第44話 4月1日 入学式



 時間は一カ月半ほど遡り、4月1日の入学式当日。


 私は、一橋達也に告白した。


「達也君。一目ぼれです。付き合ってください」


 先に付き合っておけば、優太君へのダメージは最小限。


 優太君と付き合ってもいないから、動画を送り付けるなんて狂った事はしないはずだ。


「いや、無理」


「え……」


 予想外の答えに驚く。


 悪魔らしくない、爽やかな笑みを浮かべ、一橋達也は言った。


「なんだよ。告って失敗した事なかったのか? 残念だったな」


「いや、でも、そんなはず……」


 私の事、最高の体とか言ってたはず。


「まあ、どうしてもって言うなら、使われてない野球部の部室あるだろ? 週明けの月曜日。あそこに来いよ。じっくり話そうぜ」



 ……やっぱりそういう事になるのか。


 仕方ないか。





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