第19話 裏目標
お正月。謹賀新年。明けましておめでとうございます。
あれから三か月が経過し、1月1日になった。午前0時。紅白歌合戦が終わって年越しそばを食べて、みんなで神社参りをする。
大学は冬休み。ハカドルの実家は富山にあり、石川から富山に帰省した。なあに、すぐに帰れる距離。電車に乗り、帰宅まで、時間にして40分しかかからなかった。
北陸は豪雪地帯で、特に新潟がひどい。福井がひどい。石川も富山も大雪が降る。たまにニュースで話題に出るほどには、豪雪地帯だった。今年の雪は例年に比べて、まだマシで、初詣は滞りなく終わった。
当たり前だが、ハカドルの実家なのでミサキはいない。ミサキから宿題を言いつけられていた。
「新年の目標を紙に書いて提出してください。手書きでお願いします」
これは、思考は現実化する、という有名な本だ。
書いた目標を部屋の一番見えるところに貼り、毎日目を通すことでカラーバス効果が働き、夢に向かって情報が集まりやすくなる。ハカドルは今年の目標を紙に書いてミサキに提出するために、ファイルに閉じた。
目標はこれ。
・小説家になる
・投資で1000万円貯める
小説家になることとインデックス投資家になること。これだけは譲れない。
次に、今年の小目標を書く。できるだけハードルの低いもの。
・毎日、株ブログを書く
・毎日、小説を書く
・毎日、15分以上の軽い運動をする
・毎日、本を読む
これくらいだろうか?
次に、絶対にやりたくない、嫌なことをやめる目標を書いた。
・電車に乗りたくない
・働きたくない
・バイトで接客したくない
・家事したくない
ここから見えてくるのは、ハカドルは富山県の実家で暮らし、小説家と株の兼業をしながら、お手伝いさんを雇う、という理想が見えてくる。
何も目標がない人でも、絶対に嫌なことはやりたくない目標を立てるといい。そうすると自分の願望が見えてくる。
さて、ここまでは良い。宿題を確認し、提出を万全のものにする。ここからが本番だ。裏目標だ。ハカドルはミサキに黙って裏目標なるものをつくっていた。それは、
・26歳までに彼女をつくる
だった。
苦節25年。彼女いない歴=年齢の童貞ハカドルは大学で馬鹿にされ続けていた。女友達を部屋に呼び、良い雰囲気になったときも手を出さなかった。安全パイとみなされ、女性陣から総スカンをくらった。10人以上つくった女友達全員に縁を切られた。このままではいけない。ハカドルは焦っていた。実は、ここ最近ミサキに黙ってモテる本を購入していた。たくさん読んだ。LOVE理論や愛を証明しようなどの恋愛工学に関する本だ。
知識は仕入れた。あとは行動し継続するのみ。もちろん、ナンパで無理やり女性を連れ込み、犯罪を起こしてはいけない。わきまえている。
恋愛工学は男に余裕を取り戻させる方法。内容は割愛するが、彼女をつくるためにすっごい勉強した。
具体的な行動目標はこれ。
・女性に積極的に話しかける
・マッチングアプリに登録する
今年こそは彼女をつくるため、まい進するハカドルであった。
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