第6話

「…よいしょっ…!」


 地面に手をついた。


 何とか降りれたようだ。


 家の方を振り返ると…


「な、なに…!?」


 家の下から黒い液体が流れていた。


 さっきの物体と同じように砂嵐のように点滅している。


 そして、ざわざわと音を立てていた…


 怖くて、とっさに道路に飛び出した。


「え…」


 液体は、私を追うかのように、道路の方に曲がって流れてきたのだ。


 ガチャ…!


 玄関のドアが開いた。


 さっきの物体…化け物だ!


 私は逃げ出した。


 走って走って…大通りに飛び出した。


「嫌…怖い…」


 恐怖でうずくまりそうになる。


 すると…!


 シュゥゥ…


 私の前に三個、物体が現れた。


 嘘だ…あの化け物、他にもたくさんいるんだ…


 物体が化け物になる前に私は、通りに沿って走り出した。


「…ウ…ア…アア…」


 不気味な声が聞こえる…


 あの化け物の声みたいだ。


「…嫌…嫌だ…!」


 思わず、口からこぼれた。


 その時、大通りの脇道が視界に入った。


 体勢を整える時間は無い。


 私は、半ば無理矢理に走って、脇道に入った。


 入ってすぐ、建物の中に駆け込んだ。


 建物の奥に身を潜める。


 化け物たちは建物の前をうろついている。


 …見失っているようだ。


 しばらくして、化け物たちは消えていった。


 建物から顔を出した。


 周りには、誰もいなかった。


 液体ももう追ってきてはいない。


 …怖かった。


 私の家には、近づかないでおこう。

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