暇部は新入部員募集してません
爪木庸平
第1話
《暇部、新入部員募集してません》
「なんだこれ」
四月、新入生、高野は廊下掲示板の部活コーナーに貼られた一枚の紙を見た。コピー用紙にボールペン書き。
「やる気がないとかそういう次元じゃないな。高校ってこんなので許される場所なのか?」
風紀の厳しい中学出身の高野は、学校で初めて出会う緩さに心を動かされる。
「暇部ってのは、あれだな。普通の部活動じゃ満足できないエキセントリックなやつらの溜まり場で、日々刺激的な活動を求めて退屈を紛らわせるとかいうやつだ。俺は詳しい」
高野はそういう学園もの、日常系をこよなく愛する。
「とりあえず行ってみるか。部活必須とは思わなかったから、ある意味助かったかも」
放課後、暇部を探す高野。
「あれ、どこだ?」
暇部は見つからない。そもそも暇部に関する情報は掲示板のペラ紙一枚しかない。《暇部、新入部員募集してません》以外には何も書かれていない。
「聞くしかないか。普通に恥ずかしいな」
職員室で暇部について尋ねる。
「ひまぶ? なんですかそれ」
中年の教師に首を傾げられる。
「あっれー?」
廊下で出会った担任の教員にも尋ねたが、要領を得ない。
「エキセントリックなやつら……出会いたかったぜ」
高野は涙を流す。
高野は暇部を探すのを諦めた。
暇部は新入部員募集してません 爪木庸平 @tumaki_yohei
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