第24話 卒業

 3月。ハカドルは五年間通った大学を卒業した。すぐに就職はしなかった。


 最初、フリーターになる予定だったが、夢は小説家になること。本屋さんで働くのもアリかな、と考えていたが、違った選択を取ってみた。


 まずハローワークに行った。障害者手帳を見せて、障害者雇用枠で正社員になることを希望した。しかし、実家の富山では、なかなか障害者を雇って、+αで小説家を目指せるところはなかった。ゲーム会社にシナリオライターとして就職するという手もあったが、ああいう会社は、まずラノベの賞を取らなければ、雇ってもらえない。いろいろなブログから、ハカドルは情報を収集した結果、地道にコツコツとラノベの新人賞に応募しようと考えた。


 株で貯めた300万円を使って自費出版という方法もあった。けれども、小説家になると同時に、1000万円貯めたかったので、自費出版はもう少し余裕ができてから、出版することにした。ある本には、自費出版はおすすめされていなかった。


 過去にハカドルはやりたいことリストをつくった。


・小説家になる

・株で1000万円貯めて投資家になる


 そのほかに、やりたくないことリストをつくった。


・働きたくない

・満員電車に乗りたくない

・家事をしたくない


 結果、ハカドルは実家暮らしで子供部屋おじさんをしながら、正社員を諦め、就労支援に行くことにした。


 富山県の高岡市にあるB型作業所。イラストレーターを目指す会社なのだが、小説家も同時に目指すことができた。今、ハカドルは仕事をしながら小説を書いている。最高の環境を手に入れた。


 小説やイラストをしてお金がもらえる。アマチュア作家には天国の環境だった。


 ミサキから出された課題は、引き続きしている。本を読んだり、軽い運動をしたりと毎日が充実していた。大学を卒業し、B型作業所に就職し、ハカドルは大学のみならず、ミサキからの卒業が近いことを危惧していた。ミサキと会う頻度も、毎日から週に一回に減っていった。


 と、と、と。大事なお知らせ。障害者のハカドルに、同じ障害を抱えている年上の女性が、とどのつまり、端的に言って、一言であらわすならば、“彼女!“ができた。出会うきっかけは、職場の女友達の紹介。職場で仲良くなった人妻の40代の女性に紹介を受けて年上の彼女ができた。


 もし、これがエンターテイメントならば、ハカドルはミサキと付き合ってハッピーエンドを迎えるだろう。しかし、残念ながら、ミサキはラスボス。ハカドルは童貞を卒業して、三人から五人の女性と関係を持ち、再度、ミサキに突撃する予定だ。


 ラスボスを倒すのには、まだ早い。ただ、ハカドルは年上の女性とキスすることに成功した。


 非モテ童貞から、キスできた彼女持ち童貞にレベルアップした。これも本を読んだおかげだ。恋愛工学のおかげさまだった。


 卒業し、イラストレーター研修生になり、B型支援所で小説を書いている。彼女ができた。これが今回、報告すること。一応、26歳までに彼女をつくる、と裏目標は達成された。次の目標は、童貞を捨て、ミサキにアタック。最終的な目標はミサキと恋愛すること。まあ、非モテコミットし過ぎるとミサキに嫌われるので、そこそこに適度にアプローチをかけたいと思う。


 夢も、


・小説家になる

・投資家になって1000万円貯める

・イラストレーターになる ←New


 と更新された。


 人生は長い。しかし、本を読んで勉強し続ければ、どんどん好転する。熱中して、没頭すれば人生はあっという間に終わる。面白くなき人生を面白く。ハカドルは夢に向かってどんどん行動を進めていった。


 勉強、行動、継続、なのだ。

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