第4話新たな従魔ゴーレム




鳥達のさえずりで目を覚ました俺は、都会と違う自然の目覚めだと実感する。

グッと背伸びをしている最中に、昨日の事を思い出した。


「そうだった、のんびりしていられない」


ラフな格好で菓子パンを食べながら表に出ると、清々しい空と朝日があった。


昨日の夜にブラットの画像とステータスを投稿した後の事を確認。

未知の生物で有る事に間違いなく、ステータスにも皆驚いている。

内容的に賛否両論で賑わっているし、励ましの書き込みも見られる。


そして、夜間の自衛隊の戦闘シーンが一部、一般人による盗撮動画として投稿されているのを発見。

夜間なので魔物はハッキリと確認できないが、発砲音がけたたましく響いていた事は分かった。

それが30分程続き、急に止むと辺りがシーンとして自衛官の囁きが少し聞こえるだけだった。

その動画に対して、様々な憶測や心配する書き込みが見られた。


そして土塀の周りに魔物が捕らわれていないか見て回る。

どうやら土塀には居なかったので、木の方を見て回ると5匹のキラーズが絞め殺されている。

ツタは案外、拘束して締め付ける力が強いらしい。

そして新たに5体のツータンの誕生でもある。


今日は1日掛けて、ブラットの解体をする予定。

昨日、血抜きの為木に吊るしておいたブラットに向かい、サバイバルナイフで解体を始める。

鹿の解体動画みたいに上手くはいかない。

時間を掛けてやっているが、精神的にも疲れた。

そもそも魔物の狼を食べれるのか、そう思うと食べれそうに無い。

まだまだ食料は、2ヶ月も持ちそうなので毛皮だけはぐ事にする。

そうしていると腹から、何かが落ちた。


拾って見ると、10センチ程の赤い結晶でキラキラと綺麗だ。

鑑定をしてみる。


赤魔石(魔力が溜まった石。魔力を吸収するとHPが回復する)


俺は魔石を見ながら、


「嘘だろ、ここはゲームの世界にでもなったのか?」


しばらく呆然としていたが、気持ちを切り替えて解体を再開。

毛皮と魔石だけ取るので、作業的に楽になり昼頃には終わり。

近所のじいさん達に動物を狩ったら無駄にするなって、いつも言われたな・・・



家に戻ってブラットの肉は植物の餌に、え!ツタを突き立てて栄養を吸ってるぞ。

ああ、もうビックリだよ。


そのビックリも最初だけで、餌をやるにが嬉しくなってきた。

ああ、もうないや。



家に入って菓子パン2つを食べながらテレビを見ていた。

又も政府批判の討論をしていたので、変えると同じような内容ばかりで諦めて消す。

ぬるくなったコーヒーを、一気に飲み込んだら作業の再開だ。


毛皮をロープで縛り、小川まで持って行き。

ナイフを使って皮の脂をキレイに剥ぎ取る。

剥ぎ終わると川でジャブジャブと洗う。

獣の匂いがするが、我慢しながら作業を続けて終わった頃は16時過ぎ。

枝に掛かった毛皮を眺めて「ああ沢山殺めたんだな・・・」罪悪感は無いが自然と言葉になった。

干したままにして家へ帰る為に後片付けをする。



戻るとツタ達に植物魔法の【拘束】を掛けなおして、土塀の植物達にも同じ様に掛けて終わる。


「お前ら、しっかり守れよー」


一人暮らしが続くと、独り言が多くなってしまった。

ハハと笑いながら家に入ろうとした時、警戒の思念が伝わる。

引き返し飛び跳ねて土塀の上に着地。

見渡すと遠くの茂みが揺れている。


ツタの所まで駆け出し、茂みの動向をじっと眺める。

飛び出したのは5体のブラットだ。


俺は地面に手を付き、土魔法の【拘束】をブラットの下の地面まで発動。

5体のブラットは、あっという間に地面に飲み込まれて消えた。

しかし、まだ生きている気配が伝わってくる。

1分2分・・・・7分、ようやく死んだようだ。


消えた所まで行くと、地面がグググとせり出した。

それは1メートル程の太った土人形であった。

俺はとっさに後へ飛び退いた。


急いで鑑定。


ゴーレム(魔石を取り込んだゴーレム)


Lv1


HP10

MP5


STR2 VIT2

DEF2 INT1

DEX1 AGI1


成る程、魔石を取り込んだ事で生命が宿ったのか、それでこのゴーレムも俺に従うみたいだ。

出来立てだからか歩くのもぎこちない。


「ツタの防衛ラインの中に入れ。お前達は、ここで守れ。分かったな」


ぎこちなく少し頭を下げると勝手に動き出した。


1体は頭を動かし、監視しているように見える。

もう1体は、座り込み遠くを見ている。

後の3体は、どんどん歩いて見えなくなった。


「まあ、頑張ってくれ」


家に入り、ブラットの事を思い出すと急に怒りがわいた。


「クソ!あいつ等は何時まで襲ってくるんだ」


畳の上で大の字になって天井を見上げる。


自分のステータスを表示。

SPは1070になっていた。

新たにスキルを探すと、やはりSP1000で選択できるスキルがあった。

どれにしようかと探していて良いのが有った。

従魔強化で俺に従っている従魔が、全ステータス+5加算され強くなるらしい。

これは選択するしかないだろう。


土塀の所へ行き、鑑定する。


シアン


Lv2


HP10

MP15


STR3+5 VIT2+5

DEF2+5 INT2+5

DEX2+5 AGI3+5


毒針(毒で相手を殺す)


俺より強くなっている。それに毒針まで知らない内に持っていた。

これはこれで良いのかもしれない。


アンパンを食べながら、スマホを見ているとようやくステータスを見ることのできる人が現れたらしい。

その人は自衛官で、テントで寝ていた時に事件が起きた。

同僚の1人が襲われ、首筋を噛まれ死にその騒ぎで目を覚ました。

どうにか捕まえてキラーズを両手で絞め殺したらしい。


そして、その後ステータスが現れ驚いたと言っている。

その自衛官は、火魔法を取得して火魔法の動画もアップされた。

手から炎の球が発射され、的の木を燃やし尽くした。

その動画再生回数がドンドン増え続けている。


ステータスを見る為には、危険が伴なう事を注意しないといけない。

初めての戦いが大きなブラットだと、俺自身も勝てないと思う。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る