Episode6
僕とオッサンのほかには、美人のギルドマスターにミリアさん、僕に罵声と殺意の籠った視線を浴びせていた
「ではこれより、CランクのジグとFランクのタケルとの一騎討ちを始める。立会人は冒険者ギルドフィクシア支部ギルドマスターであるエレナ・マクシミリアが務めよう。」
僕は改めて、周りの人達を見てみる。
『オッズは、20:0でマスターに賭ける人はいません』
まぁ、そうなるよね…だったら、
「なぁ、そこでこそこそと賭けをしているみたいだけど、成立しているのか?してないなら僕が自分に賭ける事にするよ。これで成立するだろ?」
『マスター、賭け金はあるのですか?』
そこは、『
金貨を一枚造り、
「賭けも成立したようなので、そろそろ始めましょうか。」
「クソガキが、テメェが勝つことは有り得ねぇから心配すんな!!」
「んじゃ、僕が勝てば賭け金は総取りですね♪」
「致命傷及び、戦意を失った者への追撃は即負けとみなす。二人とも準備はいいか?では、始め!!」
エレナさんが合図を出すと、オッサンが両手を広げて僕を挑発する。
「ハンデとして初手は譲ってやる。どこからでも打ち込んでみな。」
そのまま軽く中指を弾くと、
ドゴォーーーーン
ものすごい音とともにかなりの勢いで、オッサンは後ろに吹き飛び壁に激突、そのまま意識を失った。
「エレナさん、この場合勝敗はどうなりますか?」
「えっ、あ、しょ、勝者タケル!!」
「お、オイ、今、ジグのヤツがぶっ飛んでいったぞ!?」
「それも指を弾いただけで、だぞ?普通、指弾いただけで人がぶっ飛んでいくか!?」
「いや、有り得ねぇだろ!?つーかアイツ何モンだよ?」
なんかオッサンを吹き飛ばした事で盛り上がっているなぁ。
「少年、今のは何をどうやったんだ?」
エレナさんが不思議そうな顔で僕に聞いてきた。
「えっ、今のですか?デコピンの要領で空気を弾いただけですけど?」
「……それで、人間が吹き飛ぶ事はまずないのだが?」
「鞭を空中に向けて勢いよく振ると音が出ますよね?あれって、鞭の先端が音速の壁を叩いた時に出るらしいですよ?僕はそれと同じ事を指でやってみただけです。」
「………なるほど。少年の言っている事がまったく理解できないな。」
でしょうね…僕も言ってて理解できませんから(笑)
「そもそも、人が指を弾くときに音速を超える速度が出るわけがないからな。」
デスヨネ~(汗)
「フム、考えたところで結果は見ての通りなので、この勝負は少年の勝ちというわけだが…」
「あの人が言った通りに『負けた方がギルドを辞める』ってルールでしたよね?」
「追放処分にする事は確定だが、少年はそれだけでいいのか?君は不当な暴力を振るわれた側なのだから、何かしらの要求をしてもいいと思うがどうする?」
「いえ、追放処分だけで十分です。あまり欲をかくと後で何を言われるか分かりませんから。」
「そうか…では、そのように手続きをしておこう。ミリア、ジグのギルドカードの失効手続きを進めてちょうだい。」
「わかりました。」
「野次馬ども、ジグを医務室まで運んでおけ!!」
これにて『新人』を
『さすがマスター、一級フラグ建築士の資格をお持ちなだけはありますね』
ハハハ、AIさん何を言っているんですか?そんな訳ないじゃないですか。フラグなんて建てませんよ。
「少年、少し時間はあるだろうか?君の実力はFランクとは言えない。何か秘密があるようだが、ギルドマスターとして君の事を知っておきたいのだ。私の執務室までご足労願えないだろうか。」
はい、フラグ回収成功です。
丁寧な口調にも関わらず、エレナさんの眼は『どこに行こうとも、必ず見つけて話を聞く』と言っている。
これは、逃げられないだろうな………
「…わかりました。但し、僕にとって都合の悪いことは黙秘させていただきます。それを了承していただけるなら、協力はします。」
「感謝する。時間が惜しいので、このまま私の執務室まで行こうか。」
そう言ってエレナさんは僕の左腕に自分の右腕を絡める。
あまりよく見ていなかったけど、エレナさんの胸もなかなか……ご立派ですね。僕の左腕がエレナさんの胸に埋まってます。
「ちょ、ちょっとギルドマスター!?タケルさんとの距離が近くないですか~。職権乱用ですよ?」
そう言いつつ、ミリアさんが僕の右腕を自分の胸に沈める。
『マスターの顔が、かなり犯罪臭のする顔になっていると報告します』
AIさんヒドイ(涙)。僕は至って真面目な好青年を自負しているのに。
ともあれ、僕は二人に連行されるように執務室まで行くことになりました。
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