第3話 4月 ノルマなんてない。と信じ入社し…




仕事は、コロナが流行し東京で行うはずだった入社式も行われず始まった。


そんな凛子たちに待ち受けていた最初の仕事は入社報告葉書を一定以上に送ることだった。そのためにリストに葉書を送る相手を書き出すことが始まった。


入社報告葉書とは生命保険会社に入社しました。これからもよろしくお願い致します。(生命保険について分からないことがあったら相談して下さい)と言う意味を含んだ文面が書かれた葉書だ。


これを送る相手こそ生命保険の営業をする上で見込み客として扱われると言うことを同期は何も疑わず、一定以上超えなきゃと必死にリストを埋めていた。



凛子は埋めることができず、上司に

「親戚は全員書いたのか。」

「友達は全員書いたのか。」

「部活の先輩や後輩は全員書いたのか。」

「バイト先の子は全員書いたのか。」と、問い詰められることとなった。



入社報告は、葉書だけでは無くLINEでも行っていた。

葉書が伝統だから葉書で無いとダメだと頑なに拒否していたが凛子のようにリストへの記入が少ない子がいることで仕方なくLINEでの対応も許可された。


リストの記入数を増やして貰うために好事例発表会というものが開かれた。


好事例として様々な事例が出た。

ある同期は「昔の年賀状のやり取りをしていた人の住所を洗い出しました。」と報告。

ある他の同期は「LINEをブロックしていた人を解除して入社報告しました。」と報告。

これを上司が笑顔で容認している姿を見て、見込み客が増えれば新入社員がどう感じていても良いのだなと凛子は恐怖を感じた。


このリストもノルマの一つであることを知り、ノルマなんてないと言われ入社した凛子は、裏切られた感じがした。。


今後営業する上で、このリストは私に驚怖を与えさせる物となる。

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