Episode9

 一分もしない内に男性は、傷一つ無い状態になった。


「えっ、ウソ!?あり得ない!」


「あんなに酷い怪我だったのに…」


 斥候スカウトの美女に魔法使いの美女が声を上げて驚く。


『マスター通常の治癒魔法でも、一分以内に元通りになる事はあり得ません』


 マヂですか~!Σ( ̄□ ̄;)

 この世界の治癒魔法がどんなものか、知らないから僕なりのイメージで魔法をかけたからな~。

 まぁ、伝説の錬金術師さんも『魔法は想像イメージを具現化すること』って言ってたしねΣd(゚∀゚)

 そうこうしているうちに、怪我を負っていた男性が声をかけてきた。


「助けてもらったことには、感謝するが殴られたことは抗議したい気分だな。」


 チッ、リア充爆ぜろ(#`皿´)

 なんて思いながら、


「身体の具合はいかがですか?あそこまで酷い怪我を治癒したのは初めてだったので、後遺症などがあると心配です。」(*´~`*)


 と、心配そうな顔をつくり殴った事をうやむやにしてみた。


「お、おう、心配してくれてありがとよ。けど、殴った事はどう落とし前つけるんだ?」


 クッ、そう簡単には忘れてくれないか…


「すみません、僕の場合、相手に直接触れないと治癒魔法の効果が現れないという条件があるんです。」


「だからって、殴る事はぇだろうが。」


「あとは、リア充爆ぜろ!!っていう理由です。」


「100%只のひがみじゃねぇか!!」


「う~ん、そうとも言うかな?」


「いや、絶対そうとしか言わねぇ!!」


「……じゃあ、そう言う理由でいいです。」


「じゃあってなんだよ、じゃあって。……はぁ、なんか無駄に疲れた。」


「まぁ、元気になって良かったです。………チッ。」(#`皿´)


「オイ、今舌打ちしたよな?」


「いえ、気のせいです。」


「そんなわけねぇだろ?絶対舌打ちしたよな?」


「気のせいです。」( `ー´)


「いやいや、舌打ちし「気・の・せ・い・で・す-!!(#`皿´)」…オゥ、わかった、そう言うことにしておこう。」


「わかってもらえて良かったです。」( ̄ー ̄)


 フゥ、これで良し!!


『何が、どう良いのか甚だ疑問ではありますが、マスターが良いと思うのであれば良いのでしょうね、多分。……と言うより、かなりゴリ押ししましたね、マスター』


 AIさん、こういう時はゴリ押しが一番ですよ。(  ̄▽ ̄)ハッハッハ


「あの~、もしかして『神風かみかぜ』の三人ではありませんか?」


 ギルド会館入口にいたミリアさんが、リア充三人組にパーティー名を聞いてくる。


「ええそうよ。私達がAランクパーティー『神風』よ。」


 魔法使い(たぶん)の女性が、誇らしげに胸を反らして言う。

 ご立派なお胸がこれでもかと弾む。


『あの魔法使いと思われる女性は、推定Eカップです。因みに、エレナ様は推定Gカップ、ミリア様は推定Fカップ、斥候と思われる女性は推定Dカップです』


 いやAIさん、別に女性の胸のサイズが知りたいわけじゃないです。


『多感な青少年であろうマスターに必要と思われる情報を提供したに過ぎません』


 GJグッジョブです(^^)b


『お褒めいただき恐悦至極です』


「いったい何があったのですか?Sランク目前の『バット』さんが、あれ程酷い怪我をして戻って来るなんて初めての事じゃないですか!?」


 ほほう、リア充男の名前は『バット』と言うのか…次、この人を治癒する時は、『ぼくのかんがえたさいきょうのちゆまほうあいてむ』を使ってやろう( ̄ー ̄)フフフ


『マスター、笑顔が黒いですよ。しかも何気に異空間収納ストレージにグロテスクなメイスが入っているのですが…』


 AIさん、よくぞ聞いてくれました!!この怨嗟の声をあげる顔が複数張り付いたメイスこそ、棺桶に片足を突っ込んだ人でも、このメイスでぶん殴ればあと10年ぐらい寿命が伸びるほど回復する至高のアイテム!!


 その名も『永遠の苦痛エターナルペイン


『マスター、そんなグロテスクなメイスで殴れば、回復どころか名前の通り永遠の苦痛に苛まれると思われますよ。と言うより治癒する気が無いでしょう』


 AIさん、大丈夫だ。このメイスはリア充男にしか使わないから!!( ̄ー ̄)キリッ


『マスター、リア充男への僻みを凝縮してアイテムを創造クリエイトするのはやめてください』


 AIさんとの脳内漫才を繰り広げている間に話は進んでいて、どうやらこのリア充三人組は伝説の錬金術師さんの研究所を探している時に運悪く、ドラゴンに出会い怪我をしたそうだ。

 う~ん、ドラゴンか…美味しいのかな?


『マスター、涎が出てますよ』


 おっと、危ない危ない。運動部の腹ペコ男子学生の如く涎が出てしまった。

 まぁ、僕は帰宅部だったけどねΣd(゚∀゚)


『帰宅部だったんかーい!!』( `Д´)/


 AIさんのツッコミが今日も冴え渡る!!

 と言ってもAIさんと出会ったのは今日が初めてですけどね┐('~`;)┌

 とはいえ、異世界もののラノベやWeb小説なんかでは、『ドラゴン=美味しいお肉』はテンプレみたいなので、ここは一つ僕もそれに乗っかってみたいと思います!!(^_^)v

 できれば、安定的かつ恒久的にドラゴン肉を食べたいものですが…なんとかなるかな?

 しかし、このリア充三人組にあの錬金術師さんの研究所を探されるのはどうなんだろう?うーん、でもあの研究所って重要なものってなかったはずだから大丈夫かな?


『マスター、錬金術師の全ての資料は私が記憶し保存していますので大丈夫です。また、研究所にあった資料は全て廃棄しておりますので安全です』( ̄ー ̄)ドヤァ


 AIさんのドヤ顔はスルーして、とりあえずドラゴン狩りにいってみようかな。


 などと考えていたら、リア充男バットから声をかけられた。


「なぁお前、もしよかったら俺達と臨時パーティーを組まないか?治癒魔法が使える人間が欲しいと思っていたところなんだよ。」


 うーん、理由はわかったけど、斥候スカウトらしき女性と魔法使いらしき女性が僕を睨み付けているのはどうなんだろう?


「私は反対よ。だいたい、今日ギルドに登録したばかりの新人なんて足手纏いにしかならないわ。」


 なんてことを言ったのは、魔法使いらしき女性。


「バットの言うことも一理あるけど、アタシも反対するよ。戦闘時の連携が乱れれば最悪全滅する可能性が高いからね。」


 そう言って斥候スカウトらしき女性まで僕のパーティー加入を拒否する。


 さて、どうしたもんかなぁ(^_^;)

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