最低な最強と傷ついた心
寝室に入り二人でベットの上で向き合って座り、静かな空間に時計の針の音がカチカチと鳴り響く。
何をどう言えば良いのか答えが出ず、あたふたしていると夏希が先に静寂を破った。
「ねぇ言う事無いの?」
ゆっくりと言われた言葉は嫌味が込められておりトゲトゲしく、ただ暴言を吐き怒鳴り散らす夏希の怒り方とは違い、引っかかるものを感じた。
「酷い事してごめんなさい」
「酷い事って?」
自分の中で悪いと思った事を頭に浮かべ、全てを引っ括めて謝った。けれど暗い声は責め立てるように追求してくる。
「押し飛ばしたり、指輪を引っこ抜いたりとかです」
「後は手を払ったり注意を無視したりとかね」
「ごめんさい」
頭に浮かべた事を抜粋して答えると、夏希は背後を向いて僕の選択した二つの酷い事へ、更に二つ追加された。
その時夏希の声は震えていたような気がする。
「あの子と、いつ出会ったの?」
やはり勘違いでは無く、夏希の声はちゃんと震えており、鼻をすする音も聞こえてくる。
今すぐにどうにかしてやりたいが、怒られてる身分では何も出来ず、本人も隠しているので様子を見る事に決めた。
「生まれた時だよ。同じ病院で出会ったんだ。でもそこからは一度も」
「そんな前に・・・ねぇ、あの子の事大事?」
「それは、まぁ」
鼻をすする音は
それでも夏希は震えた声で質問を辞めなかったが、途中で中断してしまった。
「私とあの子どっちが・・・何でもない」
また二人共言葉を発する事は無くなり、今聞こえるのは時計の針が動く音から、鼻をすする音に変わっている。
夏希はちょこちょこ言葉を口にしようとしているが、しっかりと言葉が出てこないのか、声を少し出して辞めてを繰り返す。
数回同じ流れを行った所で、やっと話せるようになり、なぜか趣旨の掴めないお願いをされた。
「ハルト後ろ向いて」
僕は言われた通りに後ろを向いた事で、二人で背中合わせになる、謎な状況が出来上がる。
短い時間そのままでいると、背中には何か触れる感覚が生まれた。
その感覚は柔らかいが真ん中に固いものがあり、背中同士を重ね合わせたのだとすぐに分かった。
「私ねハルトがあの子を助けようとしている時怖かったの。苦しそうに悶える姿も怖かったけど、どうしてかハルトが頑張り続けると、体が壊れるような気がしてもっと怖くて。けどハルトは私の言う事を無視してあの子を優先した。その時私よりあの子の方が大事なんだと思って、命が危なかったのもあるだろうけど、それでもショックだったの」
思い出すようにぽつりぽつりと話すリンは、体を前傾姿勢にして深く丸めて体育座りをし、自分だけの小さい空間を作った。
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何故か誤字祭りでした。修正します
最近の細かく区切る書き方と、そこそこ文を纏めた書き方どっちが見やすいですか?
教えて貰えると嬉しいです。
二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。
コロ助での休載の為にしばらく注目作品にも乗らなく辛い状況です。
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