に取り止めて、精神を元の状態に戻す。
そして結界も解除。
外の風が一挙に押し寄せて、焚き火の残り火を消してしまう。
2人の女性が荷馬車から降りてきて、食事の準備をしてゆく。
俺は薪を入れながら、消えた火を風魔法で風を送り込んで活発に燃える火に戻す。
食事が終わり、あんなに酔っていたボーエンは元気に出発の号令を発している。
そして退屈な移動が再開され、外の風景を何気なく見ているだけであった。
昼過ぎの2時間後にようやく遺跡らしい所にやっとこれた。
影で見えないが深い谷底の奥に遺跡があるらしい。
ここに野営の準備を始め、明日の朝から探索を行なう手筈になっている。
この遺跡に入るには、2つのルートがありボーエンは簡単に入れるルートを選んだ。
俺らは複雑ルートを押し付けられた。
遺跡の真上に到着するルートで、下手すると落ちる危険があった。
俺の手には、細かく書かれたルートの紙が、1枚だけ握られていた。
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