24、天使学校

 怨霊事変は終結し、ようやく天偽国や生界には平穏が訪れ始めていた。

 長い戦いであったが、各地で天上十六系天使を始め、大天使や天使が命懸けで戦ってくれたおかげで、世界は護られた。


 今日という日があるのは、天使がいたから。




 ーー天使学校三十日目

 負傷した生徒たちの容態も回復し、ようやく天使学校が再開する。

 長い争いもあったが、これから彼らは天使の心得を学ぶ。


 修復された教室で、メイサエル先生は卓上に立つ。


「皆、今回の怨霊事変を経験し、天使としての苦悩が分かったと思う。戦うということは恐い。天使という天命を担う以上、死神のような強大な敵を相手にすることだってある。それを乗り越える力が天使にはなれない。

 私も今回の怨霊事変を経験して色々と思うことがあってな。それでこれからの授業にはいつも以上に厳しい訓練などを取り入れるつもりだから、お前ら、覚悟しとけよ」


「えー」

「いつもの授業だって厳しいですよ」


 そう言いながらも、本気で嫌がっている生徒は一人もいなかった。

 きっと死神と戦ったから、全員が少し成長できたんだと思う。


 死神、彼女も彼女で教師になっていた。

 死神という先生が教えてくれたのは、恐怖や憎悪、その他諸々負の感情。その感情を感じなければ、きっと今のように成長できなかった。


「では授業を始める。全員、校庭に出ろ」


 それからメイサエル先生の厳しい授業が始まり、私たちはびしびししばかれることになった。




 これからあと七十日。

 楽しいことも辛いことも、きっとたくさんあるんだろう。その度に私たちは挫折して、苦しみ、悩み続けるのだろう。

 それでも、私は構わない。


 だって私たちにはこの先生がいる。

 この先生といれば、どんな辛いことだって一緒に乗り越えられる気がする。


 だから私たちは前を向く。

 いつか来る別れを惜しむとしても。


「さあ、天使学校を始めよう」

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