第三章 NTR

第19話 カルペディエム



 スマホに送られてきた地図を元に、呼ばれた場所に向かった。


「……ここだな」


 繁華街のほど近くに、巨大な建物が建っていた。


 タワーマンション「カルペディエム」


 80階建ての超高層マンションだ。


 天満さんはそこの最上階に友達と住んでいるらしい。


 ガードマンが立っている近くの正面入口のセンサーに、送られてきたカードキーでタッチすると、暗証番号パネルが表示された。


 番号は毎日変わるらしい。


 教えてもらった暗証番号を入力すると、自動ドアが音もなく開いた。


 中は開放感のある吹き抜けのロビーになっていて、大きなホテルのようだった。


 ロビーを横切ってエレベーターホールに向かう。


 手前から20階まで、40階まで、60階までと、停止する回数によって乗るエレベーターが異なる。


 80階は一番奥のエレベーターだ。


 呼び出しボタンを押すと、すぐに到着したエレベーターに乗り込んで、カードキーでセンサーにタッチして80階を指定した。


 2,3分ほどで80階に到着した。



 表札は出ていなかったが、ドアが一つしかなかったのですぐにわかった。


 インターフォンを押すと、画面に天満さんが映った。


「優太さん! お久しぶりです!!」


 久しぶりに見る天満さんは、元気いっぱいだった。


「荷物お持ちしますよ」


 玄関先まで出て来た天満さんは、僕の荷物を持とうと手を出してきたが、そんなに重い荷物じゃない。


「いや。大丈夫だよ」


「でも、今日は来てくれてありがとうございます」

 

「うん」

 

「あ、そうだ。紹介しますね。ルームシェアしているお友達の真下木乃理ちゃんです」


 部屋の隅の方に、マスクを付けたメイド姿の女の子がいて、こちらにペコリとお辞儀した。前髪のせいで目が隠れている。


 僕もお辞儀を返す。


「メイドさんなの?」


 僕が聞くと、


「あれは木乃理ちゃんの趣味ですね」


 天満さんが言った。

 






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