46_美少女の3つ目のお願い

16年生きてきて、初めての体験をしてしまった・・・

女の子のスカートを下から覗き込むとか・・・


しかも、さくらはパンツを履いてなかった。

俺は危うく新しい扉が開いてしまうところだったよ・・・


「セリカくん、私、ちょっと新しい扉が開いたかもしれません」


ここにも同じような感想のやつがいた・・・


「その・・・なんて言うか、天国への扉が開いたって言うか・・・ヘブンズ・ドアーが開いたって言うか・・・」


なぜ言い直したし。

ダメだろ、ヘブンズ・ドアーが開いたら。


「あ、3つ目お願いします」


まだ続けるの?

なんか、思ったのと違うし・・・


「お手柔らかに頼むよ」


「はい、セリカくんは、ソファに座ったままでお願いします」


今度は踏んだりしなくていいらしい。


すると、ソファに座っている俺を跨(また)ぐようにして、さくらがこちらを向いて座った。

手は、俺の首に回してきた。


美少女の顔がめちゃくちゃ近くて、ものすごくドキドキする。

顔は少し艶やかで・・・一言で言えばエロかった。


さくらは、俺の膝を跨(また)いで座っているのだが、このスカートの下はなにも履いてない。

さっき見たから間違いない。


それだけで、すごくドキドキした。

俺はズボンもパンツも履いているけど、布何枚か隔てただけで、俺の息子がさくらの娘(?)と『こんにちは』してしまう状態なのだ。


「な、な・・・」


「貯金通帳に、おばあちゃんの家を売ったお金が少しあります」


「は?通帳?」


「服とパジャマは、セリカくんからのプレゼントだから、ダメですが、制服と下着があります。あと、通学カバン」


「んん?」


「みんなあげます。私もあげます。」


「は?」


「だから・・・代わりにセリカくんの心をくださいっっ!」


「え?」


目の前のさくらの顔は、びっくりするくらい真っ赤だった。

スカートの中を見られても平気そうだったさくらが、顔を真っ赤にして告白してきた。


それも、俺に。

可愛いを具現化したような整った顔。

綺麗な髪。

表情がころころ変わって、ずっと見ていたいほど俺の心を掴んで離さないのに。


その美少女が必死に俺を口説いてきてるって・・・


「ぷっ、ははははは。」


「あ、セリカくんひどい!一世一代の私の告白を笑うなんて!」


さくらが涙目だ。


「いや、ごめん。そうじゃないんだ。いや、そうかもだけど」


「ガーン!セリカくんがひどい。さくら虐待、『さく虐』です」


今度は青い顔になった。


「そんな言葉はない!」


「でも、私、傷つきました!傷物です!」


俺の首に回した両手はそのままに、さくらは首だけプイっと横を向いて拗ねたふりをした。


「いや、俺からしたらさ、さくらほどの美少女で完璧超人は、高嶺の花だよ。それが、どうして俺なんかにそんな一生懸命なのかなってさ・・・」


「セリカくんが、『許婚』を受け入れてくれていないのも理解してます。セリカくんは・・・私にとって高嶺の花なんです!全てと引き替えにしてでも、気を惹きたいです!」


「だから、買い被り過ぎだって・・・」


「いーやっ!今日ここでOKもらえなかったら、きっとセリカくんは他の誰かにさらわれてしまいます!」


「そんなことないのに・・・」


「今日のクラスで、色々わかりました!美人保険医の先生やクラスメイトの黒ギャルに籠絡されます!」


「いなかったよね!?そんなヤツら!」


どこまでが本気で、どこからが冗談なんだよ。


「私にはセリカくんが必要です・・・」


「それは、急に身内がいなくなって、寂しいからで・・・」


「違います!忘れてるかもしれないけど、セリカくんは小さい頃から私のヒーローでした。今はもっと大きな存在です。他の人じゃダメなんです!」


「はあ・・・俺はさくらがいつか、ここを出ていくものと思ってたんだよ。」


「出ていきませんよ!『さく虐』ですか!?」


「いや、俺はさくらに、いつ出て行かれても、『やっぱりな』って思えるように、心の中で準備してたんだ。だから、あからさまな愛情表現も受け入れる事ができなくて・・・」



「(ぶんぶんぶんぶん)さくらは出ていきません!なんなら、革の手錠を付けて、柱に括り付けてもいいです!」


『革の手錠』の『革の』の部分が妙にリアルなんだけど・・・(汗)


「変態な部分は封印しますから!セリカくんの理想の女の子になってみせますから!」


「いや、今のままで十分理想的だよ。十分魅力的だ。」


「朝、起こす時、セリカくんのよだれを舐めるのはやめますから!」


なにそれ。

それはやめてほしい。


「洗濯物を洗う前、においを嗅ぐのもやめますから!」


いや、それは本気でやめてあげて。

すごく恥ずかしいから。


「(ゴホン・・・)」


なんか良い話的になってきそうだったのに・・・

酷い変態性癖を聞いてしまった。

しかも、これまで知らなかったやつまで。


まあ、このくらいの方が、俺達らしいか。


「俺でホントに大丈夫か?さくらに甘やかされて、今まで以上にダメ人間になってると思うけど・・・」


「甘やかされるセリカくん・・・素敵です・・・(はあ、はあ、はあ)」


また何か変な性癖が発動し始めた・・・


「それに、セリカくんは全然ダメ人間なんかじゃありません」


「そうかな〜?まあ、俺の『許婚様』が言うなら信じるか」


「はい!信じてください!」


「これからもよろしくな」


(ぎゅーっ)「よろしくお願いします!!」


さくらが思いっきり抱きついてきた。

だから、美少女らしからぬこういうのは心臓に悪いんだって!


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