第36話中国の戦いⅢ




どうやら魔王も、中国のゲートに異変を感じたのだろう。

ここ最近、強い魔物が現れだした。


目の前の全長10メートルの赤い蛇が、俺に向かって毒霧を吐きかけてくる。

わずかに左腕にかかり、毒に侵されようとしている。

しかし、俺は植物魔法でその毒に対抗する毒を作り出し、中和させる事に成功。

今度は赤蛇の眼が赤く光だし、凄い眼光で睨みつけてくる。

普通であったなら、その睨みで精神を支配されていただろうが、精神疲労耐性のスキルで耐える。

俺は後方に飛び跳ねながら距離を取り、赤蛇に結界を展開して閉じ込める事に成功。

魔力を注ぎ込み凝縮させて消滅させることができた。


空では、俺の従魔らと魔物が戦いの最中で、俺の方まで助ける余裕はなさそうだ。

やっと赤蛇を倒したと思ったのも束の間、巨大なクモが2体もやってきた。

早速、クモの糸を吐き出し、俺を捕まえようとしているが容易く捕まる気はない。

風魔法の【暴風】で広い範囲に飛んでくる糸を押返して、クモにその糸をお返ししてやった。

2体は、糸に絡まり身動きが出来ない状態。

土魔法の【石弾】を発生させ、クモを穴だらけにして仕留める。

それでも戦いは終わらない。

続々と魔物が集まってくる。

その度に【石弾】を展開して、連続発射をし続ける。

石で出来たゴーレムは強かった。

【石弾】を千発以上も撃ち込んでも、すぐに回復しやがる。

同じ石なので貫通までいかない。



なら石より硬い物ならいけるのか? あ! それならと近場の木を雷魔法で燃やし尽くして炭素を作る。

それを【創作】で超高圧に凝縮して、雷魔法で熱してダイヤモンドの弾を作りだした。

MPの消費は半端なく消費。しかし、それだけの価値はあった。

直径5センチで長さ10センチもある、ダイヤモンドの弾丸。

その弾に【強化】を施して、衝撃や熱に強い弾丸へと変えた。


そして充分な回転を加えて撃ち出す。

ゴーレムの腹に、大きな穴を開け貫通していた。

穴の開いた部分は、すぐには回復できなくてふらつくゴーレム。

貫通した弾の軌道をコントロールして、再度ゴーレムの胸に貫通させると、魔石を破壊したらしく倒れた。


「ヨッシャー、手間を掛けさせやがってー」


その弾を俺の手の上に戻すと、大事に収納。

これで終わりかと思ったが、更なる敵が現れた。


地響きが周りに響くと、巨大なマンモスが現れ鳴き叫んでいる。

【石弾】を100程撃ち出すが、あの硬い毛にはばまれダメージを与えられない。

ダイヤモンドの弾をだし、高速回転させて撃ち出した。

マンモスの額を貫通して、マンモスは呆気なく倒すことができた。


そんな強い魔物が、幾度も現れて挑まれ続いた。

何度か危ない目にも遭ったが、上手く対処して倒し続けた。

そして6日も続いた戦いは、終わりを告げた。

100キロ以内には、魔物の存在も気配もしなくなった。

あとはバワンらに任せて、例の部屋でようやく眠りにつくことができる。



その前に、スマホで中国情報を収集。


やはり俺の活躍で、魔物の戦力が大幅に落ちた。

中国側も戦力の統廃合を進め、新しい組織で立ち向かうようであった。

そして自衛隊の組織にも、中国の人民兵が加わることになった。

その人民兵は、自衛隊の命令に服従することを書面で誓いを立てたそうで、自警団の更なる仕事が増えることになる。

その人民兵の数は2万で、中国全土から家族の為やお金や野望の為集まった人民であった。

中国側も色々な思惑があったのかも知れない。



アメリカは日本からの増援で、徐々に包囲網を縮めようとしている。

アメリカのギルドの活躍も著しく、強い覚醒者を誕生させだしている。

そしてあのミサキも頑張っていて、アメリカの女神としてテレビにも取上げられ有名になっている。

そのミサキ目当てでギルドに入る若者が多く、少し問題にもなっている状態。



インドの状況は、相変わらずインド側が攻撃しなければ、攻撃してくる事は無かった。

どうも魔王も重要視していない雰囲気が漂っていた。

インド政府も下手に出兵して、元も子もなくなるのを恐れて、手出ししないようになった。


イングランドは、強い魔物がゲートを守り続けて、来る者は一瞬で全滅させている。

その為、政府は10キロ内を立ち入り禁止に決め軍隊が警備している。

その為、いたって被害の少ないゲートとして有名で、科学者が10キロ離れた所から観察し続けている。

専用の測定機器などが運び込まれ、沢山の学者でゲートの解明に取り組んでいる。

そして今までに分かったことは、ゲートから正体不明のエネルギーが観測されたこと。

そして魔物の言語分析で、単純な言語が解明されたこと。

「やっつけろ」

「殺してやる」

「あつまれ」

「もどれ」

「馬鹿野郎」

などで、あとの言葉は引き続き言語分析をしている。


そして科学者が居る10キロから更に後方には人垣が常時できていた。

バスや車がやってきて観光スポットになっている。

恐い物見たさで集まる観光客、それを取り締まるポリスで賑わっている。



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