優勝するしかない
儲かったと言えど、手土産に二十万円も使って良いなんて有り得ないと思っていたが、やっぱり話には裏があった。
ダンジョン協会も遊びでやっている訳じゃない。
ならば限りある財産をくれてやるなんて馬鹿な言葉はせず、使った金額以上の何かを求めているのは明白だ。
「そのダンジョンバトルってやつに出て貰えるよう、機嫌取りに手土産持って来た訳ね」
オセロさんは肯定しなかったが、否定もせずただ聞いているだけだった。それを僕は肯定と受け取る。
「どうせゴブリン大量発生の立役者に出場させて、泊でも付けたいんだろ」
軽く冗談で意地悪な言い方をすると、オセロさんは観念したようで大きくため息を吐いた。
「もうおじさんを虐めないでくれ。これでも大変だったんだ」
そう言うとオセロさんは憑き物が落ち、笑ってずっと僕の手にあったゼリーを取り上げ、蓋を開けて机の上に置き、ケースに入ったスプーンを渡してくれる。
「まぁハルトにはバレるよな」
「バレバレだね」
渡されたスプーンを受け取り、一度完成されたゼリーを崩して
プルプルのゼリーの中には、ごろっとした桃が揺れており、スプーンから零れないように掌を下に構えて口に入れる。
舌の上で転がすとゼリーが分れていき、噛み締めると桃の良い食感とみずみずしさにストレートな味が突き抜けた。これは美味い!
また瓶から
繊維が完全に除去されているので舌触りが良く、ほんの少しある酸っぱみが他の果物とのアクセントを出し美味い。至福の時間だ。
見た目だけではないかと疑ったが、そんな事はなく味も一級品だった。
これだけでは終わらず、後半には綺麗な丸いゼリーが待っており、毎度一口が楽しみすぎる。
「味はどうだい?」
「最高!」
話の途中で食べてしまったので、オセロさんは味わって食べる僕の姿を眺めていた。
ずっと待たせるのも悪いので仕方なく、食べながら話す事にする。
「それで出たら何が貰えるの?」
とりあえず報酬を聞かねば何も始まらない。気に入らない物ならば、何も聞かず突っぱねる所存だ。
「特にないよ」
「まじ!?」
「まじ」
オセロさんは歳に合わない若者言葉を使い、当たり前のように無報酬だと告げた。
どこかの誰かさんに似たような事を言われた気がするな。その時は剣で脅したかな?
「主催者が手を入れた事がバレると大変だからな。何も無いぞ」
「それじゃ出る理由ないじゃん」
「それがそうでもないんだな」
ニヤリと悪い大人の顔をしたオセロさんは、わざとワンクッション置きコーヒーに手をかけて勿体ぶらせてくる。
「一応メインに賞金がある。ハルトからしたらはした金の一千万。それのおまけで、優勝したら金持ちと冒険者最強のステータスが貰える。おかげでどこの高級店にアポ無しで行っても、断られる事なんてなくなるな。後は仕事のオファー。提供にななちゃんがあって、優勝者と一緒に新商品を作る企画が決まってたな」
「良しやろう!オセロさん僕は出るよ!」
「はいどうも。これでチケットが即完売だ」
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最近の細かく区切る書き方と、そこそこ文を纏めた書き方どっちが見やすいですか?
教えて貰えると嬉しいです。
二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。
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