08_食事の次は
カレーも食った。
堀園さんも洗い物を済ませたみたいなので、ここらで話を聞きたいところだ。
「あの、堀園さん、話を・・・」
「あ、セリカくん、お風呂沸きましたよ?」
「え?風呂?」
いつも間に。
ずっとシャワーだったから、掃除すらいつしたか・・・
「あ、堀園さん、先にどうぞ」
「いえいえ、いけません。家長たるセリカくんが先に入るのが筋です」
家長ではないけどね。
まあ、気が引けるのならばしょうがない。
入らせてもらうか。
■
いつ!?
いつ掃除したの!?
めちゃくちゃきれいなんだけど!風呂場!!
鏡は石鹸カスだか何かで真っ白だったのに、あれって取れるんだね!
ちゃんと顔が映ってる。
そして、湯船はいいね。
疲れが取れる!
今日、疲れるようなことをしたのは、もっぱら堀園さんのような気もするが・・・
■
「ふー、いい風呂だったよ。ありがとう」
「いえ、とんでもないです」
「堀園さんもどうぞ」
「はい・・・あの・・・」
何か言いにくそうだ。
「どうしたの?なんでも言ってよ!」
「ありがとうございます。あの・・・セリカくんのTシャツを1枚貸してもらえたら・・・」
「Tシャツ・・・あ!着替えか!」
堀園さんは、今日ずっと制服だった。
そして、持ち物は通学用の鞄1つだけ。
着替えを持っている様には見えない。
「あ、し、し、下着・・・とかも・・・そうだ!コンビニに行って買ってこようか!?」
「いえ、そこまでしていただく必要は・・・Tシャツを1枚だけ・・・」
「いいよ!いいよ!Tシャツでよければ」
「ありがとうございます。あの・・・選んでいいですか?」
ああ、あんまり綺麗じゃないのもあるあらねぇ。
「もちろん!今日片付けてもらったタンスに入ってるから、好きなの使ってよ」
「ありがとうございます♪」
堀園さんは、俺の部屋からTシャツをとって、風呂場に向かった。
俺はリビングで髪を拭きながら、テレビを見ていた。
そこに、堀園さんが顔を出した。
「覗いちゃ嫌ですよ?」
「の、覗かないよ!」
わざわざ言っていくってことは『フリ』なのかな?
いや、その前に『覗いちゃダメ』ではなく『覗いちゃ嫌』?
なんか変な言い方だな。
少し気になった。
そう言えば、2つ思い出した。
1つ目は、堀園さんに話を聞けていないこと。
2つ目は、堀園さんの下着や服を買いに行かないといけないこと。
今日、昼間、スーパーには行ったのだから、その近くの店で服ぐらい買えばよかった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます