第3話 レンタル
「お疲れ様でーす」
ダンジョンの出入口には常駐するスタッフがいる。国家公務員らしい。
トラベラーとしてもそこそこ戦えるという。
「あ、はいどうも。ん? 何かおかしいですね。その剣」
鞘に納めていたはずだが、スタッフの目は誤魔化せないらしい。
「まぁ、そうですね。」少し悩んだが誤魔化す意味も込め「ユニークから逃げてきまして」という。
「ユニークモンスターが? 何層ですか?」
「ああ、確か6層だったな。武器破壊特性を持った両手剣を持ったスケルトン。
別に、普通の6層にいけるトラベラーには問題ないと思うよ」
「そうですね。その剣に懸賞金でも掛けましょうか。
そのほうがやる気が出るでしょう?」
「かなり出来が良い両手剣だったけど呪われてたな」
「解呪費を無料にした方が良いですかね?」
「それだと他の呪いの装備もってなるからな。
別に何もしなくて良いんじゃない? 」
軽く言ってその場を逃れようと歩き出すが
「情報料で少し割引きますが、2800円です」
レンタルが300円。もしも破壊した時の弁償料が3000円の契約だ。
情報料で200円割引いてくれたが、その程度か。
「は、ははは」
乾いた笑を浮かべて、報告書を書くべくレンタルカウンターに向かった。
手元に残ったのが、Fランク魔石2つに女神の瓶。
しかし、買取カウンターは深夜0時から5時までは閉まっている。
現在の時刻は夜中の2時である。流石に報告窓口や緊急受付は空いているが買取カウンターにはシャッターが下りていた。
「また、明日くるか」
実は、Fランク魔石は決済にも使える。いささかレートは落ちるが200円として価値があった。
今は2つ持っているのでコンビニ弁当と引き換えに2つの魔石を置いてきた。
明日、買取でこの女神の瓶がいくらになるのか楽しみである。
死んだ友に影響されたか、俺も今や宵越しの金は持たないタイプだった。
流石にもしもの為に、ギルドの個人バンクに報奨金や買取時の金額の1割を入れるようにしてはいるが、基本的に稼いだ金は稼いだその日に使いきる。
そのほうが気楽に生きられると知った。
流石に自分の家には多少の家財は置いているし、本気で攻略する用の装備もある。
だが、こうやって気分のままダンジョンに行ってその日暮しで生きる方が楽しかった。
「とりあえず、シャワーでも浴びるか」
ダンジョンは少し埃っぽいのだ。
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