第14話新たなゴーレム




いよいよ小型水車に水を流す為、水門の板を引き抜いた。

川の水が水路へ勢いよく流れ出し水路を満たして行く。

流れるさまをスマホで撮った。

ただ流れているだけで、うきうきするのは何故だろう。

何か童心に戻った気分がそうさせるのだろうか?

角度を変えながら撮ったり、水路にまたがって撮ったりする。

そして流れる水が水車は静かに回し出した。

電気測定器の数値が上がり280Wを示している。


これなら冷蔵庫を24時間使っても大丈夫だ。

それ以外にも電化製品を多分使えるだろう。

そしてバッテリー内に俺の魔力を流し込むんだ。

そうする事で電気量が2倍近くなるのだ。

雷魔法の知識とバッテリーを鑑定した事でひらめいた知識である。


それと電気の流れが見えるようになった。

鑑定と併用する事で家の中の配線内に流れる電気が見える。

そして漏電している2ヶ所を発見。

今、天井裏に這いずりながら、漏電を直している。

周りのホコリが舞い上がり、ゴーグルとマスクをしての作業は辛い。


それにしても魔法の使い勝手のよさに驚く事ばかりで、使いこなせばもっと便利になるだろう。

やっと漏電を直し天井から降りると外へ直行。

頭の先からツナギまではたいてホコリを落としてゆく。

水路の水を頭からかぶりながら、ホコリと汗を流しているとゴーレムが寄ってきた。

そしてゴーレムの周りをネズミが3匹も走り回っていた。

胴体は20センチでシッポが10センチの大きなネズミ。


ゴーレム・チューゴ


Lv1


HP10

MP3


STR1+5 VIT1+5

DEF1+5 INT1+5

DEX2+5 AGI3+5


キラーズを知らないうちに、土魔法の【拘束】で倒していたようだ。

そして、ゴーレムになって蘇った。

AGIが高いから今後は、偵察などに使う事ができるだろう。


水路でツナギなど手洗いして物干しに掛けておく。

洗濯機が欲しくなってきた。そうだ冷蔵庫もまだ無いんだ。


新しい服に着替え、軽トラを走らせる。

助手席には、3匹のチューゴを連れて来ている。

1人だと少し寂しいからかも・・・




ようやく大型家電店に到着。ここも来る途中にも人は居なかった。

そして大きな冷蔵庫を見て回り、良さそうな2ドア冷蔵庫をそのまま抱え軽トラへ運ぶ。

ステータスが上がり、冷蔵庫なら1人でも持てるぐらい力強くなっている。

今度は洗濯機を選ぶが、ドラム式洗濯乾燥機が232,600円もしている。

罪悪感は無い訳ではないが、こんな世界でここで生きて行く為には、仕方ないと言い聞かせてそれを抱え運び出す。


そして電動工具コーナーを見て回ると、電動マルチツールを発見。

高速振り子振動で切る・剥がす・磨くが1台でOKの優れものでブレード幅で切れるのが良い。

これも最近、動画で見て欲しくなった商品であった。

展示物の番号を確認して、下の棚から箱を取り出しザッと説明文を読む。


軽トラに向かって歩き出した時に、ようやく魔物と戦っているチューゴの気配に気付いた。

何かに注意が行っている間は、気配探知に気付かなかったみたいだ。

駆け出して軽トラの所まで行くと、すでに戦いは終わっていた。


ブラットの死体が30体、キラーズが80匹も所狭しと転がっていた。

え!チューゴってそんなに強かったのか?


ゴーレム・チューゴ


Lv5


HP50

MP15


STR4+5 VIT2+5

DEF3+5 INT2+5

DEX6+5 AGI8+5


高速攻撃(高速に回転して瞬時に穴を開ける攻撃)

高速移動(移動速度が2倍に速くなる)


3匹共Lvアップして強くなっていた。

体が30センチになりシッポが15センチに成長している。

どうやら魔石を取り出し全部食べてしまった様だ。

そのせいでLvアップをしたのかも知れない。


ブラットを通行の邪魔にならない所まで移動させ。

軽トラに乗り込んで出発。

チューゴ達は助手席で、腹を膨らませて好きな姿勢で寝転んでいる。


山奥の家にようやくたどり着くと、冷蔵庫とドラム式洗濯乾燥機を運び込んだ。

ドラム式洗濯乾燥機を設置してホースを繋いでコンセントを差し込んだ。

説明書を見ながら、汚れのひどい物を入れ洗剤をセットしてボタンでコースを選んでスタート。


今度は冷蔵庫を設置してコンセントを入れると、微かに音が聞こえ稼動しているみたいだ。

入れる物が無いのでお茶でも沸かし、入れようかと思うとIHコンロも欲しくなった。


今まで不便だったが、それでも楽しく不便を楽しんでいた。

電気が不自由無く使える様になって、家電に頼るようになって来た。

どうしたもんかと悩んでしまう。


まあ好きなように生きるしかないか・・・

ここには、俺と従魔しか居ないのだから。



裏庭の風通しの良い場所を選び、地面に手を付き土魔法の【創作】を発動。

地面がせり出し徐々に形を成型しだした。

イメージがまとまると大きな岩が幾つもせり出してくる。

この大岩は庭の地中に埋まっていた物だった。


露天風呂の浴槽を一気に作り上げてゆく。

足を伸ばせゆっくり浸かれる大きさの岩風呂が出来上がった。

固まった土を【強化】で更に固くしてゆく。


排水穴を塞ぐ為に、手頃木材で【創作】を使って栓を作って塞いだ。

ホースを引っ張り、浴槽に入れてから蛇口を開くと水が出てきた。

水が溜まるまで、排水溝を【創作】で作ってゆく。

従来の排水溝へ繋げて、排水溝のフタも作って被せておく。


露天風呂に戻ると水が溢れる手前まで溜まったようだ。

今日、見つけた投込み湯沸器(温度調節付き)を投げ込んでスイッチを入れる。

この先端の棒が熱くなり、水がお湯になる仕組みになっている。

火を使わずに、岩風呂を湯にする事が出来たなら儲け物。

上手くいけば、内風呂もリフォームして広げてみたいと思っている。


五右衛門風呂は狭く湯加減が難しいのが難点だった。

しばらくするとかき混ぜて、時間潰しにスマホの投稿記事を読んでゆく。



その記事は、多分俺の事だ。

謎の青年が救助要請者14名を救出。そんな見出しが書かれていた。

救助者のインタビューなどが書かれ、名を明かさず去っていった。

幾つかの戦闘の秘話や謎に包まれた人物像が囁かれていた。


そして脱出までの住居侵入や盗みは、犯罪ではないかと言う者もいた。

しかし、それを行なわずに生きられないことも事実で、警察も不問にしていた。

警察も救助要請に行動できなかった負い目があった。

それで犯罪者として捕まえると、自分で自分の首を絞める羽目になることも分かっていた。


そう言えば、俺は名を言わなかった事に今気付いた。



今あの人達はどうして居るのだろうか?



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