番外編.11

 楓が出していたお絵かきセットを3人で片付ける。

「蓮にいそれはそこじゃないの。ここなの」

「ごめんごめん、で、どこだっけ」

「だからここなの!」

「連ふざけないで早く片付けて」

楓をおちょくる蓮に少し冷たく言うと

「ごめん...。真面目にします」

そんなにしょげなくても良いのにと少しだけ、本当に少しだけ思った。でも今回は完全に、楓をおちょくる蓮が悪いので放置しときますけどね。お母さんをちょっと待たせてるけれど、まあ許してくれるかなと思い、3人で話しながら丁寧に片付けをした。


 片付けの終わった私たちはお母さんの待っているリビングに向かった。



 リビングに入るとお母さんはテーブルの前に座っていた。

「さあ、3人とも席について。大事な話があるの」

お母さんに促されて私たちはお母さんの向かい側に、蓮、私、楓の順に座っていった。それにしても大事な話ってなんのことかなと思っていたら、楓が

「大事な話ってな〜に?」

ナイスな発言をした。さすが楓。私は心の中で拍手をした。

「まあまあ焦らずに。悲しい話か嬉しい話、どっちから聞きたい?」

お母さんが珍しく真面目な雰囲気を出してたから、本当に大切な話かと思ったけどそんなに大切じゃなさそう。

私が思っていたことが伝わったのか

「桃、もう少し真剣そうな顔で聞いてあげなよ」

と全く真剣そうに聞いていない蓮に笑いながら言われてしまった。

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