35_美少女は誰の嫁?
「なに!?この美味しいの!!違う!絶対焼きそばじゃない!」
さくらのつくった焼きそばを食べて栞(しおり)さんが叫んだ。
「なになに!?これ何が違うの!?麺が高級とか!?」
「いえ、麺はスーパーで3玉100円のものです」
「確かに、具だくさんでおいしいけど、麺から違うわ!」
「それはですねぇ、先に麺だけ下ごしらえしちゃいます!」
「どういうこと!?どういうこと!?」
「市販の麵は水分が少なくなっているので、水でほぐした後、電子レンジに入れて先にチンしちゃうんです!」
「それだけ?」
「はい、それだけですよ」
「いや、絶対あるでしょぉ」
「実は後、3つほどあって・・」
「ほらぁ。教えて教えて」
「栞(しおり)さんだから、特別ですよ」
腕組みをして、片目だけ開けてもったいぶっているさくら。
人を惹きつけるしゃべりに長けてる。
「うん、うん。聞きたい!」
「一つ目は、水じゃなくて、お出汁を使って・・・」
女性陣は楽しそうにトークに花を咲かせていた。
俺は黙って焼きそばを食べたが、やっぱりおいしい。
さくらの料理は全て何かしらの工夫というか、アレンジというか、研究の成果が盛り込まれていた。
手間はかかるのだろうが、その労力以上の成果を上げている物ばかりなのだ。
俺の春休みまでの食生活と言えば、昼の学食が一番まともな料理で、朝は食べないことも多かったし、夕ご飯はコンビニ弁当が多かった。
正直、今はその生活に戻れる気がしない・・・
食後、俺と栞(しおり)さんはソファの方に移動した。
さくらは洗い物をしてくれている。
「ちょっとぉ、激美少女でお料理も上手で、掃除も洗濯も完ぺきって・・・あんな完璧超人どこで見つけてきたのよ?」
うーーん、完璧なのは『表モード』のさくらであって、『裏モード』は、残念美少女なのだが・・・
「私も欲しい!さくらちゃんを嫁にする!」
さくらが洗い物を済ませて俺の隣に来て、座った。
「魅力的なプロポーズです。でも、もう、私はセリカくん専用ですからご期待に沿えません」
そう言って、わざとらしく横から俺に抱き着くさくら。
可愛い子にそういうことをされる免疫がないんだから、やめていただきたい。
「あー、いいなぁ。いちゃいちゃ~。私も彼氏ほしい・・・セリカくんが最後の砦だったのに・・・」
なに、俺どうなる予定だったの!?
「もうね、結婚してくれるだけでいいの。私が一生懸命稼ぐから」
「結婚だけでいいのかよ」
「同居が嫌なら別居でもいい!何なら存在しなくてもいい!」
「夫って言う『概念』になってるよ・・・」
「あら、栞(しおり)さんだったら、素敵な男性がいそうですけど?」
さくらがフォローする。
「うちにくるお客さんは、みーんな売約済みなの。モテるから結婚しているのか、結婚しているからモテるのか・・・」
なに?哲学?
「セリカくん、担任の先生男?独人?イケメン?」
「担任?あー、男だし、独身だし、イケメンと言えばイケメンだけど・・・やめといたほうがいいなぁ」
「何でよぉ。私の出会いを邪魔しないでよぉ!邪魔するならセリカくんがお嫁にもらってよぉ!」
「俺、高校生ですよ?しかも従姉(いとこ)だし」
「何よ~、従姉は4親等だから結婚できるのよ!?学校で習ったでしょ?」
知らなかった。
従姉(いとこ)は結婚できるのか。
「本当ですよ、セリカくん。ほら、今ネットで調べました」
そう言って、俺のスマホを手渡すさくら。
ちょっと待て。
俺はスマホにロックをかけていた。
いつの間にパスワードの解析に成功してるんだ!?
「さくら、お前・・・パスワードを・・・」
「まさか、素数を小さい方から・・・」
「わーわーわー!」
バッチリ解析していやがる。
俺のどんな情報がさくらに漏れたのか気になるところ。
「あー、もう、何?この新婚さんの甘々な空気!あー、せっかく有休も取ったのに!お酒よ!お酒を飲むわ!おじさんの良いのがあったでしょ!?」
「お酒はよく分からないのですが、『ヘネシー』と書かれた瓶が高級そうでしたね」
「それよ!それを頂戴!」
「では、おつまみもお作りしますね」
さくらは、リビングに置いてある父さんの酒コレクション(?)から1本持ってきた。
その後、またキッチンに入って、おつまみを作り始めたようだ。
「セリカくん」
「何ですか?栞(しおり)さん」
「やっぱり、さくらちゃん頂戴!あんないい子いないわ!」
「そう言われても・・・」
「セリカくんもかっこよくなったし・・・二人まとめて養おうかしら・・・」
「本気で考えるのやめてもらっていいですか?」
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「栞さん好きだ!」という方、ブックマークと★★★を!
調子に乗って、今日中にもう一度更新してしまいます!
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