3 統一編
第60話<前回までのあぶく銭>
俺は、ミヤケ。
ひょんな事から今まで普通に住んでいた地球にダンジョンが出来た。
ダンジョンから生産される資源は、次々に現代地球のエネルギー問題や地球温暖化、その他様々な問題を解決していく、正しく神からの贈り物だった。
しかし、その資源を得るためには人間の力が必要だった。
それは、今まで培ってきた科学技術では到底及ばない、
人間の特殊な「才能」の活性化。
ダンジョンの空気に触れた人間は、「才能」を開花させる。
だが人間誰しもが持っている「才能」も平等ではない。
戦闘に役に立つ「才能」を始め、ダンジョン攻略に必要な「才能」を持った人間は優遇され、大したことのない平凡な「才能」しかない人間は一般人として生きていく。
そんな時代。
俺はちょうど、身に着けている装備を「強化」する「才能」を手に入れた。
剣は鋭く、鎧は頑丈に。
その程度だが、レベルが上がるとどんどんと「才能」も強くなった。
今では、身体のステータスはほぼ一般人より頑丈な程度だが、身につける装備だけでC級トラベラーとして生計を立てられるようになった。
そうして、稼いだ金を一夜にして溶かして次の日もダンジョンで稼ぐような生活を続けていると、
ある日、金のリンゴのなる木を見つけた。
それこそ、「女神の秘薬」
無限に神級のエリクサーが湧いて出てくる瓶。
それと同時に、Sランカーと呼ばれる「呪われたパーティ」と出会った。
彼らはダンジョンのランダムテレポートの罠にかかり、東京を中心に活動していたが、何故か、俺の本拠地である福岡に出現した。
――――――半分死にかけで。
俺は彼女たちを「ふって湧いた秘薬」で助けると、
お嫁さんになった。
俺の嫁は世界的なアイドルで、女神だった。
そうして、いつの間にか無限に秘薬が湧いてくる瓶の存在を忘れ始めたとき
適当なダンジョンで二人目の嫁に出会う。
彼女は、あまり口数が多くないが、魔法少女だった。
どうして嫁になったか、今でも思い出せないし、理由がわからない。
でも、たしかに言えることは、カイリちゃんより自分のほうが可愛いと思っていること。
二人目の嫁ができたとき、遊園地を作った。
遊園地は儲かった。
一番の目玉は、誰でもトラベラーになれるダンジョン体験コーナ―。
世界各地から、大量の人がやってくる。
ダンジョン様様なアトラクションだ。
こうしているうちに、世界有数のダンジョン企業から目をつけられる。
それ以外にも、有名なトラベラーから、世界最強のトラベラーも俺を調べ始め、
旅行中の飛行機が墜落して、「何故か」4年後にタイムスリップした。
4年後の世界は戦争をしていた。
トラベラーは人間兵器であり、戦争の道具になっていた。
世界の抑止力であり、均衡の象徴。
4年後の世界は2人の最強が世界のバランスを保っていた。
一人はデミオンと呼ばれる世界最強の男。
一人は俺の嫁だった。
4年も経てば、情勢も変わる。
俺が支援していたらしい企業も、新しい資源を発見して、何故かファンタジーに進化していたし、その他にも北側は国土侵攻されているし、どうしてか財閥のようなものも幅を効かせるようになっていた。
俺たちがいた4年前の平和な世界から、一転して危ういバランスで保っている世界に変貌していた。
こうして、死んだことになっていた俺が復活したことにより、
最強の嫁が懐いていることと、世界トップクラスの兵器産業会社の会長職となり
時の権力者になった俺は、日本国内である程度の権力を持っている姫路の財閥との結婚を強制的に決められて、三人目の嫁ができた。
そんなこんなで、色々落ち着いて緩やかな時間が流れていたとき
三人目の嫁がいる姫路でダンジョンが出現。
そうして大量の人間が殺されたことを知る。
助けに向かった俺は、行ってすぐにダンジョンが自壊して、
姫路の街が焼けた。
幸いダンジョンが出現したときの死傷者以外、焼けた街での被害は無いという。
○○
2036年7月10日
「まだ見つからないのか」
「すでに新聞やネットニュースが騒いでいます」
「手遅れか」
デミオン・ハバジッチが消失してから半年以上が経つ。
今では新ソ連と言えど、各方面から領土が奪還され始め、西側はすでにもともとの領土さえもが切り取られ始めている。
亡命してきた最強のトラベラーを受け入れ、それを防波堤、抑止力として世界を飲み込もうと画策したのは一体いつからか。
だが、「たったひとり」の人間がいなくなっただけで、崩壊していくさまを見て
総帥は少しだけ苦笑いをする。
「東の天使は健在か」
「元気いっぱいみたいですよ。
長膳儀が戻ってきたことにより、戦力という点において圧倒的に不利ですね」
画面いっぱいに展開されたたくさんの画像郡。
隠し撮りだろう東の天使の小さな笑みの写真がこっちを向いていた。
何故かずっと宇宙の座標を送ってくるデミオンに埋め込んだ発振器。
総帥は壊れていると、まったく相手にしていないが、20光年先の恒星近くを指している。
その座標は一秒ごとに更新されて、どんどん遠ざかっている。
○
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