Episode16

 まったりとした休憩をした後、研究所への道のりを移動する。


「タケル君、この『じどうしゃ』と言う乗り物は便利だな。」


「そうよねぇ、これなら長期の依頼を受けても快適に移動出来るものね。」


「そうそう、それにこの『きゃんぴんぐかー』って言う乗り物だったら夜営の時も楽だし、お風呂だって入れるんだもんね。」


 今現在、運転はAIさんにお任せである。

 このチートキャンピングカー『ヴィレッジ』の運用は全てAIさんにお任せした。


『マスター、面倒事を私に丸投げするのはやめてください。ミラ様、キャンピングカーが異常であって、この世界には存在しないものです』


「わかってますよ~。タケルくんのスキルが異常だって事くらい。」


「そうよねぇ、事が出来るなんて、そんなスキル存在しないから。タケルちゃんが異常なだけね。」


 はい、皆さん。今の会話で理解していただけたと思いますが、僕は自分のスキルをある程度話しました。もちろん、僕の秘密がバレないように全員に契約魔法を行使させてもらいました。

 まぁ、何故かエレナさん、レイナさん、ミラさんには夜のお相手の方も契約させられそうになりましたが、そこはお断りさせていただきました。


 そんな感じで楽しく移動していたわけですが、いよいよ件の研究所に近づいてきた事で一旦、車から降りて徒歩での移動に変わりました。何故なら、研究所は岩山の洞窟内にありそこへ至る道は、常に霧が立ち込める森を抜けた先にあるからです。

 

「あぁ、徒歩がこんなに辛いなんて…タケルちゃんに責任取ってもらわないと♡」


「レイナの言う通りだよね。タケルくん、ちゃんと責任取ってね♡」


「そうだぞ、タケル君。私達五人に責任を取ってもらわないといけないな♡」


『五人?それは妾とノワールも入っておるのか?』


「当然じゃない!!タケルちゃんに契約魔法を使われたんだもん。私達はタケルちゃんと一生離れられない存在になったって意味でしょ♡」


『なるほど。我達は主人あるじの忠実なる下僕と言うわけか…』


「違うよノワールさん。アタシ達はタケルくんの愛の奴隷だって事♡」


『ミラ殿、それは下僕とどう違うのだ?我にはよくわからん。』


『マスター、どうやら夜のお相手をする事は確定のようですね』


 おっふ!!なんでそうなる!?契約では『僕の秘密を明かさない』約束だったはずなのに…

 女性五人が集まってなにやら話しているようだった。しばらくしてブロンシュが口を開いた。


『なるほど、理解した。主様あるじさま、今宵より妾達を末永すえなごう可愛がってくだされ♡』


「全力で拒否する!!」


『何故じゃ!?人種のオスは、メスを沢山侍らす事に優越感をおぼえると我は聞いたぞ!?』


『ウム、妾もそう聞いておった故に提案したまでじゃが?』


「タケルちゃん、男らしくないぞ♡」


「そもそも、レイナさんとミラさんはバットさんと付き合っていたのでは?」


「えっ!?アタシとレイナは別にバットとは、付き合ってないし。」


「そうよ、どうして私達がバットなんかと付き合ってるって思ったの?」


「えっ!?だって初めて会ったとき、レイナさんの胸を枕にしてミラさんと恋人繋ぎしていたから…」


「あれは、バットがタケルちゃんを見やすくするために仕方なくしてただけよ。」


「アタシの場合はバットが、そういうふうに握ってきたから仕方なくしてただけたよ。」


「そうですか…」


「そういう事♡ってことでタケルちゃん。私達を沢山可愛がってね♡」


『マスター、どうやらラノベやWeb小説でのテンプレ、『ハーレムルート』に突入したようですね♪』




 はぁ、頭痛い。




 ハーレムルートが無事?確定したことで移動を続けていると研究所の入口付近に到着した。

 迷わなかったかって?それはAIさんの『超高性能ナビ』のおかげですよ。


「ここが『エルドラ』の研究所…お師匠、ついにたどり着きましたよ。」


 中は何も無いんだけどね。


「中は以外とシンプルな造りになっているみたいだな。」


 最近影が薄かったバットが口を開く。

 レイナさんやミラさんの存在感が強すぎて、バットの存在を忘れてた。


「確かこの辺りに隠し扉があったはず………あった、これをこうして…やった、開いた♪」


『すみませんマスター、あの隠し扉の存在は感知していませんでした』


 ドンマイ、AIさん。


「これは!?ホムンクルスの設計図?こっちは『魔導回路』の基礎理論!?さすが、伝説の錬金術師…お宝の山ね。」


『マスター、レイナ様の持っている設計図と基礎理論をスキャンしました。マスターの持つスキル【錬金術】で構築可能です』


 AIさん、魔導回路は発展可能かな?


『イエス、マスター。ですが、マスターに搭載されているものが、最終発展型ですのでこれ以上の発展は不可能です』


 そうか…じゃあ僕にとってはここに必要なものは無いってことだね?


『イエス、マスター。』


 じゃあ後は、レイナさん達が満足するまで探索をさせよう。





 レイナさん達が満足するまで探索を行ったあと、フィクシアへの帰途についた。

 ギルドまで行くと、ミリアさんが出迎えてくれる。


「タケルさん、怪我はありませんか?体調不良になってはいませんか?」


「ミリア、タケル君は大丈夫よ。それよりみんなで私の執務室まで来てくれるか?」


 エレナさんの言葉に従い執務室まで行くと、エレナさんは僕に向かって口を開く。


「まず、タケル君にはギルドマスターの権限においてAランクに昇格してもらう。これは君を守るためであり、決定事項だ。受けてくれるな?」


「わかりました。お受けいたします。」


 エレナさんは僕が提案を受諾したのを見て、安堵する。そして、机の上に置いてあった書類を見て、驚愕の声を上げる。


「なんだと!!帝国がこの都市に攻め込むだと!!」


 なんだ?嫌な予感しかしないのだが…


◇◇◇◇◇◇◇◇


次回は3月28日を予定しています。

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