20_美少女とデート(ペットショップ編)
街中のショッピングモールだが、色々なお店がある。
目的の店に着くまでに、他の店が気になって入ってしまうことなんて日常的によくあることだ。
可愛い女の子がいて、ペットショップがあったら、素通りなんてできる訳がない。
「セリカくん!ペットショップがありますよ!」
「そうだね」
「ちょっとだけ!ちょっとだけ見てもいいですけ?」
こんな可愛い子に、あごの辺りで手を合わせ『いただきます』のポーズなのだが、片目がウインクになっている状態で頼まれて断れる男がいるだろうか。
美人は何をやっても可愛いので得だなぁ。
仕草の一つ一つがいちいち可愛い。
「時間はたっぷりあるんだ。寄り道していこう」
「ほんと!?ありがとうございます」
午前中は堀園さんが掃除と洗濯を頑張ってくれた。
俺がしなければならないことなど、もうないのだ。
ゆっくり買い物して、ゆっくり帰っていい。
我ながら、いい身分だ。
■
ペットショップには、犬、猫、ハムスター、鳥など色々な種類がいる。
爬虫類もいるのだが、ペットとして可愛いのだろうか・・・
まあ、人にはそれぞれ好みがある。
イグアナだろうが、アカメカブトトカゲだろうが、ブッシュバイパーだろうが、可愛いと思う人は可愛いのだ。
堀園さんはペットショップで顔がほころんでる。
こういう自然な笑顔はいいなぁ。
美人の笑顔は癒される。
堀園さんが、アクリル板の向こうにいる犬猫を愛(めで)でていた。
俺は、どっちかって言うと、堀園さんを愛(めで)でていたけども(汗)
「堀園さんは、犬と猫、どっち派?」
「うーん、どちらかというと猫派ですかねぇ」
意外にも消去法で猫派という感じ。
どっちもあんまり好きじゃなかったのかな?
すごく犬を見てるから好きかと思った。
「犬は嫌い?」
「嫌いってことはないのですが、ご主人様の寵愛(ちょうあい)をいただける犬は1匹で十分です」
何故か鼻息が荒い。
ペットショップの犬と何か張り合おうとしているのか・・・
感性が独特で面白い。
「その点、猫は、主人に仕えるということを知りません。私のライバルにはなり得ないのです」
うんうん、と満足そう。
犬と猫ってそういう見方で、好きとか嫌いとかって決めるものなの!?
もふもふ具合とか、つぶらな瞳とか、可愛いポイントはたくさんあると思うけれど・・・
ただ、犬も猫も見た目は可愛いのだけれど、値段が可愛くないんだよなぁ。
世話も面倒だし、俺はペットショップでちょっと見るくらいが、ちょうどいいと自分の分(ぶ)をわきまえている。
ハムスターやウサギもいて、この店は見始めたら奥が深いな。
ずっと見てしまう可能性がある。
ふと、堀園さんを見ると、犬用品のコーナーにいた。
やっぱり犬が好きだったのかな?
近づいてみると・・・首輪をかなり真剣に見ていた。
「犬飼うの?」
「いえ、首輪を・・・革製の可愛いのもあって・・・」
「ああ、確かに色々あるね」
堀園さんは何種類か手に取って選んでいるように見えた。
「ご主人様に首輪をつけられるなんて・・・」
(スパーン)「あふん♪」
「想像が斜め上すぎる!」
俺は店を出て、洋服売り場に向かった。
ちょっと危ない子だった。
堀園さんが俺の後ろを着いてきながら話しかけてくる。
「セリカくんも、犬に首輪をつけてみたくありませんか?」
「ありません。あと、犬を飼ったつもりはありません」
「忠義を尽くす良い犬を1匹知っています!」
「俺は猫派だ」
「猫の様に甘えることもできる犬なのです」
「そんなヤツは、犬ではない!」
「とりあえず、首輪を買うだけ買ってから考える、ということで・・・」
「買いません!」
堀園さんはしょぼんとして、おとなしく後を着いてきていた。
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