第14話
中に入ると、目に余る凄惨さ。アムリタがこれを一人でやったということが信じられない。
何個も何個も転がる首、何体も何体も積み重なった死体。
彼女は今も敵と組み合っている。敵は私に気がついているだろうが、アムリタとの戦闘に意識を傾けている。
視界にもう一人の敵が入る。
とっさに
敵の武器は短刀、部屋が狭い分、此方に不利なことは明らかだ。
私は間合いを詰めようと屈む、そして地面を蹴る。
かがんだ態勢のまま一気に、相手に急接近する。体感一秒。
相手も愚かではない。腰を低くし跳ぶ形を作っている。
(ここは、こうする以外手立てはない。)
私は水平方向に關刀を振るった。空きをつくらないよう、柄は高い部分に持ち替えてある。
必然、敵は高く飛び上がった。相手が上、私が下。形勢は不利になる。
(これも読めている)
私は脚を使って全速で立ち上がり、そのまま關刀を振り上げる。
まさか当たることはなかった。
しかし、跳んだ敵の姿勢は崩れる。
敵は私に襲いかかることなく、地面に降りる。
部屋の採光孔から差し込む光が敵の短刀を輝かせる。
私は構え直し、もう一度關刀を握る手に力を入れた。
視界にアムリタが映った。
彼女と対峙していた敵の体が弾けたのが確かに見えた。
(...あいつは、どんな化け物なんだ..)
私は目の前の敵に注意を戻す。
(今度は向こうから攻撃をかけて来るだろう。)
予想通り、敵は跳び上がり私へ詰め寄る。
こうも近いと流石に關刀を振り上げる事もできない。
武器同士が擦り合う音、耳に障る。
(形勢を逆転させるには...)
私は敵と向かい合いながら横腹が空くのを狙う。
(今だ!)
瞬間、私の渾身の蹴りを敵に見舞ってやる。
無論、敵は壁にぶつかり転がっていった。
私は安堵の息を漏らしてしまった。
気を張り直して下段の構えを作る。
一歩ずつ私は漸進していく。
背後から私を抜かしたアムリタが敵に徐に近づいていく。
(そういえば、彼女はあの散った敵を倒してから、ずっと俺の方を見ていたのか。)
「おい、アムリタ、何をするつもりだ。奴の息はまだあるぞ」
アムリタは振り返る。
「それがどうしたっていうの?」
嫌に気に障る含み笑顔だ。
かがみ込んだアムリタは敵に手を当てた。
何の
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