赤いきつねと緑のたぬき

赤いきつねと緑のたぬき

「友達は、赤いきつねと緑のたぬきはどこにもいないといっています。本当なんですか」

　こんな手紙が、七歳の女の子から届いた。

　だから、私は返事を書いた。

「ゆうちゃん、お手紙ありがとう。いつも、おやつに食べててくれてとっても嬉しいよ。パパが『わからなかったら、これを作っている人に手紙を書いたらいいんだよ』っていってくれたから、あの手紙を送ってくれたんだね。私たちは、この質問をされるのを心待ちにしていたんだ。ゆうちゃんは『バージニア・オハンロン』って人を知っているかな？この人が君と同じくらいの時に、君と似たような質問を、とある新聞社にしたんだ「サンタクロースって、いるんでしょうか？」ってね。そして、その新聞社は『そうです。バージニア。サンタクロースはいるのです』って答えたんだ。だから、私たちも答えるね『そうです、ゆうちゃん。赤いきつねや緑のたぬきはいるのです』本当に大切なものは、決して目で見ることはできないことだから。だけどさ？やっぱり、目に見える、手に取ってその大切なものに触れられる、っていうのも、大切だと思ったんだ。それがね、赤いきつねと緑のたぬきなんだよ。ちょっと誰かの力を借りて、ちょっと誰かの迷惑になってゆうちゃんに見えるようになっているけれど、みんな『これくらいなら、お安いご用さ』っていってくれて、今日もゆうちゃんに赤いきつねと緑のたぬきを届けてくれているんだ。だからね、私たちみたいに、ちょっとだけ誰かの力を借りるとか、ちょっとだけ誰かの迷惑になるってことを、知っていてほしいんだ。これからゆうちゃんは、どんどん大きくなっていって、いっぱい困ったことが起きると思うけど、赤いきつねや緑のたぬきを食べて、元気になって、ちょっとだけ誰かの力を借りて、ちょっとだけ誰かの迷惑になることができたら、どんな困ったことでも必ずよくなるよ。それに、赤いきつねと緑のたぬきがいれば、どんな困ったことだってへっちゃらさ。ちょっと自慢になっちゃうけど、二人はサンタさんより力持ちなんだよ。なんで知ってるかって？私たちが、赤いきつねと緑のたぬきの一番の親友だからさ。君が書いてくれた手紙は、いま二人のところにあるから、いつかゆうちゃんが大きくなったら、取りにきてね。その時、ゆうちゃんが大きくなるまでの間にどんなことがあったかお話しようよ。私たちも、赤いきつねと緑のたぬきも楽しみにしてるから。だからね、ゆうちゃん。困った時は赤いきつねと緑のたぬきの力を借りればいいんだよ。きっと、上手くいくから」

　赤いきつねと緑のたぬきの一番の親友より。