第10話別れ
スマホのベルで目覚めた。時間は5時半を指している。
昨日の事を思い浮かべながら、自分のステータスを表示。
紅 一
Lv6
HP70
MP80
STR8+2 VIT3+2
DEF3+2 INT4+2
DEX3+2 AGI5+2
SP2630
植物魔法・土魔法・風魔法(初級)
鑑定・従魔強化・防御強化・気配探知
称号
魔物を従えし者
SPがSP2630まで溜まっている。
スキルを探すとSP2000の選択で魔法強化があった。
それは、魔法の威力を2倍にするもので強力だと感じる。
しかしSP2000の選択で剣士もあった。
剣士用のスキルを取得したりできるし、その上の剣豪のスキルを選択できるようになるらしい。
どれだけSPを使わせる積もりだと感じるが、どれにするか悩む。
ここは神頼みに任せるしかない。
500円硬貨の500円表示がでれば魔法と決め、天井近くまで弾き落下するのを掴んだ。
手を開くと500円表示であった。
魔法強化を取得。するとMPがMP120に増えていた。
それとINTもINT8+2に増えていた。
それに気をよくした俺は、残りのSP630で選択できるスキルを探す。
SP400でMP回復があり、回復速度が速くなるらしい。
せっかく魔法強化を選んだからには、MP回復を選ぶしかない。
早速、MP回復を取得。
残りのSP230は次回の為に残しておく。
そんな事をしている間に、部屋の外が騒がしくなっている。
子供達は騒ぎながら朝食を食べて、なんやら分かり難い言葉を喋っていた。
どうやら夢の話をしているらしい。
それが俺と沢山の狼が戦っている夢らしい。
大人達は一瞬、静まり返ったがハハハと笑い出した。
昨日検討したルートを|颯爽(さっそう)と自転車で走っている。
海方面に出て海岸沿いに走るコースである。
海からの襲撃がないだろうと考えたコースであった。
道路も真直ぐ進む為、見晴らしも良くなる。
佐藤「海の匂いだ。もうすぐ海が見えるぞ」
緩やかな坂を上りきると海が見えた。
キラキラと海面が光り、潮の風が押し寄せてくる。
海岸沿いの走りは順調で、このまま走れば着きそうな感じだ。
しばらく走り続けていると魔物の気配が感じる。
結構数の多いキラーズと20体のブラッドを探知。
「ストップ!魔物が多くやってくる。ネズミが90匹、狼が20体ここで迎え撃つ」
剣士の女性に刀を渡し、大人2人が子供達を守るよう指示。
そばには、シアンの鉢を置き同じ様に守るよう指示。
佐藤さんは素手で戦うらしくシャドーボクシングをしている。
魔法持ちは、敵が来る方向を真剣に見ている。
猟銃を構える男性と、サバイバルナイフを持つ男性が黙り込みながら敵の来る方を見ている。
ブラットが先頭を凄いスピードで走って来た。
俺の風斬が8体を倒したのを切っ掛けに、魔法攻撃が開始された。
炎の球がブラットを焼き尽くす。【乱風斬】が4体のブラットを斬り切り刻んだ。
ブラットが全滅した頃、キラーズがやって来た。
海近くで集めた石が20個とも浮かび回転させ打ち出した。
キラーズに当たり砕けた欠片が周りのキラーズを巻き込む。
その衝撃音が凄まじさを証明させている。
光のビームがキラーズを次々と消滅させていく。
ミサキは肩を上下させてふら付いていた。MPの消費が激しいみたいだ。
キラーズへの攻撃が30分続くと5匹が抜け出し向かってきた。
猟銃の弾はハズレ、俺の風斬が2匹を始末し。
佐藤さんは1匹を蹴り飛ばした。
剣士の女性が1匹を斬り捨てて。もう1匹はシアンの毒針で倒れ数秒で死んでしまった。
ようやく戦いは終わり。ミサキは座り込んでいた。
そんな光景を見た子供達は大喜びで騒いでいる。
佐藤「魔法は本当に凄いな」
「そんな事はありませんよ、戦闘系が居ないと近づかれると危ないですよ」
佐藤「そう言う君は両方使える様だが」
「たまたまですよ」
この戦いでLvアップした者は多かった。
それぞれスキルを取得しだしている。
Lvアップしなかった者は、寂しそうにそれを見ていた。
MP消費で疲れている者はミサキだけで、それ以外は居なくなった。
Lvアップで回復した者が大半だった。俺は紫魔石を用意するべきだったと反省。
すっかり忘れていた。
皆は怪我も無いので出発する。
長い間走り続けた。そして16時頃にどうするか話し合う事になった。
1泊するか走り続けるか。後3時間走り続ければ神戸に着きそうな距離。
走れば暗くなり危険が伴なう。しかし全員の意見は決まっていた。
早く安全な世界に戻りたいのだ。
再度走り出すと、皆の顔に希望があり。
べダルをこぐ力も増している様である。
佐藤「明かりが見えてきたぞ。神戸だー」
道路の標識にも、ここから神戸と書かれていた。
佐藤さんはスマホで電話すると繋がり、自衛隊が迎えに来ると言ってきた。
その事は全員喜び抱き合う者いる。
気配探知を使って確認するも、魔物の気配はなく人間の気配がする。
「皆さんお別れですね」
佐藤「何を言っているんだ。一緒に行くんだ」
「いえ、俺には帰らないと行けない所があるんです」
ミサキ「どうしてですか。何故行くのですか?」
「俺が決めた事です」
刀と猟銃とサバイバルナイフを返してもらう。
魔石の入ったバッグの大きい方を渡すと、がっしりと握られた。
佐藤「本当にありがとう。絶対忘れないから絶対に借りは返すから」
そう言って泣き出した。それに釣られて泣き出す者が増えだした。
しまいには子供達も泣き出した。
俺は自転車にまたがり走り出した。
後の方から「ありがとう」の声が幾度も聞こえてきた。
俺は振り返る事もなく走り続けた。
まだ都会には住めない。
今回も必死に我慢していたのが実情であった。
だけどほんの少しだけ、対人恐怖症がやわらいだかも知れない。
多分この力が無ければ絶対、会話も続かなかっただろうが・・・
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