62_美少女とデートと結婚宣誓書

休みの日。

朝からさくらのテンションが凄かった。


いつもは休みの日なら朝10時くらいまでは寝かせてくれるのだが、この日は7時には寝ている俺に抱き着いて、キスをしたり、頬ずりしたりして起こしてきた。


片目だけ開けると、満面の笑顔が見えた。

長い髪はいつも以上に艶々しているし、カラメル色の髪は愛おしく感じさせた。

しかも、今日は編み込みしてある。

目新しさも加わって、惚れた・・・いや、惚れ直した。


少したれ目なところは俺の好みにバッチリなので、見るたびに『可愛い』と心の中で言ってしまう程可愛いし、頬が少し桜色に染まっているのも俺の心臓を捥ぎ取る勢いで心を引いた。


「あ、セリカくん、おはようございます。今朝は早いですね♪」


早いもなにも、さっきからあちこちキスされまくりで、頬ずりされまくりで、耳舐められっぱなしで、誰だって起きますがな!

ついでに、愚息も元気溌剌(はつらつ)なんだけど・・・

どうすんだよ、これ。


■朝食

フルコースかな?


「ごめんなさい、ちょっと作りすぎました♪」


朝ごはんとは思えない程、メニューが充実していた。

ホテルの朝食みたいになっていた。

イメージだけど。


一体何時に起きて準備したんだよこれ。

パンとベーコンと、オムレツと、サラダと、スープ。

ミネストローネなんか、昨日の夕食で出てないよ!?

今朝作ったのこれ!?


「すいません。デートが楽しみ過ぎて・・・」


テレテレのさくら。

何かめちゃくちゃ愛されてる。


「その・・・せっかくの休みなので、セリカくんは、ゆっくりしていいんですけど・・・その・・・」


さくらは明らかにそわそわしている。


「ご飯を食べたらすぐにデートに出ようか」


俺が提案すると花が咲いたように笑顔になるさくら。


「はいっっ!」



■着替え

さくらのアドバイス通り『黒スキニーの法則』に基づいて、黒いスキニーパンツに、シャツを組み合わせて服を選んだ。


「セリカくん、素敵です!」


部屋から出た時に、さくらは待ちきれなかったのか、廊下で待っていて、すぐに言ってくれた。


そう言うさくらの服を見ると、胸元に大きめのリボンがあるシャツに、フワフワのスカート。

以前プレゼントした服にアレンジを加えて、目新しくも俺がプレゼントしたものを着てくれているのが分かる最高の組み合わせだった。


「さくらも可愛いよ。俺がプレゼントした服ってそんなアレンジもできるんだね」


「気付いてくれたんですね!」


嬉しかったみたいで、めちゃくちゃ抱き着かれて、めちゃくちゃキスされた。



■お出かけ

せっかく出かけるのだから、近所のモールでは代り映えしないので、少し足を伸ばして、もっと大きなモールに行った。


さくらと歩くととにかく通行人からめちゃくちゃみられる。

中学生男子などは、通り過ぎた後、走って戻ってきて桜の顔を見ていくヤツもいるほどだ。


以前とは違って、俺はさくらの彼氏なので、何だか鼻が高かった。

さくらは気にせず俺と腕を組んでいるので、ナンパなどはなかったが、一人にしていたら秒で声を掛けられそうだった。


携帯屋では、プランの説明を受けている間、受付のお姉さんがちらちらこちらを見ていた。

それに反応したのか、さくらがぴったりくっついていたので、プランの話は全く入ってこなかった。


安い格安SIMでいいかと思ったけれど、さくらが何としても『夫婦割』のプランが良いというので、俺と同じキャリアになった。

ただ、すごく安かったので、俺の生活費から落とされるように設定した。


未成年なので、保護者の同意書と委任状も事前に準備していた。

ここでちょっと厄介だったのが、『名前』だ。


鳥屋部(とやべ)セリカ、堀園(ほりぞの)さくら。


苗字が違うのと年齢のことで、『夫婦割』の適用が難しいと言われた。

そこで、『宣誓書(せんせいしょ)』と言うのを書くことになった。


『私、乙:堀園(ほりぞの)さくらは、甲:鳥谷部(とやべ)セリカと結婚することを宣誓します』


それぞれ、署名して、コピーを提出。

原本は持ち帰って言いそうだった。


さくらがきれいに畳んで鞄に仕舞っていた。

にこにこしていた。

よほど嬉しかったのだろう。


割引適用のためだからね?

プロポーズじゃないからね?



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