5、ご近所トラブルと呼んで良いのだろうか?このトラブルは。
「隣人トラブルの解決?なんか凄く難しそうな課題を出されたな」
リアライゼは出された課題に厄介さを感じる。
「今回の課題、成功できたチームの成績は
メイサエルは脅迫にも似た言葉を生徒たちに浴びせた。
失敗したら……
「「「恐すぎるよ!!!」」」
生徒たちは声高らかにつっこんだ。
「課題は今日中にクリアすれば良い。クリアした奴から教室に戻ってこい」
何てのんびりとした先生なんだ。
そうリアライゼたちは思っていた。
「にしてもご近所トラブルって、さすがにハードレベル過ぎるだろ」
「まあ一応この場所に行ってみよう。問題を起こしているのは三階の一号室と二号室の人だから」
出された課題に落胆しながら、三人はそのマンションへ向かう。
アパートは百階建て。一階につき十の部屋がある巨大なマンション。
三階へ行き、まずは一号室を訪れる。
そうしようとした瞬間、一号室の扉が開き、フライパンを持った男がリアライゼへと襲いかかる。
チルドレンは咄嗟にリアライゼの手を掴み、自分の方へと寄せる。
「いきなり何するんですか」
その声は一号室からぞろぞろと出てきた人たちによってかき消された。
一号室からは十人程、重火器を持った男たちが現れた。
「……へっ!?」
リアライゼたちは固まる。
「お前ら、ぶっ放せ」
「ちょちょちょちょ、ちょっと待って。いきなり何をーー」
後ろへと下がるリアライゼ。
だがなぜか行き止まりに背中が当たる。
「……え?」
恐る恐る振り返ってみると、二号室の扉が開き、その扉にリアライゼは背中をつけていた。
二号室からは、重火器を持っている女性たちがぞろぞろと出てきた。数は十人程だ。
「ちょ、ご近所トラブルとかそういう問題じゃないだろこれ……」
リアライゼは二組に挟まれ、叫ぶ。
その声も虚しく、二組はリアライゼを間に挟んで睨み合いを始めた。その様子を足早に逃げていたチルドレンとテスは蚊帳の外で見ていた。
「へえ、面白」
「チルドレンさん、助けに行かなくて大丈夫ですかね……」
「大丈夫でしょ。だってリアライゼだからね」
リアライゼが危機的状況に陥っているというのに、チルドレンはその様子を面白おかしく見ていた。
間に挟まれるリアライゼは、依然混乱状態に陥っている。
重火器を持った二組は睨み合い、いがみ合いながら、強い口調で、
「おいてめえら、今日こそ決着つけようぜ」
サングラスをかけた強面の男は、リアライゼ越しにその向こうにいる女性にそう叫んだ。
「何言っている腰抜け集団。私たちはいい加減暴れたいんだけどな」
白い特攻服を身に纏い、長い赤髪を後ろ一本でまとめている女性は、両手に木刀を持ち、背中にはバズーカを携えている。
彼女はリアライゼ越しにその向こうにいる男にそう叫んだ。
「ちょ、あのー、私越しに話さないでくれる?」
「……え!?」
「……は!?」
まるで今初めてリアライゼが見えたような反応に、リアライゼも、強面の男たちも、特攻服を着た女性たちも驚いていた。
「お前……誰?」
冷静に質問をされ、逆にリアライゼは困惑する。
「ええ、いきなりそんな冷静になられても……」
戸惑いながらも、リアライゼは冷静さを取り戻し、
「私は天使学校からやって来ました。あなた方の近所トラブル、っていうかほぼ殺し合いみたいなことを止めに来ました」
「なるほど」「なるほど」「なるほど」「なるほど」「なるほどな」……
次々と彼らは納得していく。
理解し、色々と分かっていく。
大体のことを理解した彼らは、持っていた重火器をある人物へと向けた。
「え……!?」
全ての重火器はリアライゼに向けられた。
リアライゼは状況が呑み込めず、固まっていた。
「お前ら、このガキをぶっ潰せ」
「え……ええぇぇぇえぇえええええええ」
リアライゼへ向け一斉に重火器の砲撃が放たれる。
爆発が幾度も起き、その爆発の中にリアライゼは包まれる。
「リアライゼ!?」
「リアライゼさん!?」
余裕の面で見ていたチルドレンはさすがに驚いていた。
爆炎が舞い、爆煙が周囲に飛散している。
その威力では、リアライゼは跡形もなく消えている。生きていれば奇跡というくらいにとんでもない威力だ。
しばらくして爆煙が外へと流れていき、リアライゼがどのような姿になっているのか見えた。
リアライゼは……無傷だった。
なぜなら、彼女をかばうように一人の少年が灰色の翼を広げてリアライゼを爆炎から護ったからだ。
少年は重火器を持つ彼らを睨みつけ、
「ったく、父さんも母さんも何してるんだよ」
怒り、どなった。
少年に護られ、リアライゼは安堵のあまり膝を崩してしりもちをつく。
「ま、マジで死ぬかと思った……」
しりもちをつきながら、リアライゼは少年の言ったことを思い返していた。
「……ってか、父さんに、母さん?……! ?」
これはただの近所トラブルではない。
家族、その間で起きた大きなトラブルだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます