塵の山

ホバー

錆びついたLCC0000

 

 まず、対象となる惑星の現在時刻が、契約時間内に適切であるかを、確認する必要がある。(七番コンソール上のシュステーマソーラーレ時計を忘れずに参照するように)

 

 次に、作業人は全員整列し、以下の内容を必ず宣誓しなければならない。宣誓は大きな声で明瞭に行われることが望ましい。


 ・我々、LCC運営業務に携わる作業人一同は、その存在に関わる一切の情報を秘匿し、時輪タントラにおける既成的概念の崩壊を起因させないことを、ここに誓います。


 管理人は作業人全員の宣誓を、しっかりと確認しなければならない。

 


 それら全てが確認できた場合のみ、作業に移行することができる。

 


 最初に、ヘリオポーズの拡張をシニカル技師に通達する。技師は機関外にいることが多いため、あらかじめアポイントメントを取っていくことが望ましい。


 技師が作業を始めてからは、バウショックの影響に注意を払いながら、ヘリウム量の調整を始める。(なお、第四コンソールのメーターは調整中のため、使用することのないように)


 ヘリウム量の安定が見られた場合は、対象の所在(衛星が存在する場合にはその位置も)の確認を続ける。その所在に合わせて、対象がこちらの虚射影上に位置するよう、常に調整を行う。

 この際に間違ってもオリオンの腕を離さぬよう、くれぐれも注意する。(もし、演算人が必要となった時にはスカラー電話を用いて、一刻も早く判断を仰ぐこと)


 この時、ハイドロゲンが欠乏していた場合は、迅速に主任へ連絡し、ヘリオスフィア外のCNOサイクルから調達を図る。相手サイクルが協力的でなかった場合、ことを荒立てぬよう主任を宥める必要がある。

 

 引き継ぎ者がきた場合は、ヘリウムの現在量と対象の所在(衛星の有無は必ず秘匿すること)を引き継ぎ、次回の担当まで機関外で待機する。

 

 以上



 

 諸注意


 陽子密度の値を一定に保つため、業務終了時は、ランダムウォーク演算装置の動作を確認しておくように。

 

 各対象の支部に設置している返射装置から、常に放射エネルギーの九◯%以上が返射されなければならない。第二モニターを一時間ごとにチェックすること。


 主要な対象の支部

 U+263F H10ドラン地域のCブロック

 U+2640 マックスウェル山二合目の納屋

 U+2641 ウズベキスタン共和国 サルマカンド ウルグ・ベク天文台

 U+2642 パヴォニス山山頂




 ###LCC0000運営業務簡易マニュアル第二項より抜粋

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