番外編.10

 楓に気づかれないようにこっそり和室に入っていた私たち。楓は、私たちに気付かないで鼻歌を歌いながらお絵描きをしていた。そんな可愛い楓を見て顔を見合わせて笑い合う私たち。ふふって声が出そうになるのを必死に堪える。

 蓮がそーっと楓に近づいて

「だーれだ」

 手のひらで楓の目を隠しながら言った。楓当てられるかな?

「うわっ、びっくりした〜。う〜んとね、その声は蓮にいでしょ〜」

 少しびっくりしたみたいだけど、めっちゃ驚くとか怖がるとかじゃなくて。本当によかった〜。楓には笑顔が似合うから、ずっと笑っててほしいんだ。

「そう正解だ!さすが楓。でも、俺だけじゃなくて桃もいるぞ」

「桃ねえもいるの!」

 蓮の手が、目から離れた楓はキョロキョロして、襖にもたれながら二人を眺めていた私に気がついたみたい。

「桃ねえ!」

笑顔で走って私に抱きついてきた。本当にかわいい。

「桃ねえだよ〜」

ってふざけて言って、楓に抱きつき返すと

「いいなー。俺も入れてくれー」

蓮が笑いながら言ってきた。いやいや、入れるわけないでしょ。

「無理だよ」

笑顔で拒否しときました。

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