第2話

人は起きた時には知識を拾いながら起きるのは基本セットである、そして今日はその中でも告白の色が強く頭に浮かんでいた。


昨日いや、これはデジャブというやつか?


「お兄さん起きてください、早く起きないとインドが移動しますよ」


「何で朝からそんなに訳分からんのだ、いや朝だからいいのか?」


そう言うと姉基妹はよく分からない(クルクル回りながら着替える)ルーティンを目の前で行い、女性が目の前で着替えていても何も感じないこの感覚。


「ちゃんと血繋がってるんだな」


「当たり前じゃないですか、1+1よりも自明ですよ」


「そういや昨日は起こしに来たか俺の事?」


「いいえ?私は昨日天文学部の調査で山に野宿してましたよ?」


なんでそんな本格的な部活に入ってんだよ、都市伝説として名高くはあるがまさか姉が入っていたなんて。


「姉貴、もしも俺がタイムリープしているって言ったら信じるか?」


と言うと姉は思ったよりも真面目に返してくれた。


「勿論ゼロじゃないと思いますよ、古今東西偶然でも必然でも奇跡でも証明できない事象はザラに起こってるんですよね」


「タイムリープというと私もSF小説とかそこら辺の知識しか持ち合わせていませんが」


「けどひとつ言えるのはタイムリープでは無い気がするんですよね」


「何でさ?」


「今兄は私に昨日の予定を訪ねて的外れてましたよね?その時点で繰り返しではありませんよ」


「じゃあタイムリープではなくただの思い過ごしだと?」


「それは分かりません、そうかもしれませんし違うかもしれません」


確かめられる方法はある、人間関係のアルゴリズムが狂うのはタイムリープとはいえありえる、なぜなら今回の俺の朝の意識の中に亀裂が入ったからだ。


「しかし物質だとどうだろうな」


そう俺は慣れないワックスを使ったのだ、それ故に新品出なければループしている事になる。


「新品だ」


これで俺神田宗吉がタイムリープに準ずる何かに巻き込まれた事が改めて分かった。



「それは災難ですね?」


「他人事だな勿論他人なんだけど」


「血が繋がってますよ、さっき言ってたじゃないですか」


「と言うことは今兄が認識している私はこの日から出られないBOTの様な存在になってしまったと、でもやはり理由はある筈です」


それはやはり告白したから?


「いえ違います、確かに間違ってはいない気もしますがそれだけじゃ過不足です、あまりにも不足してます」


「なんでさ、告白して振られた事によって世の中がいい感じに戻してくれた可能性もあるだろ?」


「それは無いですね何故なら告白して振られた事自体が動作の終了地点、つまりは1つのサイクルの終着点がそこだった場合さっき兄から聞いた"その後の翔さん達との会話"が聞こえることがおかしいのですよ」


「もちろん遅延的なものな可能性もあるのかもしれませんが、時間遡行なわけですから巻き戻される物語の中で要らない部分として切り取られる筈なのです」


「これの原凶は分かりませんが原因は分かると思いますよ、ナイフ自体なぜ生まれたかは分かりませんがナイフを使用した意思又は実行主が存在する筈です」


流石ラノベやSFを日頃から読んでるだけはある、今日限りはどんな夢物語もとりあえず考える柱が欲しいから...俺もこの状況アニメとかでよく観るからそんなんで考えちゃってるな。


「とりあえず気を付けるべきは昨日と違う事かな?告白しなかったら結局戻されるなんてオチはめんどくさい」


「その場合私との会話もまたたどたどしくなりますからね、それもタイムリープの醍醐味とも言えますが」


「とりあえずまずは翔の存在が気になる、てか振られてんだよなぁ俺今また悲壮感が」


「可愛い妹が待ってるじゃないですか?」


「お前は妹じゃない」


「これはまたまた手厳しい」


そういうと姉は片違いの靴を履いて出ていってしまった。


昨日のあの謎の髪色の女の子も気になる、あの女は絶対なにかある。


「とりあえず勉強するかぁ」


俺は渋々と本棚のSF関連の本を取り出し眺め始めた。


「どれもこれも主人公の頭がおかしくなってんよな」


そう見る小説漫画ゲーム媒体の主人公達は常軌を逸し始めるのがお決まりなのである、その中にも世界線収縮によって同じパターンを辿るものが多い。


「まぁ前回の意識があるのがこれだと得なのか損なのか」


よしまぁとりあえずこんな所で燻ってるのも味気ないし。


「行くか学校」


そして俺は颯爽と玄関を飛び出し有り得ない光景を目にする。


「待っていたぞ神田」


そこに居たのは昨日鼻血を出した原因基何となく察するに先輩の彼女の....


「俺は翔ってもんだ、もっとも説明も要らないかもしれないがな」


これはブラフか?何かカマをかけられている気がしてならない、よくわからないがコイツにだけはバレない方がいい気がする。


「お前女みたいなまつ毛してんな」


おっとイキナリなんてことを言ってしまったんだ。


「僕はね割と器がでかい方だと自負しているが、お前よくも俺のコンプレックスを!」


そう言い放った彼のカカトが俺に振り下ろされるのにそう時間はかからなかった。

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非潔久留里のクリカエシ @algohakuhaku

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