19_美少女と買い物デート(歩道編)
家のことを(堀園さんが)済ませて俺たちは買い物に出ることにした。
まず、堀園さんの服がほとんどない。
昨日は寝巻に俺のTシャツを着てもらったが、毎日だと俺の理性が持たない。
堀園さんは今日もいつも通り制服で、俺は普段着で出かけることになった。
出かける先は、普通のショッピングモールだ。
歩きでも20分程度で着くのでありがたい。
中には洋服店もあるし、飲食店、スーパー、ペットショップなど色々ある。
何でもそろうので、欲しいものが漠然としているときは、とても便利だ。
堀園さんと一緒に歩くと、すれ違う人の視線をすごく感じる。
みんな彼女を見るのだ。
当然、おかしいところなどない。
理由は簡単で、すごく可愛いのだ。
カラメル色の髪も綺麗だし、瞳には星が輝くように光が入っている。
ちょっとたれ目なのは愛らしいし、身長は俺よりも頭1個分小さい。
愛されるために神が作った高級品だなぁ。
横を歩いている堀園さんは、チラチラとこちらを見ている。
「どうしたの?」
「あ、いえ!何でもありませんっ!」
プイっと向こうを向いてしまった。
彼女がどんなことを考えているのかはまだ分からない。
「じー」
口で『じー』って言ってるし!
俺の手を見ながら歩いている。
「手はつないでくれないのですか?」
「え?手をつなぐの?」
「・・・」
堀園さんは、立ち止まって、両手で顔を隠してしまった。
「なに?なに?どうしたの?」
何かを振り切って、顔を上げた。
「私は、可愛いんです。カラメル色のストレートロングに大きな目。前髪斜めカット。少したれ目で涙袋がチャームポイントの可愛い子なのです」
「うん、まあ、そうだねぇ」
間違いないが、それを自分で言っちゃうんだ。
いや、ちょっと待てよ。
このフレーズは、昨日俺が言ったな。
「私と手をつなぎたくなりませんか?」
「そりゃあ、なるけど・・・あれ?もしかして、俺が言ったことを守ってるの?」
「もちろんです!ごしゅ・・・セリカくんの従順な犬として1番を目指します!」
華麗にどや顔を決める堀園さん。
また『ご主人様』って言いそうになったし。
どうなってんだ、この子。
手をつなぎたかったのかな?
今朝は、自分の顔を俺に踏ませていたのに、たかが俺と手をつなぐことを言うのに恥じらうのか・・・
感覚が分からない。
逆なら俺は相当な覚悟が必要だろうけど・・・
「はい」
俺は手を出した。
「イイノデスカ?」
なぜ片言?
「人通りも多くなってきたし、一緒に歩こう」
「(はっはっはっ)」
過呼吸かな?
ホントに犬みたいになっちゃってるし。
「(コホン)では、失礼して・・・」
芝居がかった感じに畏まって堀園さんが手を握ってきた。
やわっかい!
何故、女子の手はこんなに小さいのにやわらかいのか。
あえて「やわっかい」と表現しよう。
「えへ、えへへへへ」
ニヤニヤしながら、くねくねして、堀園さんが歩いている。
出来れば近所の人に、この美少女の残念ぶりは見せたくないなぁ。
手を握って喜ばれるのは、悪い気はしないけれども。
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