第33話 決戦前夜の策

 王宮を後に、イヴァンは騎士学校に向かって走っていた。

 普段なら人でごった返している通りにもほとんど人がおらず、ところどころに巡回の兵がいる他は、違和感があるほど静まり返っている。町の住民たちも、今日ばかりは家に引きこもっているのだ。

 広場を横切り、学校へと続く通りに駆け込んだイヴァンは、その勢いのまま階段を駆け上がって玄関を開いた。

 「きゃあっ」

受付の奥にいた女性が驚いて悲鳴を上げる。

 「…え、サーレ、…さん?」

 「あーすんません、あと、ただいまです」

 「お、お帰りなさい…。」

走ってきたせいでかいた汗を拭いながら、彼は辺りを見回した。

 「騎士団の手伝いに出てた連中は?」

 「順次、戻ってきてますよ。先程、ヘイミル校長から、明日は学校から出ないようにと連絡が…あっ」

話を聞き飛ばし、イヴァンは自分の部屋に向かって階段を駆け上った。廊下は、妙に静まり返っている。

 三階の一番奥、以前使っていた部屋は、出て行った時のまま何一つ変わっていない。寝具が片付けられ、枕元に残していった荷物が一まとめにしてかばんとともに置いてある。そして、制服は壁にかけられたままになっていた。

 (これ着てれば、少しは目立たずにいけるかもな)

取り上げた黒い上下の揃いを身につける。

 (あとは…)

 「皆さん、もう一度言いますが、明日は絶対に校舎から外に出ないように。いいですね」

廊下の方から、ヘイミルの良く通る声が響いている。

 「朝食後は食堂に留まるように。各学年の担任の先生から指示が出ます。分かりましたね」

生徒たちの返事する声。

 階段を上がってくる足音を聞いて、イヴァンは廊下で待った。やがて、上がってきた生徒たちがぎょっとして足を止める。

 「あれ、あんた、…」

イヴァンは口に指を当てる。

 「先生にはまだ内緒な。アステルは?」

 「あいつなら、ほら」

階段の下でエデルと話している姿がある。

 「呼んで来ようか?」

 「そうしてくれ」

下で話し声がした。ややあって、アステルが階段を駆け上がってきた。エデルまで一緒だ。

 「イヴァン! お前、さっきは何も言わずに、どうして…」

 「しっ。ちょっと来い」

 「え? 何」

イヴァンは、二人の腕を掴んだまま自分の部屋のほうへ引きずっていく。

 「少しは説明くらいしろ」

アステルは不機嫌そうだ。

 「町の状況は見たんだろ? 今、みんなギスギスしてるんだ。避難したい奴はとっくに町を出た。それなのに、わざわざ包囲された町に戻って来るなんて」

 「それに、さっき一緒にいたのは騎士団の人だったよね? あと、本屋によく来てた人もいた…」

エデルは、流石によく覚えている。

 「ああ。まぁ詳しい話は置いとくとして、あの怖ぇえ女騎士はティアーナっつって、近衛騎士のベオルフの妹なんだよ。」

 「え? あの人が?!」

 「――で、もう一人のほうが、王様んとこの三男でアルヴィスってんだ。今はクローナに住んでる」

 「ちょ…その人って、次期クローナ大公だよね? 何でそんな人と知り合いなの!」

 「しー、声でけぇって。その二人に協力して、これから、町を取り囲んでる連中のヤル気を削ぎに行かなくちゃならねぇんだよ」

 「ヤル気…って…」

アステルとエデルは、顔を見合わせた。

 「なあ、イヴァン。お前が休学してたの、もしかして、あの、貴族たちの反乱に関わる何か…なのか?」

アステルの声は、硬い。

 「うん、まぁな。」

 「第三王子と一緒に居たってことは、サーレ伯爵家は王家側につくのか」

 「んー、そういうことになるんだろうな。けどさぁ、敵味方とか、関係あんのか」

 「あるよ」

エデルも、真顔になっている。

 「今日、町の防衛の準備のために出てた時に、集まってる貴族たちの旗を見た。おれの故郷の…マイレの旗もあったよ。マルティンの家…アジズ子爵の旗も。それと、ハシム男爵、クラウゼ男爵、カルルマン準男爵、エマーゼル子爵、オランド子爵…」

彼が読み上げている家は、かつてこの騎士学校に在学していた生徒たちの実家か、親族たちの名前だった。

 「王都周辺の有力貴族たちだ。」

と、アステル。

 「王都周辺の有力貴族たちだ。連中はいつの間にか、学校から姿を消してたよ。だから何か起きるんだってのは、何となく察してたけどさ。」

 「まさか、王国に対する反逆だなんてね…」

 「なるほど」

イヴァンは、ぼりぼりと頭をかいた。あまり接点が無かったとはいえ、かつてここで共に学んだ生徒たちも、あるいは、”敵”側についているかもしれないのだ。そこまで考えが及んでいなかった。

 「つーことは逆に、今ここに残ってる連中は、反乱には参加しない、ってことなのか?」

 「一応は…そうだね」

 「なら、お前らは味方だよな」

にっと笑って、彼は二人の方に手を遣った。

 「ちょーっと手伝って欲しいんだけどさぁ」

 「え?」

 「おい、何をさせる気だ。」

 「危ないことじゃねぇよ。これから王宮に行って、手紙を書くの手伝って欲しいんだけど」

 「は? 手紙?」

 「そ。内容はアルが今、考えてる。まぁ来て貰えれば判るから、頼むわ」

 「……。」

最初に、ため息をついて口を開いたのは、アステルのほうだった。

 「…分かったよ。どうせお前のことだ。ロクでもないことに首突っ込んでるんだろうし」

 「お、おれなんかでいいのかな…王宮なんて、は、入ったことない…」

 「うし! じゃ頼むわ。校長先生に話、通してくるな」

にいっ、と笑ってイヴァンは矢のように部屋から飛び出していく。

 いまだ、何が起きているのかよく分かっていない二人は、ただ顔を見合わせるばかりだった。




 それからほどなくして、三人は、町の大通りをほとんど全力で駆け抜けていた。

 ヘイミルからの外出許可は取り付けた。あとは、王宮に戻るだけだ。

 「王宮って言ったよな」

走りながら、アステルが怒鳴る。

 「まさか侵入するなんてことはないよな?」

 「さすがにそれは無い。門番に言えば通してくれることになってっから! …多分」

ティアーナが門番と話しをつけてくれているはずだ。はあ、と一つ溜息をついて、アステルは、人のいない、がらんとした通りを見やった。

 「どうせ、こんなことだろうと思ってたよ。家の用事で休学とか、嘘ついて。お前の周りは信じられない厄介事ばかりだ」

 「悪かったよ。けどさー、この件は俺もほとんど成り行きみたいなもんなんだよな。こうなることが分かってて、その前に何とかしたかったのに」

 「うちの領主様、どうなっちゃうのかなぁ…」

後ろを、少し遅れて走りながらエデルが心配そうに言う。

 「おれの故郷は…ベローナの町は」

 「そんなの気にすんな。お前はただそこに住んでるだけでで、領主が決めたことには関係ないだろ」

言いながら、イヴァンは少し胸が痛んだ。領主家の跡取りと、一介の住人。かつて否定していた身分というものが、今は嫌というほど実感できたからだ。

 「おいイヴァン、王宮ってそっちじゃないだろ」

 「正面玄関から行けるかよ。裏口から入るんだよ。」

さっき出てきた門を見上げて、イヴァンは一つごくりと息を呑んだ。

 硬く閉ざされた門と両脇の見張り塔。さっきは気づかなかったが、よく見ると塔の上には弓をたずさえた巡廻の兵士がいる。怪しい真似でもしようものなら、一瞬で穴だらけにされそうだ。

 彼は言動に注意しながら塔を見上げ、さっきティアーナがそうしていたように、見張りに向かって怒鳴った。

 「イヴァン・サーレです! 戻ってきました。ここを通してもらえますか」

しばらくの間があった。じりじりするような間だ。やがて、見張りがあらわれて、じろじろとイヴァンを見やった。

 「三人? 誰か連れて戻ってくるとは聞いていたが――」

 「ええ、騎士学校の生徒二人ですよ」

イヴァンは平静を装って答える。「どちらも信頼できる者です」

 「ちょっと待っててくれ」

見張りがどこかへ引っ込んでいく。やがて、どこかで金属の軋む音がした。門が開き始めるのを見て、彼は内心で胸を撫で下ろした。どうやらティアーナは、うまくやってくれたようだ。

 開いた扉の隙間から小走りに駆け込むと、正面にティアーナが待っていた。彼女は、そっけない視線で連れの二人を一瞥だけした。アステルとエデルは、王宮の雰囲気に緊張して硬直している。

 「お帰りなさい。その人たちが協力者なの?」

 「ああ。アルは?」

 「文面を考えて仕上げたわ。準備は整ってる。」そう言って、小さく肩をすくめる。「個別に名指しで狙い撃ちする封筒と、一般兵の指揮を下げるためのばら撒き文の二種類。…書き写してもらうのは、二百枚ほどよ。ばら撒き用のほうね」

 「え…?」

 「下に集ってる連中を脅す文書だよ。『いま降伏すればお咎めはないぞ』とか、そういうやつ」

と、イヴァン。

 「詳しくは見れば判るだろ。どっちだ?」

 「こっちよ。あ、イヴァン、あなたは字がヘタだから書かなくていいですからね」

 「何だよ、それ…。」

四人は、足早に庭を横切っていく。


 王宮の部屋に入ると、アルヴィスが、積み上げられた紙と封筒を前に、せっせと手紙を仕上げていた。エカチェリーナが準備してくれた書き物机と椅子。それに、お茶とお茶菓子まである。

 「あ、お帰りイヴァン。その人たち、学校の友だち?」

 「おう、手伝ってくれるって。同じ学級のアステルとエデル。エデルは本屋で店員やってたから知ってるよな」

 「うん、見覚えがあるよ。僕はアルヴィス、よろしくね」

 「あ…よ、よろしく…お願いします」

 「お目にかかれて光栄です…」

二人とも、妙に緊張した様子で握手を交わす。

 「さて。お願いしたいのは、この文書の書き写し」

そう言ってアルヴィスは、手紙の原文を差し出した。

 「”クローナ公の脅迫は失敗した。明日の朝、王都に到着している代理人によりスヴェイン王子の王位継承権は剥奪される。ヴェニエルの企みは上手くいかない。王国軍は間もなく到着し、不遜の輩をすべて拘束し厳罰に処すだろう。今、撤退するならば、寛大なる国王陛下は不問と見做す。” ――」

読み上げて、アステルは納得したような顔になった。

 「なるほど。確かに降伏勧告だな。」

 「そう。どのくらい効果があるは判らないけど、おそらく下に集ってる貴族たちの中には、近所付き合いみたいな感じで仕方なく参加している家もあるはずなんだ。戦線離脱する数は多ければ多いほどいい。少しでもヴェニエル侯の足元に揺さぶりをかけたい」

 「んで、アルが書いてる、そっちは?」

 「これは、離反してくれそうな家に対する個別の嘆願だね。”クローナ大公の代理人”から各家の当主個人に宛てた、直接のお手紙さ」

アルヴィスは、意味ありげに目配せしながら一枚をイヴァンに見せた。

 「えーと、なになに。

 ”拝啓、バレンツ男爵。その説はご無沙汰しております。さて、この度は、悲しくも貴殿が王国に叛意を翻し、王都を包囲する側に周ったと聞き、心を痛めている次第です。クローナ公はスヴェイン王子の王位継承を認めるつもりがなく、王位継承権の剥奪を決定しております。このままヴェニエル殿に踊らされていては、貴家の名にも傷がつくことでしょう。どうか思い直していただきたく。またいつか、貴殿と薔薇園にて見え、お茶を楽しむ日が来たらんことを願っております。敬具”

 ――へー、なんかこう、友達っぽい感じの書き方だな。」

 「だろ? ちょっと心が揺れると思わない?」

そんなことを言って、少年はにこにこと笑っている。

 「どの家の人たちも、前に王都に戻ってきた時に一度は顔を合わせて話をしているからね。手紙に書けるネタは幾らでもあるよ」

 「って、誰と何を話したか、全部覚えてるのか?! 流石だなぁ…」

 「というわけで、こっちは僕が書くから、そっちのバラ撒き用の文書の作成、よろしくね。今夜中に仕上げて届けないと、間に合わないから。」

 「届けるのは、どうやるんだ」

 「それは、シンディに頼んであるよ」

呼ばれたとたん、今まで何の気配もなくカーテンの裏側にいた女性が、すっ、と顔を出す。

 「ひっ」

後ろでエデルが小さな声を上げた。

 「近衛騎士…”暗殺者”シンディ・ラーン?」

彼女の腰に揺れる金と銀を織り合わせた房飾りを見て、アステルも青ざめている。

 「それ、悪口でしょ。」

シンディが、ぼそりと呟いた。

 「暗殺は、しない。暗殺者の家系ではあるが、ずっと昔、”融和王”の時代から王国に忠誠を誓ってる。寝首を掻くのは出来るが、王妃様に止められてるから」

 「うん。シンディは暗殺はしないよ。やろうと思えば出来るけどね」

アルヴィスは笑っている。

 「ラーン一族には、闇に紛れ、どんな場所にも入り込む技能があるんだ。だから枕元に手紙を置いてくることくらい、余裕だよ」

 「配達は、私に任せろ」

闇色の女性は、そう言って、たくましい首をゴキリと鳴らした。

 「は、はは…」

アステルとエデルは乾いた笑いを浮かべ、机の前に座った。目の前にはペンとインク、それに紙の束が積み上げられている。

 「イヴァン、貴方はこっちです」

ティアーナが、イヴァンの腕をひっぱる。

 「ん? 何だ」

 「ちょっと」

部屋を出たところで、彼女は、シンディが部屋の中を見張っていることを確かめてから、声を潜めて言った。

 「シンディに聞かれないところで話したかったんです。…さっきアルと相談していたことがあるんです。何とかしてスヴェイン様を説得して、明日の開戦までに脱出させられないか、と考えています」

 「へ? 何で、そんなこと」

 「さっきシグルズ様も仰っていたでしょう? ヴェニエル侯爵は、スヴェイン様がわざと王家に不満を持っているように”演技”しているだけだと、すでに気づいている可能性が高いです。スヴェイン様を王に据えるという話だって、どこまで本気か分からません。最悪、自分たちが不利になれば、その――スヴェイン様の身柄を、人質として使う可能性すらあります」

彼女は、剣の柄にやった手をぎゅっと握りしめる。

 「あの方は、…基本的に人のいい、楽天的な方なんです…大事なところで、人を疑いきれないと思うんです。それに、スヴェイン様が吊るされる、あの夢…」

 「夢?」

 「…いえ。それはどうでもいいんです。ともかく、私たちも、何とかして”下の町”に降りる手段を探す必要があります」

言いながら、ちらりと部屋の中を見やる。

 「出来れば、シンディが手紙を持って降りる前に。…その後では、敵に警戒されてしまうでしょうから」

 「成程な…」

イヴァンは、しばらく考え込んだ。

 「王子を連れ出すってのは、簡単にはいかなさそうだな。俺らもヘタに”下の町”に紛れ込むのは…ああ、そうだ。確か、下にマルティンとこの家が来てるって言ってたな」

 「マルティン?」

 「マルティン・ディ・アジズだよ。学校でちょいと絡みのあった奴でさ、他の生徒を子分みたいに引き連れてたんだ。もしかしたら、あいつの子分になりすませばいけるかも。学校の制服を貸してやっから、ちょっと変装してくれ」

 「変装…って。あなた、それ…その」

ティアーナは、何とも言えない顔をしている。

 「…そんな単純な手が、上手くいくとも思えませんが」

 「何だよ、文句あんなら他に案出してくれよな? 他にどうすりゃいいんだよ」

 「…それは」

 「無いんなら、とりあえず試してみようぜ。時間無いんだしさ」

二人は、そろりとその場を後に、裏門から外に出た。ティアーナはぶつぶつ文句を言いながらも、結局、イヴァンの案に乗り、予備の制服を借りて袖を通している。


 すでに日は暮れかかり、町に街灯の明かりが灯りはじめている。

 広場を横切り、町の出口に至る通りまで辿り着くことは出来たが、そこから先は、昼間、騎士学校の生徒たちが積み上げた土嚢があって真っ直ぐには進めない。

 門の周囲には兵士たちが詰めていて、篝火が明るく照らし出している。しかもつづれ折りの道の途中にある、普段は閉ざされることのない城門が閉ざされて、町の出入りが出来なくなってしまっていた。

 「…これでは、町を出られそうにない」

呟いて、ティアーナは頭上に視線をやった。

 町を取り囲む城壁のことは、今の今までただの古い壁としか認識していなかった。その壁が、見張りの巡廻する巨大な防御壁へと変化している。

 丘の上にあり、つづれ折りの道を上がらねば侵入することの出来ない、難攻不落の都。――リーデンハイゼルは、かつての戦乱の時代の姿へと戻っていた。

 「そこで何をしている」

立ち止まっている二人に気づいて、巡廻していた騎士が近づいて来る。はっとして、ティアーナは慌てて言葉を取り繕う。

 「任務で外に出なくてはならないんです」

 「任務? だがお前たち、学生ではないのか。騎士学校の生徒たちは、もう返したぞ」

そうだった。今は、ニ人とも制服を着たままなのだ。

 「違うんです。私たちは――」

言いかけて、彼女は言葉を切った。こちらに向かって歩いてくる人物に気づいたからだ。

 「…兄さん」

ベオルフだ。

 騎士が、あわてて道を譲る。ここでは、彼の存在を知らない者は誰一人いない。

 「ティアーナ、こんなとこで何してる」

 「”下の町”へ行かなくてはならないんです。今のうちに、スヴェイン様を連れ出したい」

 「スヴェイン様を?「

 「はい。このままでは、あの方の安全は保証されません。戦いが始まる前に安全な場所へ避難させたい、それが――アルの願いです」

 「ふうむ。しかし、二人だけ、か…」

男は、あごに手をやりながら、真剣な眼差しの妹と、その後ろにいるイヴァンとを見比べている。それから、ちらりと城壁に上に視線を遣った。

 そこには、こちらに気づかないまま灯りの下で前線構築の指揮を執るシグルズの姿がある。

 「…スヴェイン様が何をお考えかは分からんが。オレにとっては今もまだ、あの方もお仕えすべき方に違いない。…分かった。許可はしよう。だが、くれぐれも無茶はするなよ

 「ありがとう、兄さん」」

走り出す二人の後ろで、ベオルフの声が響いている。

 「その者たちを通せ! オレが許可する」

王都を出れば、そう簡単には戻って来られない。

 光に包まれた門を抜け、彼らは、覚悟を決めて夜闇の色濃く支配する世界へと踏み出した。

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