26_美少女のファッションショー
さくらの淹れてくれたコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
コーヒーと牛乳の具合が絶妙に俺好みだ。
「セリカくん♪」
テレビを見ている視線に割り込むように、横からさくらの笑顔が入ってきた。
照れたような笑いを浮かべるさくらは、さっき買ってきたばかりの洋服を身に着けていた。
にこにこしながらくるりと1周回ったりしている。
制服を着ているさくらは5割増しに可愛いと思っていたが、私服の方が可愛かった。
昨日の俺に浅はかさを語ってやりたい。
「どうですか?」
「すごく可愛い。んー、すごく可愛い」
いきなりボキャブラリーが枯渇した。
「プリーツが可愛いスカートでしょ?」
プリーツとは何なのか。
ひだひだが多めのミニスカートなのだが、彼女が動くたびにひだひだが不規則な動きをする。
これが俺の心を虜にする。
「ちょっとスカートめくってみますか?」
さくらが、俺の手にスカートの裾を握らせた。
「いやいやいや、めくらないから!さくらの中で、俺ってどんなキャラなんだよ!」
「じゃあ、これでどうですか?」
右に左にダンスの様に回転している。
そのたびに、スカートの裾が遠心力で浮かび上がり、下着が見えそうで見えないギリギリを舞う。
「どうですか?押し倒して、床にねじ伏せたくなりましたか?」
「そんな性癖は俺にはない!」
「じゃあ、次に着替えてきます」
そう言うと、さくらはリビングからいなくなった。
あまりに可愛かったので、写真にでも撮っておけばよかったなと、ちょっと思いつつネット動画で海外ドラマを見始めるとそっちに集中していった。
「セリカくん、これはどうですか?」
ドラマが良いところだったのだが・・・一旦動画を止めて、一応さくらの方を見る。
チェック柄の長めのスカートで、巻きスカートのような裾の下から黒いスカートが見えているような、重ね履きのようなスカート。
上は、緩めのタートルネックの白い何か。
俺を萌え殺すために作られた服だろう。
鼻血が出るかと思うほど、可愛かった。
「どうですか?手枷を付けて、力づくで言うことを聞かせたくなりましたか?」
その願望みたいなのは、どこから来てるの!?
服のセンスは最高だけど、願望が残念過ぎる。
「次は、ホントにかわいいですからね!覚えてろよ!」
三下の常套句のような何かを言い残して、またさくらが着替えに行った。
また写真を撮り損ねたことに気が付いた。
既に、海外ドラマのことは完全に忘れていた。
わくわくして、さくらを待っていると、今度は比較的早めに登場した。
「じゃーん!制服っぽい服でーす」
今度はフリルいっぱいのブラウスに、ひらひらのミニスカート。
スカートの裾にもフリルがある。
ジャケットもあり、ちょっと高校の制服にありそうな服だった。
「チャームポイントはー・・・」
そう言いながら、さくらが後ろを向いてお尻を突き出してきた。
「尻尾が付いていることでーす!」
高校の制服っぽい服のお尻の部分に、なぜかアライグマのような尻尾が付いている。
「取り外しできまーす」
「ふふふふふふふふ」
俺は何だか分からないが、笑いが出てきた。
そして止まらない。
「許嫁のさくらちゃんのファッションショーでしたが、旦那様はどうでしたか?」
ヤバイ。
これは相当かわいい。
少し眩暈がするほどハマってしまった。
そう言えば、服は俺からのプレゼントってことになるのかな。
律儀に買った服を着て見せてくれているということだろう。
「さくらちゃん嬉しいから、ちょっとくらいならサービスを辞さない所存ですが?」
また俺の手にスカートの裾を握らせる。
「辞してくれ」
そんな言葉があるのかどうかは知らないが、美少女のスカートをめくるというのは、男のロマンかもしれない。
なぜ、俺が拒んでいるのか、俺にも分からない。
でも、やっちゃあダメな気がする。
でも、ちょっとなら・・・
「セリカくん、ありがとうございます。すごく気に入りました。大事に着ますね」
くるんくるんと右に左に回って、可愛さをアピールするさくら。
バイト代は俺が思っていた以上に良い使い方をしたようだ。
こんなかわいい子と一緒に暮らすことになって、俺はホントに大丈夫なのだろうか。
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