22_美少女とデート(服屋編)
いつもネットで買い物を済ませる俺としては、発見があった。
洋服屋って、男用の服を売っている店と、女用の服を売っている店があるね。
ユニクロみたいに男女の服、両方を置いている店はあんまりない。
そりゃ、カップルはみんな大型店に行くよ。
お互いの服を見れるんだもの。
制服しか持っていない堀園さんは、パジャマや普段着が必要だ。
しかも、1着じゃなくて、洗い替えも含めて数着ずつ。
あと、下着類も・・・
割と大きな出費になりだけど、必要経費だろう。
「堀園さん、とりあえず必要な服を選んで。いっぱい買って帰ろう」
「はい。あ、お金は持っていますので、ご心配なく」
そうは言っても、それなりに高くなってくるだろう。
何着かはプレゼントしようかな。
「セリカくんはどんな服が好きですか?」
「俺が好きな服?」
「はい、セリカくんが選んでくれた服を買おうと思います」
「え、俺ってセンスないし信用しない方が良いよ」
「でも、私の服を見る機会は、私よりもセリカくんの方が多いと思います。だったら、セリカくんが好きな服を着たいです」
「そういう考え方もあるのかぁ」
正直、女物の服なんて選んだことも、考えたこともなかったので、どれがいいのかすごく迷った。
とりあえず、マネキンが着ている服を参考に選んだ。
まあ、面白みはないけれど、無難な選び方と言えるだろうか。
「セリカくん、下着はどんなのが好みですか?」
「え!?下着!?」
「下着も私よりも、セリカくんの方が見る機会が多いと思います」
「いや!見ないから!そんな、『いつも見ているから当然でしょう?』みたいに言われても同意できないから!」
ふふふと笑っているあたり、俺は揶揄(からか)われたようだ。
彼女の可愛いいたずらだ。
■
服は何とか選んだが、試着室の前で待つイベントは、思いの外苦行だった。
下着売り場とかじゃないから、店に入りにくいって事はないのだが、堀園さんが試着室で着替えている間、前で待っていてくださいと頼まれたのだ。
カーテン1枚向こうで堀園さんが着替えていると考えると走り出したくなるような衝動にかられる。
絹ずれの音にぞわぞわさせられる。
『どうですか』なんて着替えるたびに試着室のカーテンを開けるのだが、どれも似合っていて可愛い。
カーテンの音で周囲の人が一瞬こっちをみる。
普通なら、そのままそれぞれ自分の手元に意識は戻るだろう。
ただ、堀園さんのポテンシャルは高いのだ。
そのまま、人の目を惹き付ける。
気づけば、なんとなく試着室の周囲に男女問わず人が集まって来ていた。
カーテンが開くたびに感想を聞かれるのは一般人の俺なので周囲の目が痛かった。
道を歩いている時もそうだったけど、整っている顔立ちだと、日々見られて過ごしているんだな。
俺なんか一度も経験したことないよ。
ある意味日々鍛えられているのだろうか。
結局、服はどれも似合うのでシャツやスカートなど10点ほど買ってしまった。
俺が勧めたってのもあって、支払いは俺が申し出た。
少し前にやったバイト代が殆ど飛んでいったが、まあ満足だ。
流石に女の子にプレゼントする服を親からもらう生活費から出すってのは、なんかバツが悪いしね。
バイトしてて良かった。
「ホントにこんなにたくさんよかったんですか!?」
両手に紙袋を持ったまま戸惑っている堀園さん。
「大丈夫だよ。昨日のお礼もあるし、これから色々面倒みてもらうことになりそうだから」
こういうのは言葉にすると恥ずかしいもんだなぁ。
「ありがとうございます。甘えさせてもらいます。大事にしますね」
「いや、普通に着てよ」
「はい。着たらまた見てくださいね」
ここで笑顔!
「ま、まあ・・・」
こういう時に、変に遠慮されるより、お礼を言われた方がこちらとしても気持ちがいい。
笑顔も嬉しい。
彼女は気づいているのか、無意識なのか、そのあたりまで完璧だ。
荷物は持つよと申し出たが、彼女が持ちたいというから任せてる。
まあ、そんなに重たいもんじゃないからいいか。
絵面的に女の子に全荷物を持たせる男って見られそうで、気が引けていたのだが・・・
俺のことまで考えてくれる彼女と、自分の事しか考えてない俺。
彼女は大人だなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます