第3話 灯音視点
『灯音、今日の9時辺りにこの場所に行ってくれないか?』
そう言ったお父さんが位置情報を共有してくる。
「なんで?」
『従姉弟の
「覚えてるけど」
でも赤ちゃんの時にしか会ってないよね?
記憶も少し曖昧だ。
『実は
『え?!』
なんで!?どういうこと!?
『いいか、落ち着いて聞いてくれ』
「う、うん」
『兄さんが
「え?何言ってるの?」
売る?人を?
ここ日本だよね?
『ダークウェブで売りに出していた。
最初は俺も疑ったが、少しだけハッキングさせてもらったら出てきたデータが兄さんと一致した』
お父さんは、表は有能エンジニア、裏はホワイトハッカーだ。
今は本業のエンジニアで海外に出張している。
「え、でもどうすればいいの?」
『とりあえず引き取って怪我の手当と面倒を見てくれ』
「怪我?怪我してるの?」
『売り出しの情報に怪我有りと書いてあった
恐らく兄さんが傷付けたのだろう』
酷い…
父親がそんな事をするなんて…
「わかった、任せて!」
『すまないな、俺はまだしばらく戻れそうにないよ』
「仕事頑張って!」
『あぁ、お金は大丈夫か?』
お父さんは話す度にお金は足りてるのかって聞いてくる。
「大丈夫だって!これでもかなり稼いでるんだよ?」
『そうか…それじゃあ頼むぞ』
「うん、じゃあね」
そう言って電話を切った。
そっからはドタバタだった。
簡単に部屋を片付けて、必要な物だけ持って家を出た。
◆
駅前に着くと、
駅員に絡まれている小学生か中学生辺りの男の子が居た。
私は急いで
「おまたせ〜、待たせちゃったかな?」
私は幸君と目線を合わせてそう言う。
「……綺麗な目」
「えっ?」
「いえ、なんでもないです」
びっくりしたぁ。
それにしてもしっかりしてるな。
「あっ、待っていた人が来たようだね」
お礼しなきゃ!
私は駅員さんに深々とお辞儀をする。
「すいません!ありがとうございました!」
「いえいえ、迷子とかじゃなくて何よりです
それでは」
そう言って駅員さんが駅の方へ戻って行った。
私は怖がらせないように笑顔で
「さぁ行こ!」
私は
帰る途中に色々と話したが、わかった事は、とてもしっかりしているという事だ。
家の事も聞いたが、その質問だけは曖昧な答えしか帰ってこなかった。
聞かない方が良かったかな…
そして家についてから衝撃の事実を知る。
なんと自己紹介をしてなかったのだ!!
これじゃあただの不審者じゃん!
私は急いで自己紹介をした。
すると、
あっ、そう言えば怪我の手当しなきゃ!
「ちょっと失礼」
そう言って私は
そこには、子供についていてはいけない数の傷跡や痣があった。
「うわ、酷い…」
想像以上だった。
鞭のような物で打たれた後にいくつもの小さい火傷のあと。
恐らくタバコを擦り付けられたのだろうか。
私は傷を少し触る。
すると、
「ごめん!大丈夫?!」
「大丈夫です」
まだこっちを警戒しているのか、声から感情が感じられない。
私はその後に
「ごめんね、ここじゃこの程度の手当しか出来ないけど」
「すいません」
私は少しだけ距離を縮める事に挑戦した。
なんせ、私にとって唯一の従姉弟なんだからね!
「すいませんじゃなくてありがとう、でしょ
それと敬語も無し!
これから一緒に暮らすんだから!」
「わかり…わかっ、た」
「良し!じゃあどうする?何かやりたい事ある?」
すると
「思う存分寝たい」
そう言った。
私はびっくりした。
「う〜ん、まぁ
私は
一応
最初はベッドで寝ようとしなかった
「寝るまで傍に居なくて大丈夫?」
私は、ここで今年1の衝撃の事実を知る。
「僕これでも16歳ですよ」
「え゛!?」
16歳?!
13とかだと思ってた…
え?じゃあ私のベッドで寝かせるのもまずい!?
いや、寝ていいよと言ったからには…
「ほら、早く寝なさい」
そう言って私は部屋を暗くする。
「それじゃ、おやすみ」
そう言って私は部屋を出る。
その時の私の脳内には、ベッドが臭かったらどうしよう…
私のベッドで寝るのやだかったかな…
などの事でいっぱいだった。
◆
時計を見ると、
「
私は1度
私はゆっくりと扉を開ける。
「すぅ、すぅ、」
部屋の中に小さな寝息が響いている。
良かった、ちゃんと寝れてるみたい。
「髪サラサラだなぁ」
私は目の下まで伸びた、
すると、髪で隠れていた額の部分からも、傷が
「こんなところにも傷…」
私が覚えている中では子供に怪我を負わせる人には見えなかったのに…
「それにしても整った顔してるなぁ」
眼福眼福!
この神の作った芸術の様なご尊顔をこれから毎日見る事ができるとか、最高じゃん!
「うぅん…」
「?!?!」
私の…腕を抱いて寝ている?!
何この可愛い生き物…
…でもこうして
これが16歳の体型とは思えない。
これから沢山ご飯食べさせないと!
私は惜しみながら
「そう言えば
お父さんは
「行ってませんよ」
目をぱっちりと開けた
「あ、ごめん!起こしちゃった?」
「いえ、大丈夫です。よく寝れました」
「なら良いんだけど…」
それよりまた敬語!
まぁしょうがないか、まだ会って数時間だし。
「じゃあ
「はい」
「そう…」
恐らく叔父さんが学校に通う事を許さなかったのだろう。
「ねぇ
「はい」
「高校行ってみたい?」
私がそう言うと、
「あっ!でも行きたくなかったら全然行かなくていいからね?!」
「少し…考えさせてください」
「うん!いくらでも待つよ!だからゆっくり考えて!」
「ありがとうございます…」
そう言った
家族に捨てられた僕、従姉妹のお姉さんに拾われ愛されてます。 猫のストーカー @konohageeeee
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