Episode7

 エレナさんとミリアさんの二人の美女に挟まれて、連れてこられた執務室。


 …どうしてこうなった?


 執務室のソファーに座っているのに、対面には誰もいない。


「ギルドマスター、タケルさんに話があるって言ってましたよね?どうして、タケルさんのに座っているんですか?」


「あら、別にに座っていても話は出来るでしょ?それよりも、ミリア?貴女こそ、どうして受付の仕事をほったらかしてここにいるのかしら?」


 そう、僕は二人に連れてこられたままの状態で執務室のソファーに座っている…

 エレナさんとミリアが僕を挟んで、バチバチと視線で牽制しあってます。

 正直、かなりコワイです((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


「あ、あの~、僕に話があると言うことでしたが…」


「そうだった!!少年、これから君に『重要な事』を聞くが、構わないか?」


「答えられる範囲であれば……」


「結構。では少年……ズバリ聞くが、今付き合っている女性はいるのか?」


 ………ン?それは『重要な事』なのだろうか?


「え~と、スミマセン、エレナさんそれは重要な事なのでしょうか?」


「当然だ!!冒険者を生業なりわいにする輩は、大抵粗野で下品、そして礼儀知らずの者が多い。だが少年!!君は、礼儀正しく上品であり尚且つ、女性に対して紳士に振る舞う…正直に言おう、私は君を異性として意識している。どうだろう、私と結婚を前提として交際してもらえないだろうか?」


 おっと、エレナさんからの突然のプロポーズですか…


『マスター、鼻の下が35センチ程伸びています。それに先ほどより犯罪臭のする顔が更にパワーアップしているように見えます』


 AIさん前回より5センチ多いようですが?それに犯罪臭のする顔ってどんな顔?


『事実です。正直、指名手配レベルです』


 ウソ付け~、それ完全に凶悪犯罪者モンだよね?僕はそんな顔してないだろ!?


「ちょ、ちょっとギルドマスター!?何サラッとタケルさんに告白しているんですか!わ、私だって、タケルさんの事…す、好きなんですから。」


 なにやら、ミリアさんからもアプローチがかかったみたいだけど…どうしたモンかね~。


「わ、私はタケルさんに守ってもらった事実がありますから、ギルドマスターよりは一歩リードしていると思いますよ♪ですから、タケルさん!私と結婚してください!!」


 ミリアさん、ストレートだな~。


『マスター、そろそろ現実に戻りましょうか』


 えっ、AIさん何を言っているのですか?僕は現実と向き合っていますよ?


『そんなネタはいいですから、そろそろ妄想から戻りましょうか』


 


 AIさんの言葉で、我を取り戻す。


「少年…大丈夫か?女性に見せてはいけないようなだらしない顔をしていたぞ?」


 ……やってしまった( >Д<;)


『随分、都合の良い妄想に耽っていましたね(笑)』


 …ほっといてください。憧れたっていいじゃないですか。


「聞いていないようだったからもう一度、最初から話をするぞ?

 少年、君の力は正直異常だ。聞けば、まだ成人して一年程しかたっていないそうだな。その歳であれほどの力を持っていると言うのは…ギルドとしても危険視をすることになるだろう。」


 まぁ、こうなるだろうとは思っていたけど…


「そこで、だ、少年には早急にランクを上げて欲しいと思う。君も今日のような事を繰り返したくはないだろ?」


「それは…そうですね。」


「ならば、早急にランクを上げるようこちらも

君に適した依頼を回すよう手配しよう。」


「ギルドマスター、ありがたいお話ではありますが、僕なりにいろんな依頼を受けてランクを上げたいと考えてます。」


「そうは言っても少年、このままではいつまた絡まれるかわからないんだぞ?」


「振りかかる火の粉は払えばいいだけです。」


「フッ、少年はカッコいいな。ミリアを見てみろ、少年を見る瞳にハートが見えるぞ?」


 僕は振り返ってミリアさんを見る。

 ミリアさんは熱に浮かされたような顔で、僕を見ていた。


『マスター、どうやらミリア様は過労が祟って視点が定まっていないようです』


 そっちか~い!


「ギルドマスター、ミリアさんは過労のようですよ?」


「む、そこまで彼女に仕事をさせた覚えはないのだがな。」


「だとしたら、精神的なものじゃないですかね?」


「そうかもしれないな。ミリアの話はこれくらいにして、少年、君は一刻も早くランクを上げるようにしてくれ。」


「はぁ、まぁ、ぼちぼちやっていきます。」


「むぅ…これ以上無理強いは出来ないか……わかった、少年の自主性に任せよう。

 何かあったら、私を頼るといい。君には期待しているよ。」


「ありがとうございます。その時は、よろしくお願いいたします。」


 そう言って、僕はエレナさんに頭を下げ執務室を後にする。

 執務室を出たあと、ミリアさんに「ゆっくり休んでください。」と伝えてギルドを出る。


 さて、宿探しをしないと今夜は野宿になりそうだ。

 AIさん、どこか安宿はないですかね?


『ギルドを出る時に、情報を仕入れる事をオススメします』


 ギルド出たあとに言わないで欲しいな。


『マスター、薬草採集の報酬も貰い損ねていますし、賭けの代金ももらっていないので今現在、マスターは所持金がありません。どうやって宿に泊まるおつもりですか?』


 ………さぁ┐('~`;)┌

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る