番外編.12

「それで、悲しい話か嬉しい話、どっちから聞きたい?」

「楓は、嬉しい話からがいいな〜」

お母さんがたずねると楓はノリノリで答えた。

私は、どうせ両方聞かないとダメなら悲しい話からのほうがいいかなと思って

「私は悲しい話からで。まあどちらでもいいけどね」

「じゃあ、悲しい話から話したいと思います」

お母さんの中では最初から先に話す話が決まっていたみたい。

話すほうが決まっていたなら、なんで聞いたのと思った。

だけど、それを言ったらややこしくなりそうだから黙っておこうと思ったのに

「えー、嬉しい話からじゃないの。楓は、嬉しい話からがいい」

と楓が言ってしまった。べつに、そこにこだわらなくてもいいのに。

「まあまあ、そんあことを言わずにさ。

あとから嬉しい話を聞いたほうがもっと嬉しくなるだろう」

と蓮がめずらしく年上みたいな発言をした。

まあ、年上みたいじゃなくて長男なんだけど。

「うん!」

「それでは気を取り直して、悲しいお知らせです」




「今回の冬休み、お父さんは帰ってこれません」

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