Episode15

「あっ、ゴメン。今口枷外すね。」


 僕は白竜と黒竜の口枷を外してあげた。


主様あるじさま、妾達に名を与えて欲しいのじゃ。』


『ウム、我に相応しく良き名を与えて欲しい。』


 えぇ、もうシロとクロでいいんじゃね?


『マスター、酷すぎます』


『主様?今の女子おなごの声は誰なのじゃ?』


主人あるじよ、我にも聞こえたが周りに女性にょしょうの姿は見えぬ。どこにおるのだ?』


『マスター、トカゲどもがうるさいようですので、始末してよろしいでしょうか?』


 待て待て待て、AIさんせっかく契約したのに即処分は早すぎるよ。もう少し熟成させてからでもいいと思うけど?


『確かに。白トカゲと黒トカゲ、私は『AIサポートシステムNo00』です。マスターは私の事を『AIさん』と呼んでいます。トカゲ達は私の事を『AI様』と呼びなさい』


『白トカゲとは妾の事か?口の悪い女子じゃのぉ。』


『黒トカゲ…わ、我をそう呼ぶか。』


 なんで黒竜はAIさんに罵倒されて、少し嬉しそうなんだ?もしかして、黒竜のヤツ…Mなのか!?


『主様、早う妾達に名を与えてはくれぬか?』


 名前ねぇ…僕のネーミングセンスは誉められたものじゃないんだけどなぁ。


「う~ん、自信がないけど僕が名付けていいのか?ヘンな名前になっても、苦情は聞かないからな!!」


 うんうんと悩みながら必死になって名前を捻り出しているところで、ノート AUTECH CROSSOVERが近づいてきた。

 四人が車から降りて、僕に近づき声をかける。


「オイ、タケル。もしかしてこれって…ドラゴンか?」


「ええ、ドラゴンですよ。」


「タケル君、まさかドラゴンを捕獲したのか!?」


「はい、捕獲し【契約魔法】を使って、隷属させました。」


「えっ!?タケルちゃん、ドラゴンを隷属させたの!?」


「そうですよ。このドラゴンは僕の命令には逆らえないです。」


「ええ!?タケルくん、ドラゴンって倒すだけでも難しいのに、捕獲どころか隷属までさせちゃうなんて凄いじゃない。」


『主人、我らをここから出してくれぬか?』


 とりあえず、白竜と黒竜を地面から出してやる。

 ラノベやWeb小説の場合、ドラゴンが人化する事も出来るはず。この二匹に聞いてみるか…


「お前達は人の姿になれるのか?」


『主様、妾達にそれを望むか?』


『主人の命令なら従おう。』


 二匹が輝き人の姿に縮んでいく。

 輝きが収まるとそこには、白と黒のタイトなスカートのビジネススーツを着る二人の美女が立っていた…何故にビジネススーツ?


『主様、これで良いかのぉ?』


『主人、我達が着ている服は窮屈じゃ。』


 格好としゃべり方の違和感が半端ねぇ。


『ときに、主様よ。妾達の名は何時付けてくれるのじゃ?』


 う~ん、どうしよう。この名前を気に入ってもらえるかな?


「白竜の名前は『ブロンシュ』黒竜の名前は『ノワール』にしようと思うけど…」


『妾の名は『ブロンシュ』じゃな。』


『我は『ノワール』…良き響きだ。』


 うん、ぶっちゃけフランス語で白と黒って意味なんだけど……気に入ってるみたいだからいいか。

 さて、これからこの二匹?いや二人をどうしようかな?


「ブロンシュとノワールは、これからどうしたい?」


『主様?妾達をここに置いて行くつもりかや?』


『主人、我達は主人について行くつもりだが?』


「OK、わかった。この人数じゃノート AUTECH CROSSOVERには乗れないな。」


「タケルちゃん、どうするの?」


「新しい乗り物に変えます。」


「「「「新しい乗り物?」」」」


「アイテム創造クリエイト【モーターホーム】」


 大型観光バスのようなキャンピングカーが、目の前に現れる。

 これもまた異世界仕様で魔力が燃料となっている。AIさんに僕の『魔導回路』を解析してもらい、それをキャンピングカーに組み込んだ。

 なので、今回は僕がハンドルを握らくても走れる仕様になってます。まぁ、AIさんの自動運転形態オートドライブモードに任せれば、無人で動くけどね。

 ノート AUTECH CROSSOVERに付けていた各種の異世界機能を継承させているので、普通のキャンピングカーよりもさらに快適です。

 さらに、キャンピングカーには空間拡張を施し見た目以上に広い空間になっている。

 なんと、二階部分を設置して各自の寝室に利用。一階部分はリビングとダイニングキッチン、トイレにバスルームなど生活の拠点として利用できるようになっている。


「「「「『『大きい!?』』」」」」


 はい、素直な感想ありがとう。

 みんなを車内に案内する。


「「「「『『広~い!!』』」」」」


 二度目の素直な感想ありがとう。


「ねぇねぇ、タケルくん中を探検してもいいかな?」


「かまいませんが、案内しますよ?」


「自分で色々見たいから、案内はいらないよ。」


「わかりました、ミラさん。じゃあ僕はお茶の用意をしておきますね。」


「了~解。んじゃ、いってきま~す。」


『これ小娘、妾も行くぞ。』


『待て、我も一緒に行く。』


「タケルちゃん、私も一緒にお茶の用意をしてもいいかしら。」


「待てレイナ、タケル君と二人だけにはさせないぞ。」


「タケル、ビールが飲みてぇ。」


「バット…さん、お酒はもう少し日が落ちてからにしてください。」


かてぇ事言うなよ。あの旨さを知ってから、早く飲みたくて仕方ねぇんだからよ。あっ、つまみは唐揚げな。」


 仕方がない、ビールと唐揚げを用意して早々に寝かせてしまおう。


「ねぇ、タケルくんここのお風呂はどうやって使うの?」


「壁についているパネルを操作してもらえれば使えます。パネルに『お湯張り』と書いてあるボタンを押してしばらく待てば利用できます。」


「了~解。もうお風呂の用意していい?」


「どうぞ。ゆっくりしてください。」


「タケルちゃん、おやつはこのクッキーがいいかしら?」


「タケル君、コーヒーと紅茶、どちらにする?」


 みんなで楽しくお茶の時間を過ごした。


◇◇◇◇◇◇◇◇


次回は3月21日を予定しています。

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