第23話

私は祭殿から聞こえる鐘の音で目を覚ました。


横で眠るアムリタの服装は依然としてなままであったが、この寒村では気にすることでもなかった。


私達は祭殿の方へ向かうことにした。その時ふとひらめいたことを確かめたかったのだ。

(祭殿ならば、神官・役人の連中がいるかも知れない。彼らなら中央の言葉は通じるだろう。僧が来たと言うと煙たがられるかもしれないが、アムリタを見せれば中に入ることも出来るかも知れない。)


アムリタを草むらで正装に着替えさせた。


一瞬の気の弛みで振り返ってしまい、アムリタの輪郭を見てしまったことがあった。


これまでしっかりと見つめたことがない分、それは激烈に印象に残った。


踊り子を彷彿とさせる脚線美


上品な丸みを帯びた腰回り


無駄な脂肪も付かない

でも、筋肉質とも言えない腹部


豊満な胸


鼻筋の通った端正な顔に、

翠玉を連想させる力強い目


彼女の美しさには、かの神話の女神であろうと勝てまい。


「卿、何見てんのよ!そんなんだからいつまで経っても煩悩僧のままなのよ!」


(あっ、はい、無我無我無我)



朝霧が膝の高さまでの地面を覆い尽くしている。不思議な現象もあったものだと私が感心している横でアムリタは訝しげな顔をしていた。



私達は祭殿の前に立ち、大きな戸を叩く。

木製の扉が叩かれた音は建物の中まで響くことだろう。しばらくしてから、中から男の声が聞こえた。

扉は内向きに開かれた。


私はその内部を見て息を呑んだ。

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