選手交代
「もう良い?」
お母さんは僕達の話が終わるまで我慢していたらしく、一段落着くと真剣な表情をして見つめられていた。
また昨日みたいに怒られるのかと思うと、憂鬱な気分になり心に喝を入れ体を強ばらせる。
「話は全部夏希ちゃんから聞いたわ。どうしてハルトはすぐ周りが見えなくなるの」
「はい。すみません」
「これからはその無鉄砲な性格を直して考えてから行動しなさい」
「申し訳ありませんでした」
当たり前だが、後先考えず突っ走る部分を怒られてしまった。
昨日の比べて感情が爆発し、強い口調で責め立てる怒り方ではなく、淡々と悪い部分を注意されこちらの方が精神的ダメージがくる。
ダメージ積み重なってかなりきつく、これが後何十分続くのだろうと考えるとどんどん苦しくなり、しっかりと反省し猪突猛進な行いは辞めようと誓った。
だがどうしても命が関わると、助けなければと前世から引き継いだ部分が騒ぎ、なかなか変えられないのだろうなと内心分かっており、数秒で立てた誓に綻びが見える。
正直に言ってしまうと、早く終わってくれとしか思っていない。出来るのであれば強制的に終了させたいが、親側からしたら子供が心配で怒っており、小さい頃から弟子を育てていたのですごく気持ち分かる。
それが分かっているのに、どうして短絡的思考に
前世の僕が転生したのではなく、前世の記憶を持った五歳の少年と言う方が何だか正しい気がする。
「ハルト分かった?」
「・・・分かりました」
バレバレだろうが全く分かっていない。何を言ったか説明してと言われたら、またお説教の時間が伸びてしまう未来がすぐそこに見える。
「ならもう良いよ」
「え!?良いの?」
まだ十分も経っていないのだが、予想外に早く終わり確認してしまった。
これはどうして嬉しそうなの?からの延長戦確定で、せっかくのチャンスを棒に降り絶望する。
もしよろしければ、後半戦からロスタイムに変更してもらえないかと願っていると、どちらの選択肢でもない、別のものをお母さんは選ぶ。
「もう良いよ。女の子を助けたって教えてもらったし、頑張ったのにただ怒られるのも嫌でしょ」
キター!まさかの前半で、コールドゲームの判定が下りました!勝ち組です!今から何しようかな。二度寝しようかな、二度寝。体だるし回復の為にそれが一番だよね。
「後は夏希ちゃんに任せるから。よろしくね」
まさかのコールドゲームから、選手交代に変更された。せっかく終わったと思ったのに、今度は夏希に怒られるのか。
確かに夏希には何を言われても殴られても、抵抗出来ない程に酷い事をしているので、今から何をさせるのか不安でしかない。
死ねとか言われるのだろうか。それとも
命だけは許してください。お願いします。
「私ですか!?」
事前に聞かされていた事ではなかったようで、突然言われて夏希は驚いていた。
「だってさっきから目線も合わせようとしないし、何かあったのは分かるわ。その為に早く終わらせたから、さっきの寝室使って二人で話してきなさい」
「ありがとうございます」
夏希は遠慮せず提案を受け取り、僕を睨みつけて寝室に歩いて行った。
その後ろをゆっくり項垂れて、遅いと注意されながらついて行き、無抵抗で寝室に閉じ込められる。
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最近の細かく区切る書き方と、そこそこ文を纏めた書き方どっちが見やすいですか?
教えて貰えると嬉しいです。
二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。
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