第5話怪鳥現れる




朝早くから鳥達の鳴き声がうるさい。

家を飛び出すと、何やら鳥達が南の方を警戒しながら飛び回り鳴いている。

見ると何かが飛んで来ている。

まだ鑑定できる距離でない。


そんな事を考えていると、何時の間にか近くまで来ている。

ソイツは俺の頭上を通り過ぎ、ふわりと屋根にとまり俺を睨んでいた。

すかさず鑑定。


バードン


Lv5


HP20

MP50


STR4 VIT4

DEF3 INT5

DEX3 AGI4


風魔法


俺は飛び跳ねて土塀を乗越え、出入り口のツータンへ駆け寄った。

地面から適当な石を、土魔法の【操作】で取り出し空中で回転させて待機。


そんな俺の行動を見ながら、不思議そうに頭を傾けて見ている。

バードンはゆっくりと翼を広げた。それは5メートルにもなりフワリと空中に浮き出した。

そしてバサリと羽ばたくと、ゆっくりと睨みつけたまま俺の方に向かって来た。


俺はもう少し近づくのを待つ。

いい距離にきたので、


「ツータン!拘束しろ!」


4本のツタが伸びて一瞬でバードンを拘束。

驚いたバードンは暴れだすが、すでに遅かった。


地上から5メートルまで引き寄せられたバードンに、俺は狙いを定めて回転した石を発射。

胴体の中心を貫通。その瞬間、糸が切れたように地上に落下。

いつの間にか来ていたゴーレムにボコボコにされるバードン。

わずかに抵抗していたバードンもようやく動かなくなった。


俺は軽トラを、バードンの横に停車させて何枚か写真を撮った。

比較するとバードンのでかさに改めて驚いた。

そしてサバイバルナイフで胸を裂き、探すとお目当ての物を発見。

それは、紫色の魔石だった。

すぐに鑑定する。


紫魔石(魔力が溜まった石。魔力を吸収するとMPが回復する。初級の風魔法が使えるようになる)


なんと今度はMPを回復する魔石であった。

そしてそのMPを取り込む事で初級の風魔法も使える様になるらしい。

MPはわずかしか減ってないが、魔力を吸収する。

ジワジワと魔力が流れ込んでくる。そして風魔法の知識も入ってきた。

植物魔法と土魔法の魔法知識と比べると、知識量はやはり少なかった。

フッとため息をついた。

紫魔石を大切にウエストポーチに入れる。


早速、撮りたての写真を投稿する。

バードンのステータスも一緒に投稿。

そうだ、魔石の事も投稿する方が良いだろう。



しばらくバードンについて考えた。

あのバードンは、1体だけでは無いはず。

又屋根にとまられると厄介だ。そうだ屋根の上にもツータンを置こう。


屋根に梯子を掛け、レンガで土を置けるスペースを作る。

接着には屋外用コンクリート用接着剤を使用。

バケツで土を運んで、いい具合にできた中へ入れていく。

ポンプにホースをつなぎ、1つは雨水タンクにいれもう1つはツータンの水やり用に設置。

ボタン1つで水やりができるので、これで良いかなと思う。


そこへ先の討伐でLv3になったツータンを植える。

Lv3になった事で、どうやらツタを使ったツタ攻撃が出来るようになった。

ムチの様に振りながら叩き付ける。その攻撃は大きな木でもへし折る攻撃であった。


ツータンを見ながら、


「どうだ、狭苦しくないか」


フサフサと動き、大丈夫だと意思表示してくれた。


「そうか、頑張って守ってくれよ」


下から見上げると、気持ち良さそうにツタを屋根いっぱいに這わせている。

太陽も良く当たり、案外良い環境かも知れない。

これで屋根の仕事も終わった。


先のバードン討伐で貰ったSPは100で、それだけ強い魔物だったと分かる。

多分、油断していたから勝てたと思う。

合計SP170だが、SP100の選択からスキルを探す。

良さそうなのは防御強化で、皮膚の強度が増すようである。

ナイフ等で切り付けても、そうそう切れない強度になるらしい。

これに決めたので念じる。


あれ!余り変わった感じがしない。

サバイバルナイフで、指先を切ってみる。

お!切れない。今度は握ってサバイバルナイフを引き抜く。

おおお!切れてない。

スキルは凄いと感じてしまう。



そうだ畑を作ったままだった。気になるので畑の確認をしよう。


その前に、稲の苗も見ないといけない。

まず大き目のタッパ2つの中は、稲の苗が順調に育っている。

やはり[成長]が効果を表している。

後5日ぐらいで、10センチメートルの高さに育った苗になるだろう。


長いホースを伸ばしながら、畑に向かう。

ホースの先端から、水を出して水やりをする為だ。

地面に手を付き、畑の状態を確認する。

なになにあそこが水分不足か、分かった少し多めに水やりをするから待っててなー。

畑を見渡しても順調に10センチまで育っていた。


次は小川に行き、乾いた毛皮を確認。

まあまあの毛皮になっていて一安心だ。

やはり鑑定しながらやると、素人でも失敗しない様だった。

今は使い道が余り無いが、経験だと思いよしとする。


ロープで束ねて背負って、家へと向かうのだが時折冷たい風が吹き気持ち良い。


家に戻ったが、まだ昼前で早いと思いながら薪ストーブに火を付ける。

薪がぱちぱちと弾け、炎がゆらゆらと燃え盛る。

小鍋に水を入れ、薪ストーブの上に置く。

しばらくすると沸騰したので、味噌味の袋麺の麺を入れる。

ほぐして鑑定で見つけた草を千切りながら投入・・・粉スープを入れ完成。


「ズズズーうま、あの草がアクセントになって美味い」


まだ時間もあるし、下に行って肥料など取りに行くか。

軽トラに乗り込んで、狭い道を走る。



農村で見つけた肥料を担ぎ、軽トラへドンドン運ぶ。

農薬も有ったが、植物魔法があるからパスだ。


普通だと人が居なくなると、猪が出るのだが見かけない。

猪も魔物の餌になったのだろうか、静かな農村で俺が出す音だけが響き渡る。


隅々まで探す中で農具と猟銃が有った。

そして猟銃のロッカーの中には、刀が2本入っていた。

こじ開けるのに苦労したが、刀を抜くとズシリとして緊張が走る。

良い物を見つけた。それにしても猟銃と刀を手に取った事で、犯罪者になった気分になる。

そうかすでに銃刀法違反をしてるし窃盗もしている。

しかし俺の生命を守る為だから、正当防衛だと主張出来ないだろうか。

悩んだ末一緒に持って帰る事に・・・



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