第9話

 …ここまでくれば、大丈夫だろう。


 そう思ったのに…


「ウ…アア…アアア…!!」


「なんで、なんで…」


 何度も距離を取っているのに、いつだって化け物は私のすぐ後ろにいる。


 うめき声も荒くなっている。


 私に恨みでもあるのだろうか…?


「もう嫌だ…嫌だ!」


 泣き叫んだ。


 そんな私に応えるかのように…


 バンッ!


 爆発音がする。


 そして、周辺の建物が崩れ始めた。


 崩れた瓦礫から、液体が流れてくる。


 液体は、ずっと湧き出してくる。


 気付けば、化け物も十数体に増えている。


 …でも、体力は底尽きそうだ。


 フラフラになった足をもう一度立てる。


 少し向こうの方に高い建物がある。


 …そこに上ろう。


 早くしないと街が液体で沈んでしまうかもしれない。

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