61_美少女にご褒美

テストの結果が返ってきて2つ疑問に思ったことがある。


1つは、さくらはいつ勉強しているのかと言うこと。

さくらが学年1位を取って、彼女は頭が良いことは分かった。


ただ家で勉強しているのを見たことがない。

テスト前に一緒に勉強したときは、色々教えてくれたので、頭が良いとは思っていたけど、ここまでとは・・・


あの時だって、ちょっとした復習しかしていなかったはず。

家に帰ると、掃除や洗濯をしてくれて、料理も作ってくれる。


もはや、『お母さん』だろこれ。

感謝しかない。


そこで本人に聞いてみた。


「さくら、さくらって、日ごろ、いつ勉強してるの?」


「勉強ですか?していませんよ?」


「は?だって学年1位・・・」


「ああ、あれはセリカくんと一緒に復習したじゃないですか!」


「え?あれだけ!?」


「はい!頑張りました」


両こぶしを肩の高さまで上げて、ガッツポーズをして見せるさくら。


「授業中に必要なところだけノートに取っているので、テスト前に見直す感じです」


出たよ。

『表モード』の完璧超人。


『授業中に話を聞いているだけ』なんて一度でも言ってみたいものだ。


「・・・次からもテスト前、勉強教えてください」


「もちろんです!セリカくんなら1位取れると思います」


そんな魔法があったら是非見てみたい・・・



もう一つ気付いたことは、さくらってスマホを持っていないということ。

テスト前は、みんな逃避行動からメッセージが多くなる。

さくらがスマホを触っている時って、全部俺のだった。


自分用を持っていないんだ。

六連星(むつらぼし)さんとも連絡とるかもしれないし、準備してあげたい。



そうなると、彼氏として、日ごろの感謝と、お祝いを兼ねてプレゼントしたい!


スマホは、俺が今まで使っていたものでどうだろう。

半年前まで最新機種だったが、新しいのが出たから機種変した1個前の最新機種。


傷もないし、画面割れもない。

ただ、最新機種が欲しかったから、バイトして買っただけだ。

それでも、お古をあげるだけじゃ何だから、もう少し軽いものをプレゼントしたい。


食後に一緒にコーヒーを飲みながらさくらに聞いてみた。


「さくら、これ・・・俺が今まで使ってたやつで悪いんだけど・・・スマホ使わないか?」


「!!・・・いいんですか?」


さくらがかなり、びくっと反応した。


「これって・・・今までセリカくんが使っていたやつですよね?」


「そう・・・お古だけど、半年前までの最新機種なんだ」


「肌身離さず持っていたものですよね?」


「肌身離さずって・・・まあ、スマホだからね」


「(はあ、はあ、はあ、はあ)いただいてもいいのでしょうか?」


息が荒い。

ああ・・・なぜか、『裏モード』のさくらが出てきてしまった・・・


「友達と連絡とったりしたいだろ?あった方が良いと思って」


「私はセリカくんと連絡を取れれば特に困りませんが・・・いや!要ります!スマホ必要です!私にはスマホが必要なんです!」


一瞬、なんか方向転換があった気もしたが、やっぱりいるってことだな。

お古で悪いけど、プレゼントしよう。

まあ、元々割といい値段で買ったものだから、悪いものじゃない。


「だ、大事にします!」


「・・・うん」


なんか変なニュアンスも感じるが、とりあえず喜んでくれているので、よしとしよう。


「じゃあ、今度の週末でもSIMの契約に行くか」


「はい、デートですね!」


「ああ・・・そうか、デートになるな」


『SIM契約デート』は聞いたことがないが、年ごろの男女が一緒に出掛ければデートだろう。


「あと、それだけじゃ何だから、何かお祝いをプレゼントしたいんだけど・・・」


「え?まだいただけるんですか?」


「うん。日ごろの感謝もあるし、せっかくの学年1位だし」


「うーん、あまり欲しいものは・・・あ、首・・・」


「首輪は買わない!」


食い気味に言ってやった。

さくらが残念そうだった。


「何か身に着けるものが良いのですが・・・せっかく彼氏としての初めてのプレゼントですし・・・」


そう言われると、急に恥ずかしくなった。

俺の顔は今、赤いのか!?

赤いんじゃないのか!?


「た、例えばどんなの?」


「んー、ちょ、チョーカーとか・・・」


「チョーカーってどんなやつだっけ?」


「こう・・・巻くやつです」


そう言って、さくらは人差し指をくるくるさせた。


「ブレスレットみたいな感じ?」


「ま、まあ、そんな感じです」


「ごめん、あんまり高いものだと・・・」


「あ、貴金属とかではないので、値段はそんなに高価じゃないです!」


何だかさくらが慌てているような・・・

まあ、遠慮しているのかな。


「週末にでも、SIMと一緒に実際に見て決めようか」


「はい♪」


さくらが嬉しそうだから、まあいいか。

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