第38話
(来ない)
(まだ来ない)
(いつまで待たせる気なんだ?)
アムリタと私は現在、シャーキの迎えを待っている。イライラしたアムリタは屋根を支える柱をグイグイ動かしている。
「おいアムリタ、壊れたらどうすんだよ。やめろよ」
「ねぇ卿、客をこんなにも待たせるホステス様がいるんですってね。いい加減、ロリ侍女の一人でも寄越しなさいよ!!!」
「だからそんな大きな声で叫ぶな。みんなこっち見てるだろ」
私達は官巫院内の広い庭の中にいた。雨はすっかり止んで、それは清々しいほどに晴れている。夜も来ないんじゃないかというほどだった。
「アムリタ、俺もお前と一緒だ。シャーキが俺たちを待たせるのにも理由があるのはわかる。なにか企んでるのに違いないってこともわかるから。お願いだから片っ端から近づいてくる巫女相手に叫ぶのは止めてくれ、、、」
「えー、ホントつまんないのよ。ここ祭殿なんでしょ。ダンスの一つぐらい見せてもらいたいものよ!」
「だからって、そこらに通ってる巫女に叫んで頼むのはおかしいだろ。ここで待っとけって言われたんだ。待とう」
「あおっ!」
後ろから聞こえた男の声に私は身を震わせた。
「あっ!エガちゃん!!!」
とっさに私は後ろを振り返った。
(エガちゃん?今朝、そういえばそんなやつを見たような気が、、、)
「おひさ!エガちゃん、ほぼ15話ぶりの登場ね!」
(おいおい、いくらなんでもそういうメタい話はよしてくれアムリタ)
「これはこれは、皆さ、サンガラマたのしんますか?」
小さな男は下手くそな中央語を話す。
(これならロリ侍女のほうが良かったぞ)
「下賤な思考はよしてスケ煩、いや卿。その腐った魚の目から全部筒抜けよ」
(おい、今スケベ煩悩僧を略してスケ煩って言わなかったかこの女。それに俺のこの秀麗な細い目までバカにしやがって)
「エガちゃん?シャーキからこの後、私達がどうするか聞いてない?」
アムリタの問にエガは答えた。
「聞きた。聞きた。エガ、あた様方、案内す」
「おぉー。だって卿、ついてこう!」
つい数時間前の真剣な表情はどこに言ったのか。私はアムリタの言う通りにエガについていくことにした。
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