66_セリカの宝箱

俺の事なら何でも知っているさくらが、知らないことの2つのうちの1つ。

それが、机の引き出しに入っている『宝箱』らしい。

そんなものは存在しないはずなのだが・・・


一同、確かめに2階の俺の部屋に移動。


机の引き出しを開けると、確かに宝箱が出てきた。

まさに、『お宝発見』だ。

宝箱と言っても、木製のおもちゃみたいなもので、掌に載る程度の大きさのものだ。


「確かに、あったわ。俺も忘れてた!」


確かに、昔から引き出しに入れていた。

鍵がかけられるおもちゃの箱。

確か、鍵がなくて開けられなくなったけど、何となく捨てられなくて取っておいたのだった。


「何がはいって入ってるの?」


照葉(てるは)が好奇心前のめりで聞いた。

左右に振ると、木製の箱の中は『かこかこ』と何か固く小さめのものが入っていることが窺える。


「知らん。いや、忘れたかな?鍵も無くした」


まあ、このまま『机の肥し』でもいいんだ。


3人が興味津々で宝箱を見る。

ちょっとした『タイムカプセル』みたいな感じだろうか。

いつから持っているかも分からない。

小さい時から持っていることは間違いないけど。


「中身が知りたいですか?」


俺の表情が暗かったのか、さくらが心配して声をかけてくれた。


「まあ・・開けられるなら・・・でも、開かなくても・・・」


「じゃあ、これで・・・」


さくらがクリップを変形させたハリガネを取り出した。

いや、マンガじゃないんだから、鍵とかハリガネで開かないでしょ!


(かちゃかちゃ)「はい、開きました」


開くんかーい!

しかも、手際が良い!


「すげえなぁ、堀園(ほりぞの)さん、何でもできるんだな!」


「いや、俺も驚いた。さくらは何で鍵開けとかできるの?」


「乙女の秘密です」


キラーンとさくらの笑顔が決まった。


久々に出たなぁ、「乙女の秘密」。

何がどうなってるんだよ。


鍵の開いた宝箱を俺に手渡すさくら。

そりゃあ、当然開けるよね。


(パカッ)「ごかいちょー」


冗談を言いながら俺が箱を開けた。


箱の中身を見て、さくらがその場を走って離れた。


「おい、堀園(ほりぞの)さんどうしたんだよ」


「ごめん、俺ちょっと見てくる」


俺はさくらを追いかけた。

部屋を出ると、さくらは、廊下の一番奥にいた。


「どうしたの?大丈夫?」


背中を向けていたさくらに話しかけると、少しだけこちらを向いてくれた。

その時の、さくらの目からは光るものが・・・


「え?泣いてるの!?」


「だって、あれ・・・」


俺の手には持ってきてしまった、宝箱があった。

一目見てさくらが泣いてしまうような物・・・何だこの箱の中身は!?


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