08_食事の次は

カレーも食った。

堀園さんも洗い物を済ませたみたいなので、ここらで話を聞きたいところだ。


「あの、堀園さん、話を・・・」


「あ、セリカくん、お風呂沸きましたよ?」


「え?風呂?」


いつも間に。

ずっとシャワーだったから、掃除すらいつしたか・・・


「あ、堀園さん、先にどうぞ」


「いえいえ、いけません。家長たるセリカくんが先に入るのが筋です」


家長ではないけどね。

まあ、気が引けるのならばしょうがない。


入らせてもらうか。



いつ!?

いつ掃除したの!?


めちゃくちゃきれいなんだけど!風呂場!!


鏡は石鹸カスだか何かで真っ白だったのに、あれって取れるんだね!

ちゃんと顔が映ってる。


そして、湯船はいいね。

疲れが取れる!

今日、疲れるようなことをしたのは、もっぱら堀園さんのような気もするが・・・



「ふー、いい風呂だったよ。ありがとう」


「いえ、とんでもないです」


「堀園さんもどうぞ」


「はい・・・あの・・・」


何か言いにくそうだ。


「どうしたの?なんでも言ってよ!」


「ありがとうございます。あの・・・セリカくんのTシャツを1枚貸してもらえたら・・・」


「Tシャツ・・・あ!着替えか!」


堀園さんは、今日ずっと制服だった。

そして、持ち物は通学用の鞄1つだけ。

着替えを持っている様には見えない。


「あ、し、し、下着・・・とかも・・・そうだ!コンビニに行って買ってこようか!?」


「いえ、そこまでしていただく必要は・・・Tシャツを1枚だけ・・・」


「いいよ!いいよ!Tシャツでよければ」


「ありがとうございます。あの・・・選んでいいですか?」


ああ、あんまり綺麗じゃないのもあるあらねぇ。


「もちろん!今日片付けてもらったタンスに入ってるから、好きなの使ってよ」


「ありがとうございます♪」


堀園さんは、俺の部屋からTシャツをとって、風呂場に向かった。


俺はリビングで髪を拭きながら、テレビを見ていた。

そこに、堀園さんが顔を出した。


「覗いちゃ嫌ですよ?」


「の、覗かないよ!」


わざわざ言っていくってことは『フリ』なのかな?

いや、その前に『覗いちゃダメ』ではなく『覗いちゃ嫌』?

なんか変な言い方だな。


少し気になった。


そう言えば、2つ思い出した。

1つ目は、堀園さんに話を聞けていないこと。


2つ目は、堀園さんの下着や服を買いに行かないといけないこと。

今日、昼間、スーパーには行ったのだから、その近くの店で服ぐらい買えばよかった・・・


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