第39話
(また待たされるのかよ)
アムリタと私はエガに官巫院内の部屋(おそらく仮の倉庫だ)に連れて行かれ、軟禁状態にされた。
「エガのやつ!!!!!」
アムリタはいつになく興奮している。
(さっきあんだけ騒いでいたんだから仕方ないだろ、、、誰かがシャーキに通報でも入れたんだろうな)
格子の近くをエガが通った。
「おいエガ!!!!!よくも私達を騙したわね!!」
「ごめなさいね」
その笑顔には一切の悪の感情がこもっていない。
私の前に戻ってきたアムリタは言葉を続けた。
「だから言ったじゃないの!あのシャーキは信用できないって!こうして私達を閉じ込めて、あとで生贄にでもするつもりなんだわ」
「おい!縁起でもないこと言わないでくれ」
脳内にシャーキのしたり笑顔が浮かんだ。
私達はそのまま夜を待った。
というより待つより他はなかった。
シャーキもサーティーも訪れることはない。
しょうがなく、私達はこの官巫院で一夜を過ごした。
夜
静けさが
風
夜風は涼しい。
月
一輪の《華》を照らすような採光孔からの月光。
私はアムリタの寝顔を見ていた。
軟禁状態とはいえ、旅が始まって以来初めてこうしてゆっくりと寝ることができる。
かのナーリン教団のことさえ忘れてはじめてゆっくりと眠りにつける。
安心
それが私を最も満足させるに足るものだったのかも知れない。
大きな音が聞こえた《気がした》。
もう一度
もう一度
もう一度と増えていく。
大きな音が《聞こえた》。頭に響く。
アムリタが目を覚ます。
「、、何が起きてるのよー、、」
「さっきからドーン、ドーンと響いているんだ。これってまさかだけど、サーティーが、、」
アムリタは目をハッと開いた。
「ええ、違いないわ」
「急いで、今日にでも問題を解決できるかも知れない」
「急ぐって何を?」
「行くのよ、彼女のもとに」
「へ?」
そう言ったアムリタは部屋の採光孔に手を突っ込み、そして、、
周りの壁ごと破壊した。
「さあ、行きましょう、卿!」
アムリタが手を伸ばす。
アムリタの手を掴む。
私達は夜の官巫院内に身を投げ込んだ。
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